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ゆるゆりクトゥルフ [無断転載禁止]©2ch.net

0001名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 04:12:16.43
「……ここ、どこだ?」


気が付いたら見知らぬ場所にいた。

いつも通りの日常。

いつも通りの時間に目覚め、いつも通りに授業を受け、放課後はいつも通りに部室で京子たちと過ごした。
雨が降っていたので早めに解散し、帰宅後すぐにシャワーを浴びた。
買い物はしていなかったので夕食は買い置きのパスタを茹でて食べた。
ベッドの上でスマホをいじりながらだらだらしていたら眠くなって、それから……。


「ダメだ……思い出せない」


覚醒し切らない頭がもどかしい。
大きく息を吸い、吐き出す。

しっかりしろ、これは異常事態だ。
0066名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 18:37:30.75
立ち上がり、少女に背を向けた瞬間。
スカートの裾をギュッと掴まれる。

私は振り返る。

少女は泣いていた。

涙で顔をめちゃくちゃにしながら、


コクン。


一度だけ頷いた。



私は少女を抱き締める。


「……ごめんね……ありがとう……」


私も、泣いていた。
0067名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 18:40:03.99
二人は並んで皿を持つ。

少女の様子を伺う。目が合う。

少女は小さく笑った。私も頬笑み返す。


そして一気に、

スープを、飲み干した。


瞬間。


呼吸と心拍が激しくなっていく。

身体中の血液がグツグツ煮えたぎるような感覚。

立って、いられない。

頭が痛い。胸が痛い。全身が、痛い。

隣の少女も苦しそうに悶えている。

私は力を振り絞り、少女を傍らへと寄せる。


しばらくもがいたあと、やがて少女は動かなくなった。


(ごめんね……)


わたしも……もう……げん……か…………



視界が真っ白に染まり上がる。
0068名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 18:43:15.63
………
……



ここはどこだろう。
白い。白くて、なにも見えない。


『 見 事 だ ! 』


吠えるような、声。


『 勇 敢 な る 者 よ ! 』


『 現 へ と 還 る が い い ! 』



最後に、そう聞こえた。



……
………


次に目が覚めたとき、私は自室のベッドの上で横になっていた。
0069名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 18:47:27.93
………
……



あの奇妙な夢を見た日から既に2週間以上が経つ。

夢から覚めた私はまず最初に自分の足を確認した。
ナイフでグサグサに刺したはずの左もも。

しかし、そこには傷ひとつ付いていなかった。


「……ふぅ」


結局その日は学校を休んだ。
雨に濡れたせいで体調を崩して……担任にはそんな説明をした気がする。
実際体調はすこぶる悪かったのだ。バチは当たらないだろう。

夕方見舞いにやって来た京子たちの姿を見て、不覚にも泣いてしまった。
珍しく綾乃と千歳も来ていて、それがまた嬉しかった。
……泣いている私を写真に撮ろうとしていた京子にはゲンコツをお見舞いしておいたが。


翌日からは普通に学校へ行った。

いつも通りの日常。
いつも通りの時間に目覚め、
いつも通りに授業を受け、
放課後はいつも通りに部室で京子たちと過ごす。

かけがえのない、そんな日常。
0070名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 18:50:35.91
まりちゃんにも会いたくなった。
おばさんの家に電話を掛けると、ちょうど今度の日曜にまりちゃんと遊んで欲しかったそうだ。
私は二つ返事でOKした。


今日がその日曜日。
私はまりちゃんと二人で近所の公園にやって来ていた。


小さい子供はパワフルだ。
たっぷり遊んだはずなのにまだまだ遊び足りないという。
今は公園にいた同年代の子供たちの遊びに混ぜて貰っている。
……私はというと、疲れ果ててしまいベンチで休憩中。


(体力には結構自信があったんだけどな……)


