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舞台は、情報が全てテレビやラジオによる画像や音声などの感覚的なものばかりの社会。
そこでは本の所持が禁止されており、発見された場合はただちに「ファイアマン」(fireman)
と呼ばれる機関が出動して焼却し、所有者は逮捕されることになっていた。

(表向きの)理由は、本によって有害な情報が善良な市民にもたらされ、
社会の秩序と安寧が損なわれることを防ぐためだとされていた。

密告が奨励され、市民が相互監視する社会が形成され、表面上は穏やかな社会が築かれていた。

だがその結果、人々は思考力と記憶力を失い
わずか数年前のできごとさえ曖昧な形でしか覚えることができない愚民になっていた。