昨年8月から“失踪”状態にあった巨大匿名掲示板「2ちゃんねる」の管理運営者「ひろゆき」こと西村博之氏(29)が4日、早大(東京都新宿区)の学園祭で講演会を行った。
同掲示板での誹謗(ひぼう)中傷の書き込みなどをめぐる訴訟が続く西村氏。
先月も、1度も出廷することがないまま100万円の賠償命令を受けたが「裁判にはひまだったら行く」。
賠償金も払う気ナシと強気の姿勢を貫いた。



 ひろゆきがキター! “雲隠れ”をしていた西村氏が約1年2カ月ぶりに公の場に姿を見せた。

 “失踪中”の思いを存分に語ったのは「早稲田祭」で行った講演会で、お題は「2ちゃんねるから見た情報社会」。
 会場の大教室は立ち見を含めて約650人の聴衆で埋め尽くされた。

 西村氏が黒のTシャツにグレーの長袖シャツを羽織った姿で登壇すると、会場から「お〜っ」とどよめきが。
 「失踪報道がありましたが…」との司会者の突っ込みに、西村氏は「いやぁ、影武者なんで」と軽〜い口調でボケを披露、会場は爆笑となった。

 話題の中心はやはり、裁判に絡んだ失踪問題。
 先月には女子プロゴルフファー(24)が、掲示板で誹謗中傷されたとして書き込みの削除や損害賠償などを求めた訴訟で、西村氏は東京地裁から書き込みの削除と100万円の支払いなどを言い渡された。
 しかし、この訴訟で裁判所からの呼び出しを無視し、1度も法廷に現れなかった。

 その理由をめぐり西村氏は「実は北は北海道から南は沖縄まで似たような裁判が行われている」と告白。
 「弁護士の費用で100万円以上もかかるし…。まぁ、ひまだったらいくということ」とサラリと言ってのけた。

 「問題の部分は(掲示板から)削除した」と説明したが、「賠償金を強制的に払わせる法律もないし、裁判に勝とうが負けようが関係ない。
 (賠償金を)払わなければ一緒」と仰天発言。年収について「日本の人口(約1億2700万人)より少し多いくらい」と豪語、おカネに困っていないはずだが…。

 司会者から好物のスナック菓子「うまい棒」を差し入れられ、笑顔を見せた西村氏。
 しかし、終盤にアクシデントが発生。掲示板に寄せられた西村氏への質問を大画面に写し、本人がそれに答えるコーナーで、「死ね! ひろゆき」と記された投稿があったのだ。

 「軽いあいさつでしょう」とかわした西村氏。
 最後に、今パソコンをのぞいている人へ「外に出ろ!」とのメッセージを送り、講演会を終えた。
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■2ちゃんねる
 西村氏が米国留学中の1999年5月に開設した。
 1日1600万のヒット数を誇る巨大掲示板群で、約350以上の掲示板が存在。約450人のボランティアで運営。


★賠償金逃れは不可能…日大大学院教授が指摘

 「強制的に(賠償金を)払わせる法律がない」という西村氏の発言に、板倉宏日大大学院教授(刑法)は「裁判所の強制執行で賠償金を“集金”できる」と指摘する。
 賠償金逃れは不可能だという。また強制執行を回避するため、財産などを隠した場合は「強制執行妨害罪になる」とも。
 板倉教授は「なぜ、これまで損害賠償を命じてきた裁判所が、強制執行を行わないのか不思議だ。西村氏は財産がないわけではないのに…」と首をひねった。
http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200611/sha2006110500.html