なんとなく、左ももを撫でてみる。


「おねーちゃーん!」

「ん? はーい」


まりちゃんが戻ってきた。
そろそろ日が暮れる、おばさんもまりちゃんを迎えに来るだろう。


「もういいの?」

「うん!たのしかった!」


とびきりの笑顔。
私は「よかったね」とまりちゃんの頭を撫でる。
0071名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 18:53:37.63
まりちゃんはくすぐったそうに顔を綻ばせる。


「はじめてみる子となかよくなったの!その子とずっとあそんでた!」


誰とでもすぐに打ち解けられるというのは子供の特権かもしれない。
私は、それを少し羨ましく思う。


「へぇ、どんな子だったの?」

「うんとねー! しろい子!すっごくかわいかった!」


頭を撫でる手がピタリと止まる。

白い子?

私はまりちゃんに詰め寄る。


「ま、まりちゃん!? その子は今どこにいるの!?」

「? もうかえったよ? まり、ばいばいーしたもん」


脳裏に浮かぶのはあの少女。
慌てて公園を見渡す。
夕暮れ時だ。
既に公園内の人の姿もまばらになっている。


それらしき姿は、見当たらない。
0072名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 18:55:53.29
「おねーちゃんもあの子とあそびたかったの?」


「うん、そうだね……その子は何か言ってた?」


「おねーちゃんをみてやさしそうっていってた! まり、じまんのおねーちゃんだっていったの!」


「! そっか……そうなんだ……」



「えへへー! ? おねーちゃん、ないてる? おなかいたい?」


「…………ううん、大丈夫。なんでもない……なんでもないから……」


「おねーちゃん……」
0073名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 18:57:20.37
あの出来事が夢だったのか、それとも現実だったのか。

それは今でもわからない。

しかし時間が経てばすべてが記憶から消えていくことだろう。


恐怖も。

痛みも。

少女のことも。


私の異常体験は終わったのだ。


今はただ、いつも通りの日常を、大切にしたい。

そう思った。
0074名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 18:58:08.67
探索者名:船見結衣

探索結果:生還

クリアボーナス:SAN値+10

クリアボーナス2:SAN値+6(条件:少女の生存)



原作
クトゥルフTRPGやろうずコミュ
泥紳士様制作 『毒入りスープ』

0075名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 19:15:23.15
結衣のステータスしりたい
0076名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 20:07:30.60
クトゥルフ知らんが面白かったで
0077名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 20:08:17.42
おつ
0078名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 20:59:40.00
窓に!窓に!
0079名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 21:14:31.60
いあ!いあ!ゆるゆり!
0080名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 21:16:18.00
わきが!わきが!
0081名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 21:27:24.98
こんなとこまで沸くなよ
0082名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 22:31:37.93
ちなつ編、京子編、あかり編の順で頼む
0083名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 22:35:34.69
安価スレ希望
0084名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 23:31:21.34
おもしろかった
0085名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 23:46:04.31
あかりちゃん即発狂しそう
0086名無しの七森
垢版 |
2016/09/13(火) 23:50:26.48
SAN値低そう
0087名無しの七森
垢版 |
2016/09/14(水) 00:16:23.66
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                       
0088名無しの七森
垢版 |
2016/09/14(水) 00:38:38.94
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                                                               
0089名無しの七森
垢版 |
2016/09/14(水) 05:09:48.35
ワキガ編も是非頼む
0090名無しの七森
垢版 |
2016/09/14(水) 14:40:17.15
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど なもり 同人                                                                                                                       
0091名無しの七森
垢版 |
2016/09/14(水) 16:32:14.13
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど なもり 同人               
0092名無しの七森
垢版 |
2016/09/14(水) 16:50:22.48
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど なもり 同人                                               
0093名無しの七森
垢版 |
2016/09/14(水) 17:33:10.77
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど なもり 同人                                                                                                         
0094名無しの七森
垢版 |
2016/09/14(水) 22:38:07.50
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど なもり 同人                                               
0095名無しの七森
垢版 |
2016/09/14(水) 22:42:42.55
毒入りスープ面白いよな
簡単なセッションに見えて黒幕かなり大物だし
0096名無しの七森
垢版 |
2016/09/14(水) 23:51:14.67
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど なもり 同人                                                                                                                             
0097名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 01:00:19.13
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど なもり 同人                                    
0098名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 02:08:29.67
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど なもり 同人                                                   
0099名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 03:12:20.63
「ありがとうございましたー」


