世界の天文台の望遠鏡などで確認された小惑星や彗星(すいせい)の数が100万個を突破した。世界の天文学者らでつくる国際天文学連合の集計で28日現在、約103万個となり、報告数は近年、増加傾向にある。背景には、観測技術の向上や、小天体の衝突から地球を守る「プラネタリー・ディフェンス」の取り組み強化がある。
観測された小惑星、彗星の位置や明るさなどの情報は、同連合の「小惑星センター」(米国)に集約される。1995年に約3万個だった報告数は、2010年に50万個を超えた。望遠鏡の性能向上や観測、データ処理の自動化で、この10年でさらに倍増した。
約103万個の大半は火星と木星の間の小惑星帯を回っており、地球に接近する可能性があるものは約2万5000個だ。数十メートル以上の大きなものが地上に落下すると甚大な被害が出るが、事前に発見して正確な軌道を計算できれば、接近の時刻や場所を高い精度で予測できる。
探査機を小惑星にぶつけて軌道を変えることも検討されており、米航空宇宙局(NASA)は21年、実際に小惑星に衝突させる探査機を打ち上げる計画だ。
宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))の吉川真准教授は「あらかじめ小惑星を把握できれば、軌道を変えたり、事前に避難したりすることで被害を抑えられる」と話している。