だが、藤田社長は「それは、誤解です」と笑いながら答える。

藤田社長(以下敬称略):社内のエンジニアたちにすら誤解されていそうなところなので、取材を受けて誤解を解かなければ、と思っていたんですよ。なので、よく聞いてくださったな、と(笑)。

下方修正のタイミングと「オンデマンドに振っていく」というコメントのタイミングが重なったので、「(AbemaTVは)広告からオンデマンドでの収益に振っていくんだ」と誤解されたところがあるのですが、そうじゃないんです。

AbemaTVは、プレミアムによる課金・サブスクリプションモデルに行くのではなく、広告+Abemaプレミアムでの課金というハイブリッドモデルを目指している。すなわち「フリーミアム」型だ。

藤田:もともと、動画サービスというレッドオーシャンの中のブルーオーシャンを探して、AbemaTVの形を考えたんです。

Netflix型(サブスクリプション)は参入も相次いでいるし、体力勝負になる。それを避けた上でのビジネスモデルは何か……という成立条件に合ったのがこの形でした。

僕の感覚として、サブスクリプションは、ネットサービスの中では契約していただくのが難しいもの。ネットビジネスはやっぱり基本はフリーミアム。
10人に1人が課金していく。基本無料なんですけど、より高性能に、とか、より高機能に、と考えるとお金を払っていただく、という形です。そうでないと広がりが出ません。

そこでポイントとなるのが「徹底して使いやすくすること」だ、と藤田社長はいう。Abemaプレミアムも、コンテンツに注目すると「サブスクリプション」に見えるが、基本的な考え方は、「映像視聴環境としての便利さ」の追求である。

藤田:あくまで徹底的に便利にして、なくてはならない、手放せなくなるような、ユーザーを骨抜きにしてしまうようなサービスにしていくのが基本方針です。

僕自身もそうですが、追っかけ再生やタイムシフト視聴はあまりに便利で、リアルタイムで観る頻度が減ってきました。
リニアの地上波を観ていて、追っかけ再生ができないのが不便でしょうがなくなってきている。話題になったけれど見逃したものも、タイムシフトがないので観られない。

地上波が不便で仕方がないんです。リニアとオンデマンドのハイブリッドが便利になってくる。当初はよりフローでの視聴が多い、と思っていました。
しかし、これは変質ではないですが、当初想定した以上に「オンデマンドが楽である」のは事実で、否定できないです。