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自衛隊がファンタジー世界に召喚されました【避難板】
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0091†Mango Mangüé(ガラプー KK85-/v34)
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2018/06/16(土) 03:16:13.386684ID:sHnq7/2lK
叔父で私兵軍の兵権を握っているアレク団長はこの場では最も自らの地位が保てるか怪しかった。
この場でチャールズに取り入る必要があったので同調している。
領主一族は今回の選挙に複数立候補して、既得勢力の票をわざと割ったのだ。
次回は領主一族が一丸となってチャールズを支持する。
日本側も領主一族に遠慮しているのか、様々な点で優遇を約束しているので勢力の維持は難しくない。
勝算は大いに高かった。
一度勝ってさえしまえば領主一族内で自治領主の座をまわしていけばいい。
状況によっては、自治領から再び男爵領に戻してもいい。
その頃には周辺領地とは隔絶した発展を遂げているはずである。

「もしくはその先・・・大陸中で選挙が行われるならばいずれは統一選挙が行われるかもしれない。
その時は我々一族は先駆者として中央の政界に討って出る。
この雌伏の時を皆で支えあっていこうぞ。」

誰もが遠い将来について自分達に都合よく語っていた。
大陸も日本も人ではない者達も。
そんな先のことは誰にもわからないのに


大陸南部
百済市沖
『瞬間の欠片』号

旧大韓民国・北朝鮮からの転移移民者が住む百済市の沖に、楕円形の物体が密かに浮上していた。

その背中に乗っていた数人の者達が水平線の向こうの百済市を見据えていた。

「数日のうちにあの街に地球からの諸王が一同に介する。
その時を狙い我等アガフィア海の民がその尽くを討ち取る。」

すでに数千を越える兵達が近海に潜んでいる。
決行の日までには万を越える軍勢になろう。
海底でも活動、生存できる海の民の利点だった。
百済サミットまで一週間を切っていた。
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0092†Mango Mangüé(ワッチョイ 711c-Cu4h)
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2018/06/16(土) 05:13:21.702693ID:UV8yj9Gy0
日本を取り囲む反日国家の存在を考慮すれば冗談抜きでスイスやフィンランドみたいな
国民皆兵制国家への移行以外に日本国民の生存手段は存在しないんだよな。

改憲(防衛関係の法整備含む)と自衛隊増強(装備・人員)が完了するまで日米安保は破棄出来ないのは勿論、
暫定措置として民兵隊の設置(当然銃刀法は改正)を認めなきゃ冗談抜きでカルタゴやタスマニア人の二の舞だ。
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Rock54ed.

0094†Mango Mangüé(ガラプー KK85-/v34)
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2018/06/16(土) 15:39:40.246249ID:kSuJk6KgK
大陸南部
百済市
百済市は高麗国が観光や仕事で日本に来ていた南北朝鮮人15万人の居住先として南部貴族エレンハフト伯爵領を占領して出来た町だ。
他にも日本人を伴侶にもつ一家や在日と呼ばれる者達も入植してきて現在の人口は18万人となっている。
何れは元在日朝鮮人が百済市の主流になるだろうと言われている。
高麗国にとっては大陸への窓口としての拠点でもあり、新香港、ヴェルフネウディンスクの次に建設された。
この占領と百済市の建設は完全に高麗国の独断ではあるが、日本が来日中の朝鮮人の扱いに困っていたのも事実中なので、事後承認の形で後押しをした。
大陸東端に新京、西端に新香港、北端にヴェルフネウディンスク市があることに対抗してか、大陸南端の貴族領が割譲された。
資源としては金や銅の鉱山が発見されていた。
問題は高麗国には鉱山の開発能力がまるで無いところである。
韓国や北朝鮮が徴兵制を採用していただけあって、国防警備隊を比較的早く組織した。
この百済にも守備隊として1個連隊にもおよぶ隊員が常駐している。
また、サミットに合わせて本国から1個大隊の警備隊員が増援として派遣されている。
その警備隊が警備する百済港の桟橋に日本国海上自衛隊新京地方隊に所属する護衛艦『くらま』が入港した。
海上では李舜臣級駆逐艦『大祚栄』警備にあたっている。
艦名は渤海の初代王に由来している。
『くらま』から港に降り立った大陸総督秋月春種は、警備隊音楽隊による君が代の演奏の中、百済市長の白泰英と握手をかわす。
白泰英は日本で参議院議員だったこともある男で転移後にこちらに再帰化した経緯がある。
日本からの紐付きと揶揄されていて支持率は高くない。
今回は議長として役割に張り切っている。

