アメリカ、ライス大学のチェン博士らは、「性的メッセージ」の化学感知についての研究を行っています。
その一環として、彼らは20代の男性20人に「教育番組」と「アダルトビデオ」の2種類の映像を見せ、それぞれを見ている時に出た汗を集めて、19名の女性に嗅いでもらうという実験をしました。
 その結果、この2種類の汗が女性にとってどちらが好ましいということはなく、意識の上ではこれらは特別な違いはないことがわかりました。
 しかし、それぞれの汗を嗅いだ時の脳の働きを調べると、そこには大きな違いが。
 アダルトビデオを見ながら出した汗を嗅いだ時の方が、脳の「眼窩前頭野」や「紡錘状回」、「視床下部」といった部位が強く活動していたのです。
 「視床下部」はもともと性行為に関与する脳部位なのですが、「眼窩前頭野」は嗅覚、「紡錘状回」はどちらにも関係しません。
この結果から、チェン博士らは「セクシャルな汗は“性”を超越した全般的な神経作用がある」と解釈し、これを「社会性化学知覚」と呼んでいます。
 無意識でのこととはいえ、女性の脳は“性的な汗”をしっかり知覚しているようです。