目当ての参考書を購入し、本屋を出た。
その瞬間、むわっと伝わる湿気。
このところしばらく雨が続いており、ジメジメと不快で仕方がない。
空調がきいた店内に少々後ろ髪を引かれる。


(ひと雨、来るかもしれないわね……)


東の空に黒い入道雲を見つけた。

たまの晴れ間を見計らい買い物に出たものの、どうやら雨はまだ続くようだ。
鞄に入れた折り畳み傘を確認する。


使わずに済めばいいのだけれど。
0100名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 03:15:07.30
つい先日も船見さんが雨に打たれ体調を崩したという。

私も歳納京子に連れられ、見舞いに行った。千歳も一緒に。
出迎えてくれた船見さんは思っていたよりも体調が悪そうだった。
熱はもう下がったと言ってはいたが、酷く疲れているように思えた。

……歳納京子は、構わず騒いでいたのだけれども。
結局最後には船見さんにゲンコツを食らっていた。
あれが幼馴染の距離感というものなのだろうか。


(……って、なに考えてるのよ、私は!)


歳納京子のことなんて、今はなにも関係ないじゃないか。


とにかく、見舞いに行っておいて自分も同じように風邪を引いたとなればいい笑い者だろう。

私は足早に帰路に着いた。
0101名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 03:21:10.69
杉浦綾乃ちゃん可愛すぎワロタwww
0102名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 03:21:44.36
自宅まであと中ほどまで差し掛かった時、信号に捕まった。

国道に掛かったこの信号はなかなか色が変わらない。
普段なら大人しく待つのだが、このまま雨に打たれるのは癪だ。少しイライラする。


カチッ カチッ カチッ


私は信号機のボタンを続けて3度押した。
こんなことをしても意味など全くないのだろうが。



しばらくして信号が青へと変わる。
やはりここの信号は色が変わるまでが長い。
空を見ると雨雲はさらに近づいているように思えた。

家路を急ぐ。
0103名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 03:31:47.53
横断歩道を渡ってほどなくした頃。
私は言い知れぬ不安に襲われ立ち止まった。


思えば信号待ちをしていた時から何かがおかしかったような気がする。
私はあそこで数分立ち往生をしていた。
私が目の前までやって来た途端に信号の色が赤へと変わったのだから間違いない。


しかしその間、車が1台でも通っただろうか?


チラリと左腕に付けた時計に目を向ける。
夕方5時、少し前。
普段ならせわしなく車が行き来している時間だ。
そんなことがあり得るのか?


私は周囲を見渡す。


駅に近いこともあり、この往来は人通りがとても多い。
実際、自宅から本屋へと向かう途中にもたくさんの人を見た。


「どうして誰もいないの……!?」


しかし今は人影一つ見当たらない。
車の排気音すら聞こえない。

夕暮れの街はあまりにも静かすぎた。
背中に冷たいものを感じる。



突如、けたたましい音が鳴り響く。
0104名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 03:37:52.73
「ヒッ!」


飛び上がらんばかりに驚く。
不意を突かれ腰が抜けそうになった。
身体を硬直させ音に耳を傾けていると、すぐその正体に気付く。


(お、脅かさないでよ……!)


