バス運転手視点
今日は新宿発、九州・福岡行きの夜行バス運転。会社 から独立し、個人タクシーの運転手でもやりたいもの だ。私はそう思いながら長距離バスの運転席に座っ た。 九州行長距離バスの運転は初めてだったので、はりき り過ぎて1時間以上早く出勤、事務所へ顔を出したさい にみんなから気張り過ぎだぞとなだめられてしまっ た。 出発時刻を過ぎたが乗客が一人揃わない。ようやく表 れたかと思ったら悪びれもせすノソノソとこちらへ向 かってくる。チケットを見せる時に「自分は弁護士 だ、こいつらとは違う」と呟いていて気味が悪い。 私が運転する長距離バスは4列だ。値段で選んだ客は失 敗だったと思うことだろう。狭いシートだと尻が痛む のだ。 交代のSAに到着するまでは眠れないのでコーヒーを飲 んだが、緊張に加え客席のほうから酸化した脂の臭い が漂ってきて美味しく感じられない。 あまりに臭うので何事かとバックミラーに目をやる と、先ほどの気味の悪い太った男がマックの包み紙を 取り出し、グチャグチャと音を立てながらメガマック を口いっぱいに頬張っていた。 ポテトをボロボロとこぼしながら、まだバーガーが入 ったままの口へ放り込む。ズゴゴゴ!と音を立てなが らジュースを飲む。乗客はその様子と音でみな顔をし かめていた。 横の就活生だろう若い女性はこれが苦虫を噛み潰した 顔だ、と言わんばかりに可愛らしい顔を歪めている。 あとであの男がこぼしたポテトを掃除するのは私だ。 いまいましい男め。思わず私も顔を歪めた。 太った男が2、3人分はあろうかと思われる食事を済ま せた頃、バスは海老名SAで到着、休憩についた。乗客 を降ろして脂臭いバスを換気し、私も一服することに した。 出発時刻にまたもあの迷惑な男が遅刻した。やれやれ と思いつつ、沈んだ空気を漂わせたバスを九州へと出 発させた束の間、後方から椅子を激しく揺らす音と凄 まじい叫び声が! 「もぉダメェ!!我慢できないナリ!!漏れちゃうナ リィィィィィ!!(ブリブリブリドバドビュパッブブブブ ゥ!!!!!ジョボボボボジョボボボ!!!!!!!ブバッババブッチッパッパッパ パ!!!!!!」
私の運転手史上最低の乗客の奇声が福岡行きのバスの
中でこだました。
BBR-MD5:CoPiPe-d496b21ee540756d7cfc95c49b8f69c9(NEW)
BBS_COPIPE=Lv:0
PID: 57585
Inq-ID: agr/71131cd27dfefbdc
Proc: 0.184365 sec.
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