神戸大学経済経営研究所 新聞記事文庫 軍事(国防)(50-063) 1940.10.1 (昭和15)

外人スパイ十名起訴

国際関係の複雑化にしたがい近代スパイの暗躍はめざましく、
ことに事変下のわが国に潜入して軍事はもとより政治、経済、外交など
各方面にわたって鋭くスパイの眼が注がれているので司法部および憲兵隊では
去る七月二十七日イギリス系諜報機関に対し一斉に検挙の鉄槌を加え、
東京、横浜、神戸、下関、長崎などの憲兵隊、検事局において鋭意取調べ中であったが、
すでに十名については陸軍刑法、海軍刑法、軍機保護法、要塞地帯法、船舶安全法ならびに
銃砲火薬類取締法施行規則、軍用資源秘密保護法および無線電信法違反の廉で起訴、
うち七名については有罪の判決あり、なお数名は捜査中であるが、
ようやく一段落をみたので三十日午後記事差止を解禁、戦慄すべきスパイの全貌が明るみに暴露された

この七・二七のスパイ一斉検挙にあたってさきに
イギリス・ロイター通信員コックスが自殺してその犯跡をくらまそうとしたことは既報したところである