スポーツ競技となったパラリンピックは基本的に、腰から下の障害と、上の障害に分けら
れる。だから、脳卒中の後遺症がかなりのこった場合、右側麻痺と左側麻痺が基本なので、
車椅子バスケにはまず出られない(車椅子を両手で操作できない)、シッティング(座位)
バレーその他にも不可能だ。
 私はアーチェリーなら、と思って東京での選手登録を目指そうと思ったら、右手が使えず、
弓を引けなかった。私の的中率はいい。弓道2段は、まあまあだろう。選手養成の第2希望
は、もともとゴルゴ13を敬っていたこともあり、射撃を選んだことはこの「ガッキィファ
イター」にもリアルタイムで書いたとおり、射撃を選んで、すべて(10回)が10点となっ
た。大勢の子に恵まれるわけだ。違うか。
 選手になることを勧められたうえ、最初からこういう成績だと金メダルはかなりの率で
獲得できるとも説得された(そりゃそうだ)ものの、私の残された人生はアスリートではな
く、物書きと数学である。お断りした。

 右手右足が不自由か、左手左足が不自由だと、できるスポーツはほとんどなくなる。パラ
リンピックさえ目指さなければ、卓球やら、ゆっくりラリーのテニスや乗馬なら不可能では
ない。
 障害者が90メートル地点からスキーでジャンプすることができたら、それは障害者では
ないと思われる。ラージヒル(旧90メートル級ジャンプ)やノーマルヒル(旧70メート
ル級ジャンプ)も、パラリンピックの種目にはない。

 ここで繰り返すと、パラリンピックでは障害の基本は左右ではなく、上下なのだ。
 傷痍軍人の福利厚生として始まった、たとえば車椅子バスケ(夏季)や、スキー大回転(冬
季オリンピックの会場=斜面角度=とは異なる)などや、ゆっくり滑り降りる障害度の高い
選手のスノボや滑降を見ていると、涙腺が完全に緩む。オリンピックのときとは異質なのだ。
 すごいーーの内実が違い、がんばれーーの中身も濃い。