ゆるゆりクトゥルフ [無断転載禁止]©2ch.net
「……ここ、どこだ?」
気が付いたら見知らぬ場所にいた。
いつも通りの日常。
いつも通りの時間に目覚め、いつも通りに授業を受け、放課後はいつも通りに部室で京子たちと過ごした。
雨が降っていたので早めに解散し、帰宅後すぐにシャワーを浴びた。
買い物はしていなかったので夕食は買い置きのパスタを茹でて食べた。
ベッドの上でスマホをいじりながらだらだらしていたら眠くなって、それから……。
「ダメだ……思い出せない」
覚醒し切らない頭がもどかしい。
大きく息を吸い、吐き出す。
しっかりしろ、これは異常事態だ。 頭の中でグルグルと思考を巡らせる。
今まで探索の結果を振り返る。
書物庫には黒い本と蝋燭。
調理室にはバラバラ死体と銀食器。
礼拝堂には蛇。
下僕の部屋には少女と首のない死体。ついでに拳銃。
どうすればいい?
このまま八方塞がりなのか?
私のことなどお構い無しに蝋燭は燃えつづける。 「ふぅ……」
小さく息を吐く。
傍らの少女は不安げな表情で私を見つめている。
(ほんとに小さな子なんだな……)
改めてそう思う。
年齢は私よりもずっと下。
やつれていることもあり、儚げに見える。
「………?」
「あぁ、なんでもないよ。ごめんね」
まりちゃん、元気かな。
先日まりちゃんを連れファミレスへ行った時の事を思い出す。
限定のミラクるんグッズが貰えるとかで。京子の提案だった。
みんなでデザートを食べて……楽しかった。
まりちゃんもグッズを貰えて嬉しそうにしてたっけ。
……その後ひと悶着あったのだけれど。
考えてみれば、今私たちが置かれている状況もちょっとしたお食事会と言えるのかもしれない。
メニューは美味しい血のスープ。
アホか。 思えば二人の姿はボロボロだ。
少女のローブは最初から血にまみれていたが、今はその上に私の血も付いてしまっている。
もはや赤いローブに白い模様がついている、と言った方が正しいのかもしれない。
私も私でブラウスは血で真っ赤。
血の海に倒れ込んだのだから当然だろう。
元々赤い色をしている制服部分も酷いことになっている。
足から血を流したのだからスカートは特に悲惨だ。
これは洗っても落ちそうにない。
(あれ?)
小さな違和感。
なんだろう、胸騒ぎがする。
スカートの裾に付着した、血ではない色。違う色。
黒。
こんなもの、いつ付いたのだろうか。
なにかを拭ったような、掠れた黒。
あぁ、そうだ……これは…………。
「あったじゃないか……! 得体の知れないもの……!」
絶望的な状況の中で、一筋の光明が差した。 私はイスから立ち上がった。
すかさず少女が腰にしがみ付いて来る。
彼女はキッとした視線を私に送る。
「…………!」
「座ってろ」という事なのだろうか?
だが、聞いてはいられない。時間がない。
私は少女の目を見て言う。
「今からちょっと忙しくなるんだ。でも私は足がこんなだから……あなたも手伝ってくれる?」
沈黙。
もう何度目のやり取りだろう。
しばらくして、少女はゆっくりと腰から離れる。
コクン。
私の目を見て、力強く頷いた。 目的地は書物庫。
だがここにきて本に書かれていた誓約に引っ掛かる。
『本を持ち出してはいけない』
ならばと私は少女に言う。
「あそこの部屋に行って、棚からお皿を1枚持ってきてくれるかな? 下の方の棚ならあなたでも届くと思うから」
コクン。
少女は調理室の方へ駆けて行った。
私も動かなくては。
テーブルの上の蝋燭を持ち、歩き出す。
足の痛みに眉をしかめる。
弱音を吐くな、歩け。
扉の前まで歩いた私はそのまま木製の扉を開ける。
あるはずの光源を無くした室内はうす暗かった。 向かうは右手奥の棚。
蝋燭の明かりを頼りに進む。
「あった……」
棚から黒い本を取り出す。
本は相変わらず黒い液体で湿っていた。
(後は、これを……)
続いて少女が室内にやってきた。
腕には大事そうに銀の皿を抱えている。
グッドタイミングだ。
少女から受け取った皿を床に置き、その上から本をかざす。
ポトリ、ポトリ
銀の皿へと黒い水滴がしたたり落ちる。
……なんとか上手く行きそうだ。 変化はすぐに起きた。
