「私が見た夢の話なんだけどね」

「私と一緒だね」

「私は夢は夕方だったわ。駅前の本屋で参考書を買ったの」

「紀〇国屋?」

「うん、そこよ。それでね、雨が降りそうだったから急いで家に帰ろうとして、途中で信号に捕まったの」

「あのなかなか変わらない信号だな」

「やになっちゃうわよね。そこでずーっと待ってたんだけど」

「うん」

「車がね、一台も通らなかったの。夕方なのに」

「……うん」

「でもその時は別になんとも思わなかったのよね。おかしいな、と思ったのは大通りに出たとき」

「うん」

「ひ、人の姿がね……どこにも見当たらなくて……車の音すら聞こえなくて……」

「……うん」

「私怖くなっちゃって……そしたら、ちょうど17時のチャ、チャイムが……」

「………それで?」

「家まで走って……ヒッ……ドアを開けたら……突然、意識が…………」

「うん……」

「……ック…………おきたら………おきたらね……真っ暗で……な、なにも……みえなくて……」