人権とかぁ、個人の権利なんてものに縛られるからこの国はこんなに落ちぶれたんだよぉ
そんなものではなくてもっと大きいもののために、国民が自ら命を差し出すような
そんな国民意識が必要だと思うんだぁ

確かにあかりもそう思っていたけれども、でも今こうして自分がこのみじめな自爆ロケットに乗せられて
中国の軍艦に突っ込んでいくのかと思うと、情けない話だがとても虚しい気持ちになってくる

あかりはただ純然たる愛国の意思に燃えていたのだろうか。今になってあれはただ空虚な熱病に
浮かされていただけなのではないかという気がする。国民が自らの命をかなぐり捨ててまでも尽くす
大きいものとは何なのだろうか。少なくともこんな学芸会の屋台骨のようなベニヤ製の人間爆弾に
そんな大きなものは感じない。