まばゆいばかりの輝きを放っていた皿が、黒く変色しだしたのだ。
それもただ変色しただけではない。
黒い液体の通った跡にだけ、変化が起きている。
……そういえばどこかで聞いたことがあるような気がする。
銀は古来より毒味に使われていた事を。
(なんで今さら思い出すのかなぁ……)
自分のバカさ加減にうんざりだ。
無事に帰れたのなら少しは勉強することにしよう。
しばらくして皿には充分な量の液体が溜まった。
黒い液体。
これが、毒だ。 少女とともに書物庫を出る。
液体入りの皿は少女に持ってもらった。
再び中央の部屋。
テーブルの上に銀の皿と蝋燭を置く。
一息付きたいところだが休んでいる暇はない。
少女の方を見やると
「次はなにをすればいいの?」といった表情。
その姿に少し癒される。
やる気は十分のようだ。
少女を連れ今度は調理室へと向かう。
部屋に入ると私は早速棚の物色を始めた。
必要なのは大皿が1枚、小皿が2枚、おたまが1つ、スプーンは……とりあえず5本ほど。
小皿2枚は少女に頼んで中央の部屋へと持っていって貰う。
そのまま部屋で待っていてくれ、と頼むと少女はもの凄い顔をした。
不安と恐怖と悲しみをごちゃごちゃにしたような。そんな顔。
「必要なことだから」と私は少女を抱き締めて諭す。
少女は渋々といった様子で了解してくれた。 私は手に大皿とおたまを持ち、よろよろとガスコンロの方へ向かう。
(息は止めておく。そしてなるべく血以外の物が入らないように……)
頭の中でシュミレーションする。
この作業だけは少女にやらせる訳にはいかない。
私は意を決して鍋の蓋を開けた。
バラバラ死体! 無視!
血液掬う! 早く早く!
蓋閉める! 終わり!!
乱暴に蓋を閉められカラカラと音を立てる鍋。
作業を終え、私は大きく深呼吸をした。
……少女のもとへと戻らなくては。 中央の部屋へと戻ってきた。
手には大皿に注がれた血液。
私の姿を見つけた少女に抱きつかれそうになるが、目で制止を掛ける。
気持ちは嬉しいけど、今は不味い。
少女はなんとか踏み留まってくれた。
……シュンとしないで。お願いだから。
テーブルの上に大皿を置く。
ポケットに入れておいたスプーンもすべて置いた。
「これで全部かな……」
隣で居心地悪そうにしていた少女を抱き寄せる。
少女は腕の中で嬉しそうに目を細めた。 最初から部屋に置かれていた赤いスープ。
木製の皿に入っている。
ついさっき私が持ってきた赤いスープ。
こちらは銀製の大皿に入っている。
どちらも同じものだろう。
人間の血液だ。
私は二つのスープを一つの皿へとまとめることにする。
木製の皿のスープを大皿へとくわえ、それを銀のスプーンで混ぜ合わせる。
大皿とスプーンに変化はない。
次に書物庫から持ってきた黒い液体。
液体が入った銀の皿は既に黒く変色しているが、一応確認。
新しいスプーンを黒い液体に浸してみる。
みるみる内に黒ずむスプーン。
やはり銀は毒味に使えるらしい。 さらに黒い液体を大皿へと流し込む。
大皿にはなみなみと液体が注がれている。
深めの皿を選んでよかった。
私は新しいスプーンでそれをかき混ぜる。
大皿とスプーンは黒く変色していく。
(毒入りスープの出来上がり、ってね……)
最後に私は大皿のそれを2枚の小皿へとそれぞれ移し替えた。
小皿に入った毒入りスープ、二人前。
それもスプーンで確認。黒く変色。
これで全ての準備は整った。 私はテーブルの上の蝋燭に目をやる。
蝋燭はもう1センチ程の長さしか残っていなかった。
本当にギリギリだったらしい。
私は少女と向き合う。
「私は、これまでに見付けた手懸りから、このスープを飲めば元の世界に帰れるんじゃないかと思ってる」
「…………」
「薄々気付いてたかもしれないけど、さっきの黒い液体。あれ、毒だ。飲んだら死んじゃうかもしれない」
「…………」
「それでも、私はこのスープを飲もうと思う。元の世界に帰りたいから。それでね……私は、あなたにもこのスープを飲んでもらいたい」
「…………」
「これは頼みじゃなくて……願い。あなたがスープを飲みたくないのなら、そう言って欲しいの。あなた自身の思いを、聞かせて欲しい」
「…………」
