「これ、ここに置いておくから」


私は手に抱えていたプリントを手近な机の上へと降ろした。
一枚一枚は軽いとは言え、量が量なのでそこそこ疲れた。
そのまま肩をほぐしていると、綾乃から「お疲れ様」と労いの言葉をかけられる。


「ごめんなさいね、手伝ってもらっちゃって」

「いや、これクラスの仕事だろ? 別に気にしなくていいよ」


私がそう言うと、綾乃は小さく笑って「ありがとう」と返した。
なんとなくむず痒くなった私は、綾乃の正面の席からイスを拝借してそこに腰掛けた。


「何か手伝えることがあれば、言ってもらえれば」

「ありがとう。でも大丈夫よ、もうすぐ終わるから」


そう言って再び作業に没頭し始める綾乃。
「そっか」とだけ返して、なんとなくその様子を眺める。

早い。

やはりこの手の作業は手慣れているのだろうなと感じた。
私なら倍の時間は掛かるかもしれない。