再び壁の前まで近づき、恐る恐る腕を伸ばした。
手探りで先ほどの物体を探す。


あった。


それは手のひらに収まるほどの大きさだった。
四角い形をしている。
陶器のような感触。冷たい。


私はそれを両手で包み込む。


しばらくそれを触っていると、不思議な感覚に陥る。
暗闇の中で、なにかが、うっすらと見えてくるような。
なんだろう? あれは……



そのまま手の中のそれを持ち上げようとする。