部屋の中は思ったよりも奥行きがある。
そこそこの広さだ。

コンクリート製の天井と壁。
中央の部屋と同じような造りだが、目に見える範囲に特に気になるものはない。

クイッ。
少女に制服の裾を引かれる。


「…………」


部屋の左奥を指差す少女。
なにかあるのだろうか。

少女の案内を頼りに足を進める。


……見えた。黒い影。


明かりに照らされ明らかになったそれ。
首から上がない、男の死体だった。


(うお…………)


後ろの少女を見やる。
申し訳なさそうな表情。
さっきの控えめな肯定の答えはこれか。


なんにせよ、これが『いいもの』には到底思えない。