>>331
過去に於ては、勝者と敗者の代表者達が一堂に會して條約を起草したものだが、
1919年の條約では、勝者が作成して、これを敗者に向って鋭劍で突きつけたものであった、
又1919年の條約は、復讐のための條約であって、
比類稀なる程度にまで領土を分割し、敗者を掠奪し、賠償金の支拂を強制する條約でもあったのだ。

ヨーロッパの平和が、さういふ歪められた平和である上に、
地球上に於ける各国民の人口と資源の分配も亦極めて不公平なるものであった。

聯盟が眞に世界平和の機關として、その任務を完ふする爲には、時勢の變化に適應するよう、
第19條を生かして處理してゆくことが何よりも肝要であるのに、聯盟は依然として現状維持にこびりついてしまった。
そして人爲的に無理な現狀を維持しつつ、平和の美名に隠れて、国際關係を固定せんとした。
ここに聯盟の過誤があったのだ。