(CNN) 中南米で猛威を振るっている感染症のジカ熱について、米疾病対策センター(CDC)のアン・シュチャット副所長が11日にホワイトハウスで記者会見し、「当初考えていたよりもやや恐ろしい」との見解を示した。

会見に同席した米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・フォーチ所長も「知れば知るほど、このウイルスに対する不安は増大する」と語った。

世界保健機関(WHO)によると、ジカ熱は蚊が媒介する感染症で、小頭症を引き起こすことが分かっている。しかしシュチャット副所長によれば、これまでの調査で早産や新生児の眼疾患、神経症状などとも関連があることが分かってきた。

そうした症状が出る恐れがあるのは母親が妊娠初期にウイルスに感染した場合に限らず、妊娠の全期間を通じて警戒する必要がある。

ウイルスを媒介するネッタイシマカも米本土で当初の想定より広い地域に分布していることが判明した。北限はサンフランシスコやニューヨークにまで達しているという。

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9月にはワクチンの臨床試験が始まる見通し。NIAIDでは現存する62種類の医薬品についてもジカ熱治療の可能性について調べ、うち15種類についてはさらに研究を進める方針。ただし効果が確認できるとは限らないとしている。

ジカ熱のウイルスが神経組織に感染する仕組みについても、マウスやサルを使った実験で解明が進められている。

米国でジカ熱がどの程度広がるかは予測できていない。米本土でこれまでにCDCが確認したジカ熱の症例は346例。大部分は流行国への渡航経験がある患者で、米本土で蚊に刺されて感染した症例は現時点で報告されていないという。

一方、プエルトリコや米領サモア、米領バージン諸島で確認された354例は、現地での感染が大半を占める。プエルトリコの感染者は数十万人に上る可能性があり、小頭症の新生児の増加が懸念されるとシュチャット副所長は話している。

CDCなどは米議会に対し、ウイルス感染を食い止めるために19億ドル(約2050億円)の臨時拠出を承認するよう改めて促した。臨時拠出は米政府が2月に議会に要請したもので、まだ承認には至っていない。

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