科学というものの奇妙な本質や不完全さについては、クラークの方がわれわれ一般人よりもずっとよく分かっていたと思う
何も知らない一般人には科学を妄信している人も多いけど、現場の研究者や科学について深く考えたことのある人であれば、科学の限界や曖昧さについてもよく分かっているはず

生物学などは互いに関わりあっている問題が複雑すぎて分からないことだらけで、ゲノム編集で生物の改変はできても、いまだにガンの完全な治療方法は開発できずにいる
要は、癌細胞の生き残り戦略がすさまじく優秀(複雑)なため、抗がん剤を開発しても完全に癌細胞だけを淘汰させることには成功していない
皮肉な見方をすると、生命というものがエネルギーを消費しながら自然に抗いより長く生き延びようとすることを、自然が細胞の癌化といった方法で生きられる時間に制限を加えているようにも見える

物理などの自然科学も、ひも理論のような分野が発展してもその正当性を検証できる実験が考案できないでいる
重力波でさえもアインシュタインが存在を予言してから検出できるまで100年もかかっているからね

それだけでなく、自然科学になぜ数学がこれほど役に立つのかという本質的な問題もよく分かっておらず、ユージン・ウィグナー「自然科学における数学の理不尽なまでの有効性」という公演は、そうした問題についての基礎文献として様々な場所で取り上げられることが多い

数学そのものも、実数の連続性は議論することはできても、実数のほとんどを占める超越数は未開のジャングル同然の未知の領域で、無限に存在する超越数の中で知られているものは、円周率πや自然対数の底eといったほんの一部に過ぎない
しかも、π + e が超越数になるのかどうかさえまだ分かっていない

ユージン・ウィグナー『自然科学における数学の理不尽なまでの有効性』
https://ch.nicovideo.jp/niconicoffee/blomaga/ar1125915
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