つむぎ唄:春よ、来い 赤ひげ診療譚/4 市川先生の決断 /長野
12月5日15時0分配信 毎日新聞


 ◇父の古里で恩返し
 「僕が行こうか」という市川俊夫医師の思いがけない返答に、
東京民医連事務局次長=当時=の前沢淑子さんは言葉をのみこんだ。
栄村が無医村になるかもしれない緊急事態だったが
「いくら何でも高齢の先生を山村で働かせられない」。いったん、診療所を後にした。
 07年11月、高橋彦芳村長は市川医師に会うために上京、
JR品川駅前のホテルラウンジで対面した。前沢さんの計らいだった。
同年代の2人は、亡き父の話題などですっかり意気投合。「ピンチヒッターならやってもいい」。市川医師は快諾した。80歳を前にして1年間の単身赴任が決まった。