その後のことはよく覚えていない。ぼぅっとしながらカズの言っていたことだけが頭の中で繰り返される。
そうしている内に午後の授業も終わり、いつの間にか下校時間になっていた。
鞄に教科書やらを詰めていると隣に誰かの気配を感じた。
ふと視線を横に移動させると、そこにはカナがいた。
「よ」
片手をやや挙げながら短く軽い挨拶をしてくるカナ。
どうということはない動作なのだが、それだけで俺は自分の胸の鼓動が高鳴っていくのがわかった。
「よ、よぉ…」
端から見てもぎこちない挨拶。カナの目にはどう映っているのだろうか?
「久しぶりだな、何か用か?」
自分の声が不自然に高くなっているのがわかる。恥ずかしさやら何やらで余計に動揺してるようだ。
我ながら情けないものだと思った。
「久しぶりだな、じゃないよ。最近、話しかけようとしたら逃げてない?何かあったのかなって思って心配してるんだよ?」
カナは俺の動揺に気付いていないのか、はたまた気付かぬ振りをしているのかいつも通りの明るい声で喋りかけてきた。
「あ、ああ。別に。最近、ちょっと忙しいだけだよ。だから心配すんなって。」
平静を装っているつもりでも、内心ではびくびくしている。なんでカナをこんなにも恐れなければならないのだろうか。
「そう?それじゃあ私は先に帰るけど、寄り道とかすんなよー?」
「ああ、うん。また明日。」
本当なら他愛ない会話なのだが、今の俺にとってはとてつもない大打撃になり得る会話だった。

帰り道、独りトボトボと歩きながら物思いに耽る。
今ならわかる、俺はカナのことが本気で好きなんだ。だが、この事実を本人に伝えるべきなのだろうか。
そこが問題なのだ。つまりは彼女に相手にされなかった場合、或いは恋愛対象として見られていなかった場合。
この場合、俺の気持ちを吐露し告白したところで今後の関係がギクシャクしてしまうだけである。
逆に万が一、カナにその気があったとしてもカズとカナの両方と対等に良い関係を続けられる自信がなかった。

さっきの続きです、やっぱカオス・・・寒い・・・

>>848
一緒に炬燵とか最高ッス・・・抱き締めちゃっていいんでしょうかね!?