「Q」はロン・ワトキンス氏? 陰謀論集団の黒幕かもしれない男

根拠の疑わしい主張を信じ込み、拡散する陰謀論集団「Qアノン」。
ウクライナ危機でも、ロシア側のプロパガンダを広げている。
彼らが信奉する謎の投稿者「Q」については、いまだにその正体が明らかになっていない。

その中で、米国のジャーナリストや研究者らから長くQではないかと疑われている人物がいる。
ロン・ワトキンス氏。34歳のアジア系米国人だ。

ワトキンス氏は米国生まれで、幼い頃からコンピューターに親しんでいた。
父親のジム氏(58)は元軍人で、米国内で引っ越しをくり返していたという。
西部ワシントン州の高校を卒業後、中国で「10年近く」過ごしたといい、中国語が堪能だ。その後、
一時的にフィリピンに居住。また、昨秋ごろまでに5年ほど、札幌に暮らしていた。

ワトキンス氏はジム氏とともに、日本の匿名掲示板「2ちゃんねる」の管理・運営に携わっていた。
さらに2014年からは、英語圏の似たような掲示板である「8chan(ちゃん)」(後に「8kun=くん」と改称)の管理を担った。

8ちゃんや8くんは、謎の人物「Q」の投稿先だった。ワトキンス氏は管理人の権限を使い、
「このQは本物のQだ」と認めたほか、Qアノンが大きな社会問題となる中でも、投稿を禁じることなく掲示板の維持に奔走した。

取材に対しては当初、「Qアノンについてはよく知らない」と語り、「Qではない」と疑惑を否定していた。
だが、質問を重ねるにつれて、Qの投稿について興味深いと感じた点をあげるなど、つじつまが合わない部分が多く出てきた。

ワトキンス氏は現在、連邦下院議員をめざして共和党から立候補しており、その予備選は8月に実施される。
一方、「日本に帰りたい」との愛着を語り、札幌にはまだ、住居を置いている。