伝えたい事はすべて伝えた。
メモに書いてあったことが本当なら、少女に飲めと一言命令すれば飲んでくれるのだろう。
自分の意思とは無関係に。
でも、それではダメなんだ。
私を救ってくれた少女。
この子自身の意思で、決めて欲しい。 私との目線を外し、俯く少女。
小さな身体は震えていた。
怖いのだろう。
当たり前だ。私だって怖い。
沈黙。
時間は無常にも過ぎていく。
テーブルの上の蝋燭はもうボタン電池ほどしか残っていない。
……タイムリミットだ。
「ありがとう……あなたに会えてよかった」
少女を一人残していくのは忍びない。
しかし、スープを飲みたくないのならそれでいいと思う。
それが少女の選択なのだから。
それを責める権利なんて誰にもない。
願わくば、少女が無事に帰れますように。 立ち上がり、少女に背を向けた瞬間。
スカートの裾をギュッと掴まれる。
私は振り返る。
少女は泣いていた。
涙で顔をめちゃくちゃにしながら、
コクン。
一度だけ頷いた。
私は少女を抱き締める。
「……ごめんね……ありがとう……」
私も、泣いていた。 二人は並んで皿を持つ。
少女の様子を伺う。目が合う。
少女は小さく笑った。私も頬笑み返す。
そして一気に、
スープを、飲み干した。
瞬間。
呼吸と心拍が激しくなっていく。
身体中の血液がグツグツ煮えたぎるような感覚。
立って、いられない。
頭が痛い。胸が痛い。全身が、痛い。
隣の少女も苦しそうに悶えている。
私は力を振り絞り、少女を傍らへと寄せる。
しばらくもがいたあと、やがて少女は動かなくなった。
(ごめんね……)
わたしも……もう……げん……か…………
視界が真っ白に染まり上がる。 ………
……
…
ここはどこだろう。
白い。白くて、なにも見えない。
『 見 事 だ ! 』
吠えるような、声。
『 勇 敢 な る 者 よ ! 』
『 現 へ と 還 る が い い ! 』
最後に、そう聞こえた。
…
……
………
次に目が覚めたとき、私は自室のベッドの上で横になっていた。 ………
……
…
あの奇妙な夢を見た日から既に2週間以上が経つ。
夢から覚めた私はまず最初に自分の足を確認した。
ナイフでグサグサに刺したはずの左もも。
しかし、そこには傷ひとつ付いていなかった。
「……ふぅ」
結局その日は学校を休んだ。
雨に濡れたせいで体調を崩して……担任にはそんな説明をした気がする。
実際体調はすこぶる悪かったのだ。バチは当たらないだろう。
夕方見舞いにやって来た京子たちの姿を見て、不覚にも泣いてしまった。
珍しく綾乃と千歳も来ていて、それがまた嬉しかった。
……泣いている私を写真に撮ろうとしていた京子にはゲンコツをお見舞いしておいたが。
翌日からは普通に学校へ行った。
いつも通りの日常。
いつも通りの時間に目覚め、
いつも通りに授業を受け、
放課後はいつも通りに部室で京子たちと過ごす。
かけがえのない、そんな日常。 まりちゃんにも会いたくなった。
おばさんの家に電話を掛けると、ちょうど今度の日曜にまりちゃんと遊んで欲しかったそうだ。
私は二つ返事でOKした。
今日がその日曜日。
私はまりちゃんと二人で近所の公園にやって来ていた。
小さい子供はパワフルだ。
たっぷり遊んだはずなのにまだまだ遊び足りないという。
今は公園にいた同年代の子供たちの遊びに混ぜて貰っている。
……私はというと、疲れ果ててしまいベンチで休憩中。
(体力には結構自信があったんだけどな……)
なんとなく、左ももを撫でてみる。
「おねーちゃーん!」
「ん? はーい」
まりちゃんが戻ってきた。
そろそろ日が暮れる、おばさんもまりちゃんを迎えに来るだろう。
「もういいの?」
「うん!たのしかった!」
とびきりの笑顔。
私は「よかったね」とまりちゃんの頭を撫でる。 まりちゃんはくすぐったそうに顔を綻ばせる。
「はじめてみる子となかよくなったの!その子とずっとあそんでた!」
誰とでもすぐに打ち解けられるというのは子供の特権かもしれない。
私は、それを少し羨ましく思う。
「へぇ、どんな子だったの?」
「うんとねー! しろい子!すっごくかわいかった!」
頭を撫でる手がピタリと止まる。
白い子?
