0350名無しの七森(松本)
2022/01/18(火) 07:56:53.50京子「いいぞミラクるん!!」
結衣の部屋でミラクるんのアニメを見ている京子
だが、そのクオリティーは全盛期に比べて明らかに下がっていた
そんな番組を夢中で見ている京子に対し、結衣はどこか冷めた目で番組を見ている
京子「はー面白かった!な!面白かっただろ?」
番組を見終わり結衣に感想を聞く京子
結衣「どうもなぁ・・・、だんだん酷くなってきてるね。話はワンパターンだし、作画も酷いもんだ。なあ、今度から他のアニメ見たら?」
京子「な、な、な、何だとー!?ミラクるんは私の人生だ!そんなミラクるんをバカにするなんて許さないぞ!!」
大好きなミラクるんの事を悪く言われ声を荒らげる京子
そんな彼女を気にもせずに結衣は読書を始めてしまう
京子「ふん!いいよいいよ、私もう帰る!」
すっかり機嫌が悪くなった京子は結衣の部屋から出て行ってしまった
京子「何だよ結衣の奴、ミラクるんの事バカにして!頭に来るなぁ!」
結衣への不満を愚痴りながら道を歩いていると、数人の女子小学生達とすれ違った
女子A「そういえばミラクるん見た?」
京子「!?」
なんと女子小学生達はミラクるんの話をしていた
何だやっぱり子供達には大人気じゃないかと安心する京子だったが・・・
女子B「えー?そんなの見るわけないじゃん」
京子「え・・・?」
女子C「そうそう、もう飽きちゃったよ」
女子A「だよねー。最近つまんないし、早く終われば良いのにね」
京子「・・・・・・!」
小学生達からもミラクるんを悪く言われた京子は思わず走り出してしまった
京子は公園のベンチに腰掛けていた
京子「全く、みんな不人情だなぁ。本当のファンなら、落ち目の時にこそ応援しなくちゃいけないのに!私は絶対にミラクるんを見捨てないぞ!・・・あれ?」
正面のベンチに腰掛けている一人の中年男性の姿が京子の目に入る
京子「(あ、あの人もしかして)」
ベンチから立ち上がると京子は男性のもとへ駆け寄った
京子「ミラクるんの監督の太田雅彦さんですよね!?雑誌のインタビュー写真で見た事あります!あのサインよろしいですかっ!?私ミラクるんの大ファンなんです!」
太田「そりゃどうも・・・」
京子が差し出したスケッチブックに快くサインを書く太田監督だが、どこか浮かない表情をしている
京子「あ、ありがとうございます!」
太田「こちらこそミラクるんを応援してくれてありがとう。でも、残念だけどもうすぐお別れだよ」
京子「お別れ!?・・・どうして?」
太田「番組が打ち切りになりそうなんだ。視聴率が下がる一方だからね」
京子「打ち切り!?そんな!ど、どうして・・・!?」
太田「製作費が減らされたからね。だんだんアニメも安っぽくなっちゃって」
京子「もっとお金を掛ければいいのに」
太田「視聴率が悪いのにお金を出すスポンサーはいないよ。寂しいけど仕方ないさ。今まで応援してくれてありがとうね。君の様なファンがいてくれて嬉しいよ」
そう言うと太田監督はその場から立ち去って行った
京子は涙を流しながら太田監督の後ろ姿を見つめるしかなかった