『お父さ〜ん 蝉が鳴いてるよ〜 虫採りしようよ』
「わかったわかった ちょっと待ってろ」

夏になるといつも思い出す もう10年なるかなぁ・・・

今となっては覚えてる人も少ないだろうけど
10年前、インターネットに2ちゃんねるというサイトがあったんだ
ものすごい数の掲示板があって、ものすごい数の人間がいて
毎日、毎日馬鹿みたいなことで盛りあがって笑ってた。
正直、俺が始めて2ちゃんねるに行ったときの印象は良くは無かったけど
みんなで話していることが楽しかったんだろう。俺は次第にその世界にひかれていった。
そこにはいろんな人がいて、いろんな意見があって、いろんな煽りがあった
喧嘩みたいな会話も多かったけど、あの夏みんなが一つになった。
いつもいつも煽り合ってた人の言葉も、なぜかすんなり受けとめることが出来た。
それはなぜか?
それはこの楽しかった世界が永遠じゃないことに気付いたからだ。
もしくは、気付いていてもそれは遠いことだと思って忘れるようにしていたのかもしれない
その現実を目の前につきつけられた時、涙が出てきてとまらなくなった。
「ありがとう 2ちゃんねる・・・」
俺は涙を拭きながらそうつぶやいた。。。。

あれから10年 俺も結婚して家庭を気付いた。
今では良きパパとして幸せな日々を送っている。
ただ蝉がうるさいぐらいに鳴き出す季節になると思い出すんだ
あの夏の日を・・・・