X


自己犠牲の美学

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
2019/03/23(土) 05:28:29.273174ID:O04W71ORM?2BP(1000)

山の中に、一人の赤鬼が住んでいました。
赤鬼は、人間たちとも仲良くしたいと考えて、自分の家の前に、



 心のやさしい鬼のうちです。
 どなたでもおいでください。
 おいしいお菓子がございます。 
 お茶も沸かしてございます。




と書いた、立て札を立てました。

けれども、人間は疑って、誰一人遊びにきませんでした。
赤鬼は悲しみ、信用してもらえないことをくやしがり、おしまいには腹を立てて、立て札を引き抜いてしまいました。
そこへ、友達の青鬼が訪ねて来ました。青鬼は、わけを聞いて、赤鬼のために次のようなことを考えてやりました。

青鬼が人間の村へ出かけて大暴れをする。そこへ赤鬼が出てきて、青鬼をこらしめる。そうすれば、人間たちにも、赤鬼がやさしい鬼だということがわかるだろう、と言うのでした。
しかし、それでは青鬼にすまない、としぶる赤鬼を、青鬼は、無理やり引っ張って、村へ出かけて行きました。

計画は成功して、村の人たちは、安心して赤鬼のところへ遊びにくるようになりました。
毎日、毎日、村から山へ、三人、五人と連れ立って、出かけて来ました。
こうして、赤鬼には人間の友達ができました。赤鬼は、とても喜びました。
しかし、日がたつにつれて、気になってくることがありました。
それは、あの日から訪ねて来なくなった、青鬼のことでした。

ある日、赤鬼は、青鬼の家を訪ねてみました。
青鬼の家は、戸が、かたく、しまっていました。
ふと、気がつくと、戸のわきには、貼り紙がしてありました。
そして、それに、何か、字が書かれていました。



 赤鬼くん、人間たちと仲良くして、楽しく暮らしてください。
 もし、ぼくが、このまま君と付き合っていると、君も悪い鬼だと思われるかもしれません。 
 それで、ぼくは、旅に出るけれども、いつまでも君を忘れません。
 さようなら、体を大事にしてください。
 どこまでも君の友達、青鬼。




赤鬼は、だまって、それを読みました。
二度も三度も読みました。
戸に手をかけて顔を押し付け、しくしくと、なみだを流して泣きました。


泣いた赤鬼/浜田廣介 作
BBR-MD5:bd11db887b7a03225ddf3e2ba0210d8a(360)
BBS_COPIPE=Lv:0
PID: 67673
[0.161225 sec.]
Rock54ed.

2†Mango Mangüé(ワッチョイWW 9f2e-88oi)
垢版 |
2019/03/23(土) 11:18:26.330325ID:U3hYsmWH0
へー
BBR-MD5:CoPiPe-c26275ae20b4e082905cb36ba5884ceb(NEW)
BBS_COPIPE=Lv:0
PID: 40902
[0.140506 sec.]
This is Original

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
5ちゃんねるの広告が気に入らない場合は、こちらをクリックしてください。