櫻子「私のわがまま」 [無断転載禁止]©2ch.net
東京に出て、もう十年近く経つ。
その頃からほぼずっと近くにいる人、それが隣に寝てる旦那だ。
朝だけは一緒に食べる。夜は一緒にいられないこともあるからって、結婚した時に一番に決めたことだ。
旦那が起きる30分前には朝ごはんを作り始める。それが私の日常となっていた。 旦那はちょっと遅れて目をさます。
その頃にはだいたいテーブルにはご飯が揃っていて、洗面所に行ってから二人で朝のいただきますで1日が始まる。
私は近くの小さな出版社で働いている。自分の記事で少しでもいい反応があると嬉しくなってやる気にもなる。旦那は違う仕事なので少し早く家を出て、たいてい見送った後家事を少し済ませてから家を出る。
そしてほとんどの場合、隣の部屋に住む向日葵と出くわし、マンションを出る。 向日葵「おはよう。今日はいつもより涼しいですわね」
櫻子「昼頃に一雨来そうだってね。そんなに降らないでいいのになぁ」
向日葵とはずっと昔からの幼馴染で、磁石みたいにずっと一緒にいた。
私が進学先を東京に選べたのも、向日葵と一緒に住むと家族に説得したからだ。
二人で上京したものの女子大に行った向日葵と、普通の大学へ行った私とでは少しずつ上京が変わっていった 私は大学のサークルに入り二年から今の旦那と付き合い始めた。そのまま卒業し社会人一年目の秋に結婚して、今五年ほど経過している。
一方向日葵は連絡先知っているのもバイト先と私の旦那くらいという男っ気のなさで、何度かサークルにつれていったものの結果は全然でなかった。
いよいよという頃から顔を合わせていた旦那とは最初の頃は固かったものの、今では普通に家族のように接することのできる仲となっている。ただ、それが限界で現在進行形で彼氏がいないのが向日葵だ。 >>8
無理に見るのはオススメしません
特にこれ以降は 一方私は社会人五年目兼結婚五年目、周りも見えてきて、やっと落ち着いて自分のやりたいようにできる歳になった。
そんな私も悩みがある。子供ができないということだ。
ここ二年いろいろ調べるようになり、良さそうなことはいろいろ試してみたが成果は実感できていない。このまま私は子供に恵まれないんじゃないか、そう思えてきた。 私の悩みはもう一つある。向日葵が今後どうなっていくかだ。
余計なお世話かもしれないが、もう相手の一人くらい見つけてもいい年齢だ。しかし向日葵には相手がおらず、隣に住んでいる。つまり私から離れることができていない。
向日葵は私の家族も同然で、将来一緒の家に暮らしてもいいんじゃないかとも考えている。私から離れられていないのも私に原因がないわけじゃない。責任を感じているわけではないが、覚悟はしているつもりだ。
この二つが私の中でグルグル回転するうちに、混ざり合って一つの答えが出てきた。それは普通は考えられない、だけどその時は一番の解決策だと思えた。どっちに相談しよう、その考えで頭がいっぱいになっていた。 ------------------------------------------- 櫻子に始めて相談された時とうとう頭がおかしくなったかと思った。
櫻子は出会った当時のちょっと抜けてても可愛らしく愛嬌があるという印象からあまり変わっていない。最近歳相応の落ち着きを見せるようになったかな?と思い始めたところではあるが。
たまに突拍子もない言動を見せることもあったが、最近は割と合理的な考えで暮らしているという印象だった。
ただそれだけに衝撃だった。しかし優しい口調とは裏腹に目の奥にはなにか決意したような熱いものを感じた。その発言に固唾をのみ、静かに話を聞くほかなかった。