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これを要するに、国際聯盟はその看板の優美なるにも拘らず、そこには懸値があった
平和維持の理想的機關たるべき聯盟は、成立當時に於て既に無理の上に築かれて居り、
その無理の上に築かれた歪められた平和をば、現狀維持で押通さうとしたのだ。
果せる哉聯盟の ” ぼろ ” は次ぎから次ぎと現はれて來た。
・・・卽ち聯盟は滿洲事變がなくとも、
いつかは沒落の運命にあったもので、滿洲事變は只だこれを早めたものに過ぎない。

然るにも拘らず、滿洲事變が起り、日本が敢然として聯盟に挑戰すると、
世界の非難は日本に集注した。
彼等は聯盟固有の欠陥を忘れ、本(もと)を顧みずに末のみを論じたのだ。
日本の聯盟脱退を楔機として、聯盟の勢威が全く地を拂ったのも自業自得といふの外ない。