村上春樹は最高傑作でした。これでいよいよ世界的なポルノ作家としての地位は揺ぎないでしょう
ただ、とりあえず表層だけみると宗教批判――ドグマ批判があるわけで、それは常識的な正論なわけですが
そもそも原理主義fundamentalismというのはアメリカ帝国主義・資本主義が既に内包している反抗に対し、
「ファナティック」のレッテルを貼り付ける際に使われたキーワードである、という歴史がある
(この怪物的イメージをしかし植民地のテロリストたちが率先して、甘んじて引き受けアメリカを襲うという構図があるので
また話はややこしいのですが、しかし彼らが標的にするものはアブストラクトされた「異教」ではなく確実に「資本主義」であり
これを見逃すことは非倫理的というほかない……)
したがって、インターテクスチュアリティなどの概念などをすべて無視したうえ、村上春樹作品の暴力性を暴力的に析出する、
いつかどこかで確実におこなわれるであろう作業において、非難をかわすことは難しい、と思った
むろん私じしんは村上春樹――全共闘にコミットし、そのことを誤魔化し、今作でこの主題を前景化させた男とあろうものが
それほど単純な思考で小説を書くとはおもわないし、書かれているともおもわないのだが