## 孤独なひなちゃんとはんちの友だち

荒れ果てた洞窟の奥に、ひとりぼっちのゴブリンが住んでいました。彼女の名前はひなちゃん。性格が悪く、いつも他人を馬鹿にするため、友だちが一人もいませんでした。心は荒み、孤独に耐える日々を送っていました。

ある日、ひなちゃんは公園を歩いていると、大きなクワガタが目に入りました。そのクワガタは、木の根元でじっとしていました。ひなちゃんはその美しい昆虫に魅了されましたが、すぐに心の中で自分を嘲笑いました。「こんな虫に興味を持つなんて、馬鹿げている」と。しかし、なぜかクワガタをそのまま見過ごすことはできませんでした。

ひなちゃんはクワガタを拾い上げ、自分の小さな隠れ家に連れて帰りました。彼女はクワガタに「はんち」と名付け、毎日世話をするようになりました。はんちに葉や果物を与え、綺麗な土を用意して住まわせました。

最初はただの暇つぶしだったかもしれませんが、次第にひなちゃんははんちに対して愛情を感じるようになりました。はんちの穏やかな存在が、ひなちゃんの荒んだ心を少しずつ和らげていったのです。

ある夜、ひなちゃんははんちの小さな動きを見つめながら、初めて自分の心を見つめ直しました。「なぜ、こんなにも孤独なのだろう?なぜ、誰も私を理解しようとしないのだろう?」と。彼女は自分が他人を馬鹿にして遠ざけていたことに気付きました。心の奥底では、本当はみんなと友だちになりたかったのです。

翌日、公園を散歩していた子供たちが、ひなちゃんの住処に近づきました。いつもなら追い払うところですが、この日は違いました。ひなちゃんは勇気を出して、子供たちに話しかけました。「これを見てごらん」と言って、はんちを見せました。

子供たちはクワガタに興味津々で、ひなちゃんの話に耳を傾けました。彼女の心が少しずつ開かれていくのを感じました。子供たちは笑顔で話しかけ、ひなちゃんも自然と笑顔を返すことができました。

それ以来、公園には少しずつ友だちが増えていきました。ひなちゃんは、はんちのおかげで心の安らぎを取り戻し、他人を受け入れることができるようになりました。はんちとともに、彼女の心には温かい友情の光が灯り、公園には笑顔と楽しい声が響くようになりました。

そして、ひなちゃんはもう一度自分に誓いました。「もう誰も馬鹿にしない。みんなと友だちになりたいから」と。はんちはいつもその小さな住まいから、彼女を優しく見守っていました。