むかし、自転車乗りのつどいたる板あり。

板主の従者おとずれて覗きたるに、
股引者、山車者、落ち者、仰位の異形の者など寄り来て、うるさくさわぐ。
老人腹づつみをうち、ブレーキレバーを鳴らしながら歌う。いわく、

  日いでて走り、
  日いりて憩う。
  パンクを嘆き、
  塩を額に浮かばす。

  帝力何ぞ、我にあらんや!

為すべきを為すはもとより、為さざるもまた政ごとなり。
よき知慧めぐらして、為さざるがごとくに統べれば蒸民、安寧成る。
これ容易ならざるといえども、すなわち治世の要衡なり。

願わくば大権の執行者に置かれましては、鼓腹撃壌、
民草を知らず識らずのうちに帝の則に従わしむる統治をなされんことを。