ある日、母が勤め先からプロ野球のチケットを2枚もらってきた
俺は生れて初めてのプロ野球観戦に興奮し、母はいつもより
少しだけ豪華な弁当を作ってくれた。

   J('∀`)し
t─┐ノ( ノ)        ヾ('∀`)ノロロ
  │■| |       .  (_ _)
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野球場に着き、チケットを見せて入ろうとすると、係員に止められた
母がもらったのは招待券ではなく優待券だった。
1人1000円ずつ払ってチケットを買わなければいけないと言われた。
   │                _[係]
   │   J( ;'A`)し       (`Д´ )
   │     (  )\( 'A`) ロロヾ(  )
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帰りの電車賃くらいしか持っていなかった俺たちは
外のベンチで弁当を食べて帰った。

電車の中で無言の母に「楽しかったよ」と言った。
母は 「母ちゃんバカでごめんね」 と言って涙を少しこぼした

  ( 'A`) J('A` )し
  .(_ _)   (  )  .┌─
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄くく ̄ ̄ ̄|
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俺は母につらい思いをさせた貧乏がとことん嫌になって、現実から逃避するようになった。
勉強の成績は下がる一方で、二浪した挙句に偏差値40台の大学に進学することになった。
入学式の日、母は暗い顔の俺を見て「あんたは頑張ったよ」と言ってくれた。

そんな母が病気で去年の暮れに亡くなった。
死ぬ前に1度だけ目を覚まし思い出したように
「野球、ごめんね」 と言った。

                 ('A` )
         J('A`)し    (  )
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     // ̄ ̄ ̄フ /
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   (______ノ

俺は 「楽しかったよ」 と言おうとしたが、
最後まで声にならなかった

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           O 。
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  |   .!      ./  ディープ  ヽ
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 r''二し' ).   ̄,.! -◎─◎- !  l 
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 (_,ニ、) ,{` ‐r‐-ヽ、∴)3(∴人.ノ
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