<道警おとり捜査再審>「実態明らかにして」ロシア人男性
毎日新聞 3/1(水) 7:00配信

 北海道警の違法なおとり捜査により銃刀法違反(拳銃所持など)で懲役2年に
服したとして無罪を訴え、札幌地裁で再審が始まったロシア人の元船員、
アンドレイ・ノボショーロフさん(47)が毎日新聞などのインタビューに応じた。
7日の判決で無罪が言い渡される見通しのノボショーロフさんは「きちんと調べ、
理由を明らかにしてほしい」と、おとり捜査の実態解明を求めた。

 ノボショーロフさんによると1997年8月に北海道小樽市に立ち寄った際、
中古車販売業のパキスタン人男性から「自分で持つための拳銃がいる。車と交換してくれないか」と何度も頼み込まれた。

 当初は疑ったが、祖母の家に軍人だった父の遺品の拳銃「トカレフ」があり生活費
も必要だったため「違法とは知っていたが、お金が必要だった」と応じてしまったという。

 同年11月に再び小樽市を訪れ、船を下りて男性に拳銃を渡そうとすると、
倉庫の物陰などから大勢の捜査員が現れた。一緒にいた男性は走って逃げ「やられた」と悟った。

 捜査報告書ではノボショーロフさんは一人でいたことになっており、捜査に
関わった元警部(当時警部補)も「(パキスタン人男性は)現場にいなかった」
と偽証した。有罪判決を受け「とてもひどい気分で、腹立たしい思いがした。
一方で拳銃を持ち込んでしまったことには自身に負い目を感じていた。あまりにも大きな代償だった」と語る。

 東京の刑務所での服役については「ロシア語が通じず、頼みごともできず
とてもつらい思いをした」と振り返った。「家族に経済的に苦しい思いをさせてしまった。子供らは寂しい思いもしただろう」

 その後おとり捜査が判明し、道などを相手取った損害賠償請求訴訟を経て、
札幌地裁に再審を請求した。2016年3月に認められ「予想外のことで、
とてもうれしかった」と話す。同年10月には札幌高裁が検察側の即時抗告を退け、再審が決まった。

 2月23日の再審初公判では、弁護側だけでなく検察側も無罪を求めた。家族
に電話で報告すると、次女(24)は「これで胸を張って歩けるね」と喜んでいたという。

 ただ、違法なおとり捜査を認めた元警部の供述調書など弁護側が提出した証拠は全て却下された。

 「どのような判決が出るのか不安。検察側は無罪を求めているが、その理由を
説明していない。供述調書などをきちんと調べてほしい」と指摘。「警察にも
真面目にやっている人が多いと思うが、ロシア人にも日本人にも(犯罪を)
そそのかすようなことはしないでほしい」と訴えた。【安達恒太郎】

 【ことば】小樽拳銃所持事件

 ロシア人の元船員、アンドレイ・ノボショーロフさん(47)が1997年11月、
北海道小樽市の路上で拳銃と実弾を所持していたとして銃刀法違反容疑で現行犯逮捕
され、懲役2年が確定して服役した。その後、捜査を担当した道警元警部(当時
警部補)が「違法なおとり捜査をした」と明かし、ノボショーロフさんの請求を
受けて再審開始が決まった。2月23日の再審初公判で検察側も無罪を求め即日結審した。
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