音の正体、それは17時の訪れを知らせるチャイムだった。
誰もが知っている童謡。
聞き慣れたはずのそれは、どこか不気味に思えた。


考えみれば、先ほど時計を見たばかりだったじゃないか。
……少し神経質になり過ぎているのかもしれない。


車が通らなかったのも、
周囲に人影が見当たらないのも、


すべては偶然。

たまにはこういう日もある。
無理やりにでもそう思うことにした。
0105名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 03:39:38.02
期待
0106名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 03:43:01.94
見慣れた道を行く。
反響する足音だけがやけに大きく聞こえる。

自宅まで、こんなに遠かっただろうか?

早く家に帰りたい。
周囲には相変わらず人の気配はない。

気付けば私は走り出していた。


この焦燥感はなんなのだろう。
走る。走る。走る。
あの角を曲がって、少し行けば我が家だ。


「はぁ……はぁ……! ふぅ……」


あっけなく自宅の前まで着いた。
私は安堵のため息をもらす。

そら見たことか。
やはり私の考えすぎだったのだ。
先ほどまでの自分の焦りようを思い出し、苦笑する。


まずはシャワーを浴びよう。汗を掻いてしまった。
せっかく買った参考書だが、読むのはまた明日にしよう。
それから……。


ドアノブを回す。

ドアが、開く。



そこで私の意識は暗転した。
0107名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 09:01:50.42
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど なもり 同人                                                                                                                            
0108名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 11:14:15.45
ええな
0109名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 15:02:22.83
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                        
0110名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 16:06:21.28
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                                              
0111名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 17:30:31.21
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                                                            
0112名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 17:49:01.08
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                                                                                
0113名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 17:55:11.36
続き気になる
0114名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 18:01:08.66
綾乃は対処できないタイプ
0115名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 18:35:12.81
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                                 
0116名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 19:00:09.80
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                                                   
0117名無しの七森
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2016/09/15(木) 19:17:49.03
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                                                                       
0118名無しの七森
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2016/09/15(木) 19:38:47.78
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり           
0119名無しの七森
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2016/09/15(木) 19:47:04.63
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                              
0120名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 21:54:55.93
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                            
0121名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 23:02:45.18
ワクテカ
0122名無しの七森
垢版 |
2016/09/15(木) 23:44:26.97
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                           
0123名無しの七森
垢版 |
2016/09/16(金) 00:11:16.53
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                                                
0124名無しの七森
垢版 |
2016/09/16(金) 01:46:24.39
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                                                                                   
0125名無しの七森
垢版 |
2016/09/16(金) 02:11:34.68
ちゃんと続いてて嬉しい
0126名無しの七森
垢版 |
2016/09/16(金) 02:58:51.75
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                             
0127名無しの七森
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2016/09/16(金) 03:05:37.24
街の様子がおかしかった。

静かすぎる街。
私一人が世界から取り残されたかのような感覚に陥った。

そこから逃げるようにして走った。

家に着き、安心したのも束の間。
中へ入ろうとした瞬間。意識が飛んだ。


(な、なんなの……私は一体、どうなったの……!?)


どこまでも続く暗闇。
その中で私は目を覚ました。


必死で目をこらす。なにも見えない。

耳に神経を研ぎ澄ませる。なにも聞こえない。

しいてあげるならば、自分の心音と呼吸の音。
微かにそれだけが聞こえた。
0128名無しの七森
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2016/09/16(金) 03:11:17.01
身動きを取ろうと身体をくねらせる。
手足は問題なく動いた。

狭い。

伸ばした腕がなにかにぶつかった。
どうやら壁のようだ。
反対側の腕でも確認してみると、やはりすぐ壁に触れる。

この空間は、異様に左右に狭い。
圧迫感に息苦しさを覚える。


それはまるで、自分が今、
空間と空間の、ほんのわずかな隙間、
そのわずかな隙間の中にいるような……


ーーーー壁の中にいる。


そんなフレーズが私の頭の中をよぎった。
0129名無しの七森
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2016/09/16(金) 03:13:41.36
伸ばした腕で頭上を確認する。

