昨日『○△バスセンター行き』のバスに乗っていると、途中のバス停で、30歳位と思われる
赤い服を纏った綺麗な女性が乗車し、私の隣に座りました。

その女性が

「あの・・・すみません・・・このバスは○△駅へ行きますよね?」

と私に訊ねてこられたので

「終点が○△バスセンターですから、終点で降りられれば○△駅に行けますよ」

と答えました。

「そうですか、教えて頂きありがとうございます」

「いえそんな、お礼だなんて」

・・・で、ここからが不思議なんです。

その女性は何故か直ぐに途中下車してしまいました。
不思議に思いましたが、それ程気には留めませんでした。
次回にこのバスを利用する時の為に聞いておいただけかも知れないし・・・と自分を納得させました。

そして次のバス停にバスが停車した時です。
なんと、前のバス停で下車したはずの彼女が、そのバス停でバスを待っていたのです。
私は自らの目を疑いました。そして扉が開くと、先程下車した筈の
その赤い服の女性がまた乗車して来たのです。

そして最初から決まっていたかの様に私の目を見定め、歩み寄り、やはり私の隣に座りました。
そして私の顔にこう訊ねたのです。

「あの・・・すみません・・・このバスは○△駅へ行きますよね?」

私はもう軽いパニックに陥り、顔からは血の気が引き、気持ち悪くなってしまったので
何とか頭を上げて降車ボタンを押し、必死というか決死の覚悟で彼女の膝を跨ぎ、
振り返りもせずに降車口に辿り着き下車しました。

そして、ゆっくり視線を上げると、何故か先程までは穏やかだった筈の、彼女の表情は私を窓越しに
目を吊り上げ、凄まじい形相で睨んでいました。口を半分開けて睨んでいた様な・・・
バスが走り去り見えなくなるまでずっと。

一体彼女は何者だったのでしょうか。