日本のクリスマスは精神が欠けたニセモノ?
 国民の85%がキリスト教徒というアメリカのクリスマスはすごい。何がす
ごいと言って買うプレゼントの量や金額がすごい。クリスマスカードだけ送
るという節約派もいるが、いつもはシブい彼らもこの時ばかりはクリスマス
ショッピングに大枚をはたく。プレゼントはクリスマスツリーの下に置き、
26日の「ボクシング・ディ(プレゼントを開ける日)」を楽しみに待つ。
 イギリス生まれの作家デービッド・ピース氏が「ニューズウィーク」12月
27日号の「TOKYO EYE」に書いているところによると、東京に住む外国人の知
人の多くが日本のクリスマスは「精神」が欠けた「ニセモノ」だと言い、ア
メリカやヨーロッパで「本物のクリスマス」を過ごそうと日本を脱出するそ
うだ。が、彼自身は、日本のクリスマスは宗教的なふりをしないので偽善的
でないのがいいとか。
 反対に、わたしは外国の風習を商業的に利用し、宗教的な意味合いをすっ
ぱり捨て去ってどんちゃん騒ぎをする日本のクリスマスにはどうも馴染めな
い。
 イギリスでもクリスマスは一大イベントだという。イギリス人の知人のジ
ョンは「クリスマスはキリストの誕生を祝うというより、冬の祝祭日だから
飲んだり食べたりしてお祝いしたっていいと思う」と言うし、ピース氏もク
リスマスは元来、宗教的な儀式というより冬のお祭りだったのが後に「再定
義」されて現在に至っていると書いている。「うちの母は信心深いクリスチ
ャンだけど、君が日本でパーティ三昧したって全然気にしないと思うよ」と
ジョンからクリスマスに騒いでもいいという免罪符をもらったような気がす
るが、今年はひっそりと過ごしたい。
 楽しいホリデイシーズンも、家族も恋人もいない独身者にとってはクリス
マスはけっこうワビシイ。ニューヨークに住んでいる時のクリスマスにいい
思い出はない。友人知人は家族の元で過ごすのでひとり取り残される。異国
のひとりぼっちのクリスマスは沁みる。ある年は映画を見て過ごし、ある年
はグリニッジ・ヴィレッジのしけたレストランで夕食のハンバーガーをほお
ばり、ジュークボックスでナット・キング・コールの「クリスマス・ソング」
を繰り返し聴いた。ある年のクリスマスには夜逃げをした。
 日本では異国にいる時のような強烈なわびしさや孤独感は感じない。祖国
の有り難さである。ところで、デービッド・ピース氏のクリスマスはと言う
と、礼拝に行き、帝国ホテルのイルミネーションを見、クリスマスケーキを
買い、家に帰ってクリスマスの短編を読むそうだ。ハッピー・ホリディズ!
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2903883/detail?rd