天井の高さはそこそこあるようだ。
壁を支えにしながら、私は恐る恐る立ち上がった。

カラカラに渇いた喉から声をしぼり出す。


「すみません! 誰か、誰かいませんか!?」


静寂。
期待むなしく、それに応えてくれる声はない。

静寂の中、私はひとり呆然と立ち尽くす。

なんでも理屈っぽく考えてしまうのは私の悪い癖だ。
数少ない友人は、それも長所だと言ってくれたのだが。


ただ、今はその癖を呪う。
気付いてしまったのだ。
0130名無しの七森
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2016/09/16(金) 03:15:21.67
私は自分の横に手をやる。
そこには確かに壁があった。


パンッ


小さく手を叩く。


パンッ パンッ


続けてもう2度。


静寂。


私は自分の考えに確信を持つ。

反響が、ない。

音は跳ね返って来ず、響きもしなかった。
それは、どこまでも広大な空間で音を出したかのようで……


「ありえない…………!」


この場所が超常的かつ、異常な空間だということ。
それを本能的に感じ取った。
0131名無しの七森
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2016/09/16(金) 11:12:44.54
柏手兎
0132名無しの七森
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2016/09/16(金) 15:19:55.22
こっわ
0133名無しの七森
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2016/09/16(金) 16:09:13.70
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                                                                           
0134名無しの七森
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2016/09/16(金) 16:25:45.09
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                         
0135名無しの七森
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2016/09/16(金) 17:06:24.08
おっ更新きたで
0136名無しの七森
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2016/09/16(金) 17:53:00.51
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                    
0137名無しの七森
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2016/09/16(金) 19:15:10.32
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                              
0138名無しの七森
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2016/09/16(金) 19:42:53.77
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり          
0139名無しの七森
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2016/09/16(金) 19:54:04.54
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                   
0140名無しの七森
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2016/09/16(金) 20:06:12.33
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                              
0141名無しの七森
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2016/09/16(金) 20:20:41.41
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                                                   
0142名無しの七森
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2016/09/16(金) 20:56:42.86
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり       
0143名無しの七森
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2016/09/16(金) 21:08:07.46
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                        
0144名無しの七森
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2016/09/16(金) 21:19:32.86
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                         
0145名無しの七森
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2016/09/16(金) 21:31:43.41
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                                                           
0146名無しの七森
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2016/09/16(金) 21:44:53.47
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり               
0147名無しの七森
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2016/09/16(金) 21:55:03.84
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                
0148名無しの七森
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2016/09/16(金) 22:05:38.67
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                                
0149名無しの七森
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2016/09/16(金) 22:16:32.13
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                                                               
0150名無しの七森
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2016/09/16(金) 22:27:55.18
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                      
0151名無しの七森
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2016/09/16(金) 22:37:59.36
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                      
0153名無しの七森
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2016/09/16(金) 22:58:35.88
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                                                                     
0154名無しの七森
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2016/09/16(金) 23:13:35.16
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                            
0155名無しの七森
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2016/09/16(金) 23:24:00.32
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                            
0156名無しの七森
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2016/09/16(金) 23:37:32.63
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                                                  
0157名無しの七森
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2016/09/17(土) 00:00:27.79
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                
0158名無しの七森
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2016/09/17(土) 00:12:00.48
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                 
0159名無しの七森
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2016/09/17(土) 00:25:12.76
歳納京子 ゆるゆり 京綾 結京 ねんどろいど 同人 なもり                                                                                                   
0160名無しの七森
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2016/09/17(土) 07:08:29.94
そのとき私はハッと思い出す。
肩に掛かった重み、鞄の存在を。

慌てて鞄の中を探る。
手探りとなるが元よりそれほど物は入れていない。大丈夫なはずだ。


これは……違う、参考書。
これは……傘。
もっと奥の方に……。


薄く角ばった感触。
あった! 携帯電話!

私は手に取ったそれの電源を入れる。


(嘘でしょ……! ホラー映画じゃないんだから!)


