試合前、今度は私と捕手が監督から呼ばれて「松井を敬遠するが捕手は座ったまま。あくまでもストライクが
入らないという演技をしろ。首でも傾げておけばいい」と具体的な作戦を授けられました。敬遠のサインは
監督が指を4本立てるという簡単なものでした。

1打席目(初回)は2死三塁の場面だったので、敬遠気味の四球でも違和感なし。2打席目(3回)も1死二、三塁で
問題はなかったが、1死一塁で迎えた3打席目(5回)あたりからはバレバレになった。スタンドからは
「またか、勝負しろ」の怒号が飛び交い、「勝負」「勝負」の催促が沸き起こりました。

ベンチ横でピッチング練習をしていると、ネットに顔を押し付けたおっさんに「お前死にたいんか、ぶっ殺すぞ!」と
凄まれた。この時は本当に怖かった。4打席目、2死走者なしで歩かせた時もブーイングは凄かったが、
最終回の5打席目に2死三塁で歩かせてピークに達した。スタンドからメガホン、帽子、ビールの空き缶などが
投げ込まれ、試合が中断。星稜の部員が回収に走り、異様な緊張感が球場全体に張りつめました。

監督も5回も敬遠することになるとは思っていなかったはずです。3点差なら勝負の選択もありましたが、
本塁打1本で同点の場面。1発がある松井を歩かせる作戦は間違っていなかったと思いますが、ファンは
許せなかったんでしょう。
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