この日から、皇軍に対するインドネシアの協力がはじまった。
山の中に隠れていたオランダ兵を、インドネシアが縛って連れて来た。
蘭軍の集結地点は克明に密告された。
こうして、点と線とを攻略した皇軍は、同時に広大な面をも制圧していたのである。

六百年の間、ジヨヨボの予言がインドネシアの間で汎く信じられて来た。

「猫の眼と赤い髪とが六百年の間インドネシアを苦しめるであろう。
だが六百年たったら、白馬に跨れる大王の使者が、インドネシアを救いにやって来る――」

というのが、その予言であった。
「猫の眼」はイギリス人であり、「赤い髪」はオランダ人であった。