「ようこそいらっしゃいました。
他の首脳はもう到着しております。
会議は明日からですので、今日はごゆっくりして下さい。」
「ありがとうございます。
実りある会議になるように頑張りましょう。」

当たり障りない挨拶をかわす首脳陣を尻目に、防衛問題を話し合う為に随員となっていた高橋伸彦二等陸将は港に停泊する艦隊を眺める。
新香港の江凱I型(054型)フリゲート『常州』。
ブリタニアのアンザック級フリゲート『スチュアート』。
北方のヴェルフネウディンスク市からスラヴァ級ミサイル巡洋艦『ヴァリヤーグ』。
日本から供与されたサイゴンやルソンの巡視船や巡視艇の姿も見受けられる。
この2隻は転移前に南シナ問題でベトナムやフィリピン用に発注されていた船だ。
そして、今回新たにサミットに参加するガンダーラのシヴァリク級『サヒャディ』の姿が見受けられる。
さすがに海上戦力が貧弱なスコータイ、ドン・ペドロ、アルベルトの3都市の首脳は列車で来訪している。
また、オブザーバーである王国の宰相も列車で百済まで来訪していた。

「見応えがあるな。
ちょっとした国際観艦式みたいだな。」

だが港の外には多数のプラカードやのぼりを持ったデモ隊がシュプレヒコールをあげているのには苦笑を禁じ得ない。

「ああ、今回もあれですか」

うんざりした声を出す秋月総督を秋山補佐官が宥める。

「まあ、風物詩みたいなものですから」

高橋は総督達とともに宿泊先である日本資本のホテルに案内される。
百済はまだ空港が建設中であり、町並みも接収時の地球でいう中世型の建築物が多数残っており、そのまま使用されている。
警備や防諜、或いは施設の充実ぶりは日本資本のホテルが一番安心できた。
スタッフも大半が朝鮮人を伴侶に持つ日本人ばかりだ。
秋月総督が部屋で寛いでいると秋山補佐官が入室してくる。

「閣下、お休みのところ申し訳ありません。
マレーシア代表のアブドゥル・ザヒド・ヒマディ氏がご挨拶に来ていますが。
お会いになられますか?」

予定にはないが、理由は予想が付く。
マレーシア、バングラディシュ、ブルネイ、インドネシアによる東南アジアムスリムによる都市建設のプレゼンの為の直談判である。
ほとんど決定しているようなものなのだが、ブリタニカに出し抜かれた記憶が不安を呼んでいるのだろう。

「仕方がない会おう。
ホテルの応接室を用意してたまえ。」

会議の前日から忙しいことだった。


新香港系列ホテルでは新香港の主席一行が滞在していた。
そして、林主席も不意な来客に困らされている。

「確かに我々はお嬢さんとその家族、領民を追い出して居座った負い目はある。
だが現時点で日本の方針に逆らうのは得策ではない。
第一、我々も技術を大陸に対して開放しない方針には賛成なのだよ?」

新香港はかつてのヒルダの実家の領地だった。
その後も彼女の実家であるハイライン侯爵領や彼女が預かるアンフォニー男爵領の開発での大事な商売相手なので会見は許可した。
だが技術の規制緩和を日本に提案させられる到底同意できる内容ではない。

「しかし、新香港もいつまでも日本の風下に立つ気はないのでしょう?
このままではあなた方も飲み込まれますよ、日本に。」

その懸念は確かに林主席にもある。
観光客や日本で働いていた留学生、労働者が集って作られた新香港の子供の数は多くなかった。
人口が激減することは間違いなく、その頃には日本に吸収されるかもしれない。
これは他の地球系諸都市も同様だろう。
地球系諸都市は出産を奨励して産めよ増やせよ状態だが、人口が安定するまで時間を稼ぐ必要があるのも確かだった。

