犯罪とは何か・・・。みなさんや、あるいは私が「こりゃあ犯罪だよ」と叫んだところで、
その忌まわしい行為が犯罪になるわけではありません。

日本においては法治主義の下、罪刑法定主義が採られているため、犯罪とは、その行為等が犯罪であると
法律(あるいは条例や条約)で予め定められていなければならないのです。言い換えれば、法律で定めら
れていなければ、どんなに憤りを感じるような行為でも、それは犯罪ではないのです。
犯罪でない以上、処罰することはできず、警察は動いてくれないどころか、動くことが禁じられる場合だって
あるのです。
このため、特定の行為等を犯罪として扱うには、構成要件に該当し(法律の条文で定められた外形を備えていること)
違法(外科医がメスで患者を傷つけても、正当な治療行為である限り違法ではありません)かつ有責(幼児の行為は
責任を問えないから犯罪にはなりません)な行為でなければならないのです。

この点、名誉毀損は、法律で犯罪であると定められており、法律の条文が求める条件を外形的に満たしている行為があれば、
犯罪となりえます。それが正当な理由なく行われ、しかも、理非が判る大人が他人の名誉を害した場合には犯罪となり、告訴を待って
処罰することができるのです。

ところが、今回問題提起の対象となった書き込みについては、はたして名誉毀損行為としての外形を備えているといえるでしょうか?
歴史的事実であるA級戦犯がいて、その親族であると指摘することだけでは、名誉毀損にはならないでしょう。