ケモノの皮を剥ぐ報酬として、生々しき人間の皮を剥ぎ取られ、
ケモノの心臓を裂く代價として、暖かい人間の心臓を引裂かれ、
そこへ下らない嘲笑の唾まで吐きかけられた呪はれの夜の惡夢のうちにも、
なほ誇り得る人間の血は、涸れずにあった。
〜中略〜
 吾々がエタである事を誇り得る時が來たのだ。
〜中略〜
 そうして人の世の冷たさが、何んなに冷たいか、
人間を勦る事が何であるかをよく知ってゐる吾々は、
心から人生の熱と光を願求禮讃するものである。
 水平社は、かくして生れた。
 人の世に熱あれ、人間に光りあれ。