窓の外を見やる。

それは17時の訪れを知らせる街のチャイムだった。
やけにタイミング良く鳴ったそれに、気持ちが悪いような、妙な感覚を覚える。

つい聴き入ってしまっていると、ふいに前方からバサバサバサと、紙が擦れる音。
それにつられて私も前を向く。


「綾乃……?」


床と机の上には先程まで綾乃がまとめていた資料が散らばっていた。


そして。


なにかを手に抱えたような体勢のまま、硬直する綾乃。



「ッ!? 綾乃!」


慌てて側まで駆け寄る。
綾乃は顔を伏せ、身体を小さく震わせていた。