夏。何があるわけでもなく、ただぼんやりと過ごす日々。
茹だるような暑さで、地面からは湯気が立っているかのようだ。
そんな中、俺は教室の片隅で昼休みに言われたことを思い出していた。

「あのさ、俺たちっていつも一緒だったよな?」
「ああ、そうだな」
「何をするにも三人一緒だったよな?」
「ああ、そうだったな」
「だけどさ、俺たち…ずっとこのままの関係じゃいられないんだろうな」
他愛ない会話だと思い、適当な返事をしてきたがここに来て言葉に詰まった。
そうだな、と言ってしまえばそれっきりだったのかもしれないが
俺にはそれを咄嗟に肯定することが出来なかった。
俺には仲の良い幼馴染が二人いた。俺たちは何をするにもいつも三人一緒だった。
面倒臭がりな俺と、少しやんちゃなカズ、そして面倒見の良いカナ。
常に三人で行動し、常に三人で喜びを分かち合い、小、中、高とずっと一緒にいた。

だが、最近になって状況が少しずつ変わってきていた。それはある出来事からだった。
ある日の帰り、俺は偶然にもカズとカナが二人でいるところを目撃した。
どう見ても、二人はカップルにしか見えないような感じだったのを覚えている。
それは俺の見間違いだったのかもしれないし、もしかしたら二人も「偶然」一緒にいただけなのかもしれない。
けれども、二人に声をかけようとした俺の喉から声が出てくることはなかった。
一人で家路に着くと、俺は自室に閉じ篭もりその一連の出来事を思い返していた。
何故かモヤモヤとした霞みがかった感情で心は満たされずにいた。
思えば、あの時…既に俺はカナを一人の「女性」として見ていたのかもしれない。

それから数日して、俺はカズにその事についてそれとなく問いただした。
カズは親切に教えてくれ、結果としては駅前で偶然見かけて一緒に歩いていただけとのことだった。
それ以降、俺はカナとまともに会話出来なくなった。
カナが話そうと近づいてくるだけで鼓動が高鳴り、まともに顔も見られなくなる。
だから俺はカナを極力避けていた。
カズもそのことに気付いたのか、昼休みに唐突にあんなことを言い出したのかもしれない、と思った。

書いたとこまで晒し、なんというカオス・・・orz