治療の受け皿整備も課題

 専門的な医療機関や悩みを相談できる自助グループは足りていない。2月に実刑判決を受けた千曲市の男も前回の判決後、医療機関で心理士によるカウンセリングを受けたが「今振り返ると、とりあえず病院に通っていれば大丈夫だろうと生半可な気持ちだった」と話した。原田教授は「治療を必要とする人の受け皿を整えていくことも喫緊の課題だ」としている。
気付きにくい被害、加害をエスカレートとの指摘も

 一方、盗撮行為が後を絶たない背景には、被害者が被害に気付きにくいため加害の意識が希薄なままエスカレートするとの指摘がある。ただ、ある捜査関係者は「盗撮の被害者はデータが拡散されているのではないかと不安を抱き続ける。決して被害を矮小(わいしょう)化してはいけない」と話す。
拡散の危険、法規制にも課題

 性的姿態撮影処罰法に盛り込まれた規定によりわいせつな記録を検察官が強制的に削除することが可能になったが、海外サーバーのクラウド上に保存されるケースも想定され、捜査関係者は「拡散の危険を完全に拭えるわけではない」とする。インターネット環境の複雑化に対応した法規制の課題も残されている。