境界知能は人口の14〜15パーセント、およそ1700万人にも上る。
被告は境界知能について両親や学校など周囲の大人に気づいてもらえないまま成人した。
小さい頃から周りの人が簡単にできることが理解できず、「ずっとわかったふりをしてきた」という。

だが、背景にあるのは境界知能だけではない。裁判でそう指摘した人がいたと真琴氏は語った。

「被告側の証人として、ある社会福祉士の方が尋問を受けられました。
その方は被告に学習障害の疑いがあることを指摘されました」  

詳しくは後述するが、学習障害とは発達障害のひとつで、今回の事件の鍵ともなる。

社会福祉士とは、社会福祉専門職の国家資格だ。
身体的、精神的などハンディキャップのある人が日常生活を円滑に営めるように
他の福祉専門職と連携して支援する。犯罪加害者の更生にも関わる。
本件では弁護人の依頼により被告の更生支援に関わり、証言台に立った。