私はまりちゃんに詰め寄る。
「ま、まりちゃん!? その子は今どこにいるの!?」
「? もうかえったよ? まり、ばいばいーしたもん」
脳裏に浮かぶのはあの少女。
慌てて公園を見渡す。
夕暮れ時だ。
既に公園内の人の姿もまばらになっている。
それらしき姿は、見当たらない。 「おねーちゃんもあの子とあそびたかったの?」
「うん、そうだね……その子は何か言ってた?」
「おねーちゃんをみてやさしそうっていってた! まり、じまんのおねーちゃんだっていったの!」
「! そっか……そうなんだ……」
「えへへー! ? おねーちゃん、ないてる? おなかいたい?」
「…………ううん、大丈夫。なんでもない……なんでもないから……」
「おねーちゃん……」 あの出来事が夢だったのか、それとも現実だったのか。
それは今でもわからない。
しかし時間が経てばすべてが記憶から消えていくことだろう。
恐怖も。
痛みも。
少女のことも。
私の異常体験は終わったのだ。
今はただ、いつも通りの日常を、大切にしたい。
そう思った。 探索者名:船見結衣
探索結果:生還
クリアボーナス:SAN値+10
クリアボーナス2:SAN値+6(条件:少女の生存)
原作
クトゥルフTRPGやろうずコミュ
泥紳士様制作 『毒入りスープ』
終 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど なもり 同人 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど なもり 同人 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど なもり 同人 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど なもり 同人 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど なもり 同人 毒入りスープ面白いよな
簡単なセッションに見えて黒幕かなり大物だし 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど なもり 同人 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど なもり 同人 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど なもり 同人 「ありがとうございましたー」
目当ての参考書を購入し、本屋を出た。
その瞬間、むわっと伝わる湿気。
このところしばらく雨が続いており、ジメジメと不快で仕方がない。
空調がきいた店内に少々後ろ髪を引かれる。
(ひと雨、来るかもしれないわね……)
東の空に黒い入道雲を見つけた。
たまの晴れ間を見計らい買い物に出たものの、どうやら雨はまだ続くようだ。
鞄に入れた折り畳み傘を確認する。
使わずに済めばいいのだけれど。 つい先日も船見さんが雨に打たれ体調を崩したという。
私も歳納京子に連れられ、見舞いに行った。千歳も一緒に。
出迎えてくれた船見さんは思っていたよりも体調が悪そうだった。
熱はもう下がったと言ってはいたが、酷く疲れているように思えた。
……歳納京子は、構わず騒いでいたのだけれども。
結局最後には船見さんにゲンコツを食らっていた。
あれが幼馴染の距離感というものなのだろうか。
(……って、なに考えてるのよ、私は!)
歳納京子のことなんて、今はなにも関係ないじゃないか。
とにかく、見舞いに行っておいて自分も同じように風邪を引いたとなればいい笑い者だろう。
私は足早に帰路に着いた。 自宅まであと中ほどまで差し掛かった時、信号に捕まった。
国道に掛かったこの信号はなかなか色が変わらない。
普段なら大人しく待つのだが、このまま雨に打たれるのは癪だ。少しイライラする。
カチッ カチッ カチッ
私は信号機のボタンを続けて3度押した。
こんなことをしても意味など全くないのだろうが。
しばらくして信号が青へと変わる。
やはりここの信号は色が変わるまでが長い。
空を見ると雨雲はさらに近づいているように思えた。
家路を急ぐ。 横断歩道を渡ってほどなくした頃。
私は言い知れぬ不安に襲われ立ち止まった。
思えば信号待ちをしていた時から何かがおかしかったような気がする。
私はあそこで数分立ち往生をしていた。
私が目の前までやって来た途端に信号の色が赤へと変わったのだから間違いない。
しかしその間、車が1台でも通っただろうか?
