なぜこんなことになったのだろう。
それが何度目の自問かは忘れた。
いつから? いつからおかしかったの?
ごく普通に買い物をして、それから……
そんな当たり前のことがひどく昔のことのように感じられた。
しばらくして肩にふわりとした感覚。
あの鳥が戻ってきたようだ。
気を利かせてくれているのだろうか?
それ以上はなにをするでもなく、おとなしくしている。
私は顔を上げた。
そのまま前方の壁をペタペタと触る。
壁や床とはまた違うような手触り。
突起のような物はない、ツルツルとした平坦な壁だ。
(登らなきゃ……いけないのかしら……)
私の運動神経は並以下だ。
私の背よりも高い壁、くわえてこの暗がり。
結果は火を見るより明らかだろう。