例えば、AがB殺害の凶器となった拳銃を犯人Cに交付した行為や、勤め先に強盗が入ることを知ったDが店の金庫の鍵を開けておく行為などが
、幇助にあたる。手段、方法は問わない。上に挙げた例のように物理的に実行行為を促進する行為(物理的幇助)はもとより、
行為者を励まし犯意を強化するなど心理的に実行行為を促進した場合(精神的幇助)も、幇助となる。
幇助の概念は曖昧であり、あらゆる行為を犯罪としかねない危険性があるため、幇助犯の成立を安易に認めることは避けなければならない。
例えば、強盗に使用された包丁を売り渡したホームセンターの店員の行為や、海賊版DVDの作成に使用されたコンピューターやメディアなどを供給した電器店の行為など、
本来、犯罪行為とは無関係な法的に否認されていない中立的行為による幇助について、どのように処罰範囲を限定するか、近時、議論が高まっている。
なお、実際の運用では、幇助犯として処罰される場合は極めて少なく(1/10程度)、複数人が犯罪に関与した場合、
大半は共同正犯として処理されている。幇助として処罰されるのは、賭博開帳の見張りがほとんどである。
幇助犯の法定刑は、正犯の刑を減軽した刑である(必要的減軽)。ただし、法律上
、幇助犯の処断刑が正犯の処断刑より下であることまでは求められてはない(理論上では、例えば、情状などによりそれぞれの処断刑について、
正犯が法定刑の下限で、幇助犯が法定刑の上限となったというような場合に、処断刑が逆転する余地はある)。