チラリと左腕に付けた時計に目を向ける。
夕方5時、少し前。
普段ならせわしなく車が行き来している時間だ。
そんなことがあり得るのか?
私は周囲を見渡す。
駅に近いこともあり、この往来は人通りがとても多い。
実際、自宅から本屋へと向かう途中にもたくさんの人を見た。
「どうして誰もいないの……!?」
しかし今は人影一つ見当たらない。
車の排気音すら聞こえない。
夕暮れの街はあまりにも静かすぎた。
背中に冷たいものを感じる。
突如、けたたましい音が鳴り響く。 「ヒッ!」
飛び上がらんばかりに驚く。
不意を突かれ腰が抜けそうになった。
身体を硬直させ音に耳を傾けていると、すぐその正体に気付く。
(お、脅かさないでよ……!)
音の正体、それは17時の訪れを知らせるチャイムだった。
誰もが知っている童謡。
聞き慣れたはずのそれは、どこか不気味に思えた。
考えみれば、先ほど時計を見たばかりだったじゃないか。
……少し神経質になり過ぎているのかもしれない。
車が通らなかったのも、
周囲に人影が見当たらないのも、
すべては偶然。
たまにはこういう日もある。
無理やりにでもそう思うことにした。 見慣れた道を行く。
反響する足音だけがやけに大きく聞こえる。
自宅まで、こんなに遠かっただろうか?
早く家に帰りたい。
周囲には相変わらず人の気配はない。
気付けば私は走り出していた。
この焦燥感はなんなのだろう。
走る。走る。走る。
あの角を曲がって、少し行けば我が家だ。
「はぁ……はぁ……! ふぅ……」
あっけなく自宅の前まで着いた。
私は安堵のため息をもらす。
そら見たことか。
やはり私の考えすぎだったのだ。
先ほどまでの自分の焦りようを思い出し、苦笑する。
まずはシャワーを浴びよう。汗を掻いてしまった。
せっかく買った参考書だが、読むのはまた明日にしよう。
それから……。
ドアノブを回す。
ドアが、開く。
そこで私の意識は暗転した。 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど なもり 同人 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 街の様子がおかしかった。
静かすぎる街。
私一人が世界から取り残されたかのような感覚に陥った。
そこから逃げるようにして走った。
家に着き、安心したのも束の間。
中へ入ろうとした瞬間。意識が飛んだ。
(な、なんなの……私は一体、どうなったの……!?)
どこまでも続く暗闇。
その中で私は目を覚ました。
必死で目をこらす。なにも見えない。
耳に神経を研ぎ澄ませる。なにも聞こえない。
しいてあげるならば、自分の心音と呼吸の音。
微かにそれだけが聞こえた。 身動きを取ろうと身体をくねらせる。
手足は問題なく動いた。
狭い。
伸ばした腕がなにかにぶつかった。
どうやら壁のようだ。
反対側の腕でも確認してみると、やはりすぐ壁に触れる。
この空間は、異様に左右に狭い。
圧迫感に息苦しさを覚える。
それはまるで、自分が今、
空間と空間の、ほんのわずかな隙間、
そのわずかな隙間の中にいるような……
ーーーー壁の中にいる。
そんなフレーズが私の頭の中をよぎった。 伸ばした腕で頭上を確認する。
天井の高さはそこそこあるようだ。
壁を支えにしながら、私は恐る恐る立ち上がった。
カラカラに渇いた喉から声をしぼり出す。
「すみません! 誰か、誰かいませんか!?」
静寂。
期待むなしく、それに応えてくれる声はない。
静寂の中、私はひとり呆然と立ち尽くす。
なんでも理屈っぽく考えてしまうのは私の悪い癖だ。
数少ない友人は、それも長所だと言ってくれたのだが。
ただ、今はその癖を呪う。
気付いてしまったのだ。 私は自分の横に手をやる。
そこには確かに壁があった。
パンッ
小さく手を叩く。
パンッ パンッ
続けてもう2度。
静寂。
私は自分の考えに確信を持つ。
反響が、ない。
音は跳ね返って来ず、響きもしなかった。
それは、どこまでも広大な空間で音を出したかのようで……
「ありえない…………!」
この場所が超常的かつ、異常な空間だということ。
それを本能的に感じ取った。 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり 歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり