――一般的にマネジャーは発達障害についての知識がないことから、現場での対応が分からず、疲弊してしまうケースがあるようです。

多くの企業で、マネジャーは板挟みの立場にあります。担当部門の進捗管理と人材育成も担わなければいけません。常にストレスフルな状態です。そこに発達障害の部下がいて、「何度言っても改善されない」などの状況があれば、マネジャーのストレスは閾値を超えてしまうかもしれません。

発達障害傾向の部下を持つマネジャーが陥る体調不良は二つあります。一つは、「カサンドラ症候群」。発達障害やグレーゾーンの当事者の周囲にいる人がなりやすく、面倒見が良く忍耐強い性格の人、当事者に配慮するあまり本人が疲弊してしまいます。一般的には家族やパートナーが陥るとされていますが、上司や同僚もカサンドラ症候群になる可能性があります。

もう一つは、「うつ病」です。責任感の強い人や人間関係においてストレスを感じやすいタイプがなりやすいとされています。発達障害傾向の人と一緒に仕事をするのは、過剰なストレスがかかる場合がありますので、マネジャー自身が不調になったり、気力が出なくなったりする状態に陥りやすいのです。

――マネジャー自身が心身の健康を保つためには、どんなことを心がければいいでしょうか。

同じ立場のマネジャー同士など、悩みを相談できる存在がいればぜひ相談をしてみてください。同僚で、かつ同じ管理職なら、話すだけでも精神的に楽になりますし、自分では思いつかない解決策やヒントが見つかることもあります。とにかく一人で悩みを抱え込まないようにしてください。

自分自身の体調に問題が出ていないかについて意識することも大切です。不眠や頭痛、抑うつ感、無気力など、普段の自分と違う症状や感情が出始めたら要注意です。体調不良が出始めたら危険信号なので、気になったら産業医に相談することも考えてください。