危険な陰謀論を背後で操る「Q」とは、一体何者なのか。過去にさまざまな憶測が流れたが、どれも決め手に欠けていた。
ところが2022年2月、2組の欧州言語学者のチームが、信憑性の極めて高い調査結果を発表した。
ニューヨーク・タイムズ紙の報道によると、
調査を行ったのはスイスの新興企業オルフアナリティクス(OrphAnalytics)と、フランスのフランス国立古文書学校、エコール・デ・シャルテ(Ecole des Chartes)のコンピューター言語学者チームだ。
各チームは、QがSNSに投稿した10万語以上の文章と、13人の作家の1万2,000語以上の文章をサンプルに、
AI(人工知能)技術やスタイロメトリーと呼ばれる数学的アプローチなどを駆使して、Qの投稿の文字列や文章の「癖」を特定・分析した。
その結果、2つの調査から同じ2人の人物が浮上した。
Qアノンの信者である南アフリカのソフトウェア開発者、ポール・ファーバー氏と、インターネット掲示板「4chan」の管理人兼コンピューター起業家のロン・ワトキンス氏だ。
研究者チームは「ファーバー氏がQとして活動を始め、2018年初頭にワトキンス氏に引き継いだ可能性が高い」と結論付けている。
両者は以前からQアノンの背後にいる人物と見られていたが、いずれも疑惑を否定し続けている。
複数のテキストに含まれる3文字のパターンの類似性を測定するソフトウェアを使用して、語彙や構文の複雑さを比較したスイスのチームによると、
分析の精度は約93%だ。顔認識ソフトウェアで文章のパターンを学習する人工知能を使用したフランスのチームは、
ワトキンス氏に関する分析の精度を99%、ファーバー氏を98%としている。