ボタンを何度も押してみても反応がない。
液晶画面は暗いままだった。
充電は十分にしてあったはずなのに。

しばし携帯とのむなしい格闘が続いた。
0161名無しの七森
垢版 |
2016/09/17(土) 07:16:42.85
壁に背を預け、その場に座り込む。
そのまま膝をかかえ、身体を丸めた。
固い床だ。座り心地が悪い。


無駄な時間を過ごした。
いくら触っても反応しない携帯電話は再びバッグの中へと仕舞っておいた。


これからどうするべきなのだろう。
このまま闇の中でじっとしていてもいいのだろうか。

ここで誰かの助けを待つというのもひとつの手だ。
山での遭難者はその場から出来るだけ動かずにいるのが正解だという話を聞いたことがある。
焦って動き出したばかりに体力を消耗してしまったり、あるいはそのまま滑落してしまったり。
そういったケースがとても多いのだとか。


(でも、救援の望みは……薄いでしょうね……)


この空間が常識では測れない、異質なものであるという事を感じてしまったのだから。
オカルトの類いは微塵も信じていない私でも、心の中でなんとなくそれを認めてしまっている。


理屈。常識。セオリー。


私が今までに培ってきたもの。
その外付けの視界は、この状況ではあまりにも頼りなかった。
0162名無しの七森
垢版 |
2016/09/17(土) 07:23:02.84
今は何時くらいなのだろう。

左の手首をさすってみる。
時計は確かにそこにあったが、肝心の針が見えなかった。

そこでまたもや異変に気づく。
私は左手を自分の耳の方へとそっと近づけた。


秒針の進む音が聞こえない。


時計が、止まっている?


「勘弁してよ、もう…………!」


先ほどからこんなことばかりだ。
考えても考えても思考の渦から抜け出せない。
私はそっと目を閉じる。
目を開いていようが閉じていていようが、見えるものは変わらない。

闇。ただそれだけ。

五感の一つを奪われるということ。
それはこれほどまでに心細いのか。

再び思考の渦へと飛び込もうとした、その時。


………ァ…………



微かな音。
0163名無しの七森
垢版 |
2016/09/17(土) 07:27:49.32
瞬間、底に沈みかけていた意識を引き上げる。


今、微かに音が聞こえた。
発生源は……どこ?
周囲の気配を必死で探る。

しかし、それらしい気配はどこにもない。

空耳?

いや、そんなはずはない。
いつもより機敏になった耳が確かに捉えた音だ。空耳であるはずがない。


「まさか……」


とてつもなく嫌な予感がする。
音の発生源にひとつ、心当たりがあった。

確認するのが怖い。

だってそうじゃない。
もしそうなら、私の、私のすぐそばに狂気が潜んでいたことになるんだもの。

冷や汗が出る。心拍が激しくなる。

そんな意思とは裏腹に、身体が勝手に動く。



私はそっと傍らの壁に聞き耳を立てた。
0164名無しの七森
垢版 |
2016/09/17(土) 07:32:33.87
ごく小さな音がノイズのように聞こえる。


……ガ………………………………………


それは一定の言葉を刻んでいるようだった。
よく聞き取ろうと耳を澄ませる。


……ガ……………………ァ…………………


泡が囁くような、人間の物とは思えない不気味さ。
不快かつ、忌々しい発音の言葉。


……ガ……………………ァ…………………ン………………


それは決して音ではなく、言葉であるはずなのに。
私にはその言葉がなにを意味するのかがわからなかった。


むかむかとするような感覚と、理解できないものへの恐れで胸が支配される。


「…………ヒッ……!」


堪えきれず壁から耳を離す。

先ほどまで聞こえていた音がまだ、耳鳴りのように聞こえた。
0165名無しの七森
垢版 |
2016/09/17(土) 08:05:45.92
ここでSANチェックの時間です
0166名無しの七森
垢版 |
2016/09/17(土) 08:06:56.96
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