本当はある女の子が好きだったのに、それを口に出せずに疎遠になり約10年が経った
気付けば周りの人達がするように、普通に結婚し普通に家庭を築き普通に幸せになっていた

ふと、かつてその女の子とタイムカプセルを埋めた事を思い出す
約束の日はとっくに過ぎていたが、せっかくなので掘り返しに行く
出てきたのはあの日のタイムカプセル
中身はあの日のものと一点を除いて変わらない
新たに入っていた手紙を開いてみると、あの日のままのあの子の字が並んでいた

本当は主人公の事が好きだった事、避けられるのを恐れて告白出来なかった事、別の高校に入り疎遠になったものの主人公が忘れられなかった事
ある日見かけた主人公が新たな環境で幸せそうだった事、そんな主人公に過去を引きずる自分が話しかける事なんてとても叶わなかった事
主人公の結婚式の招待状が来てやっと目が覚めた事、更にこのままでは自分も主人公も不幸になると考えたので行き先も告げず街を出て行く事、この手紙は主人公への最後のわがままだという事
そしてもしもあの頃、タイムカプセルを埋めた頃に帰れるならば帰りたいと思っている事
主人公に告白していたら今自分達はどうなっていただろうと……

手紙を読んだ主人公はやりきれない気持ちで家へと帰る
今じゃ自分には優しい旦那だっているし可愛い子供だっている
それは確かに幸せだけど……でも……遅過ぎたんだ


そんな百合話を読んだ事を思い出した