「その為に大陸民に技術を施して日本に対抗させる?
その牙が我々に向かない保障はないですからな。」
「軍事的な対抗は考えていません。
私達が求めるのは純粋な技術の向上による経済力の強化と勢力の維持のみです。
ですがアンフォニーから出る石炭は新香港にも必要でしょう?
現状では需要に供給を満たすことは出来ていません。
爆砕や列車による移動はその供給を拡大するのに大きく貢献すると思うですが?」

確かにその通りではある。
だが問題はもっと現実的なものだった。
それは単純に技術がないのだ。
転移当時の日本に来ていた観光客、労働者に鉱山に関する労働者、技術者は少ない。
観光客などは基本的に富裕層だし、鉱業が盛んでない日本で働いてた労働者や技術者にその分野の人間がいないのも当然なのだ。
鉄道に関しても似たようなものだ。
僅かにいた労働者、技術者は新香港自体の開発や後進の指導の為に手が空いていない。
この事は彼女等に教える必要はない。
何より彼女等が思い違いをしている点がある。

「お嬢さん一つ勘違いをしてるようだから訂正しておこう。
今回我々は大陸の今後の方針を話し合う為に集まっている。
だが大筋は既に官僚間で既に決まっているのだよ。
我々はそれを互いに確認しあい、、承認し、共同で声明を出すに過ぎない。
政治工作をするなら半年遅かったのだよ。」

本当は前回のサミットが終わった頃から官僚達の調整が始まっている。
トップなどお飾りに過ぎない。
だが領内で辣腕を奮うワンマン貴族には受け入れられないかもしれない。
しかし、ヒルダは領内で多数の日本人顧問を登用していた女傑である。
あまり衝撃を受けたように見えなかった。
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0095†Mango Mangüé(ガラプー KK85-/v34)
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2018/06/16(土) 15:43:53.577438ID:+iAf39AAK
「わかりました。
今回は新香港からの協力は諦めることにします。
でも私の言ったことも覚えておいて下さい。
それと不躾ながら主席閣下にお願いがあるのですが」

上目遣いで訴えてくる。
林主席としても悪い気はしないが、新香港の主席として毅然として対応しなければならない。

「お願いします・・・閣下・・・」
「私にできることならなんなりと。」

ヒルダの願いを跳ね退けたのだから可能なものならかなえてやるつもりだ。
ヒルダは大事な商売相手だ。
その面子を潰すわけにはいかない。

「ではお一つ。
ヴェルフネウディンスク市市長閣下への紹介状を認(したた)めて戴きたいのです。」


別室に控えていた斉藤は今回の訪問の主旨を後藤とマイラに説明していた。

「今回の会談だけで目的が達せられることは絶対に有り得ません。
ヒルダ様は数年先を見込んでいますが、私は数十年先まで交渉は続くと思っています。」

年内には成果を得られると考えていたマイラは黙っていた。

「まあ、何かしろの供与や商業的譲歩が得られればラッキーくらいだな。
ダメ元でもやってみないことには始まらないしな。」

後藤の言葉に斉藤も頷く。

「我々の目的は日本以外の地球系都市に危機意識という種を蒔くことです。
マイラさんにも新設されるガンダーラでやって頂きます。」
「えっと、御指導よろしく頼むわね。
私のやり方は拙速すぎるとは理解したから。
でもいいの?
貴方達の行動は母国に弓をひく行為にならないの?」



百済市沖の海中
アガフィア海亀甲艦隊
旗艦『瞬間の欠片』

アガフィア海を領域とする海棲亜人は海亀の獣人である。
基本的に長寿だが獣人となった影響か、人間でいうところの三メートル以上の大きさになる個体は産まれなくなっていた。
彼等は同属である獣人化しなかった超大型海亀の甲羅を改造して艦船として利用していた。
大きさは成長度によってかわるが、旗艦である『瞬間の欠片』号は全長200メートルを越える大型海亀である。
内部には乗員三百匹が操艦している。
巨大な甲羅の上では上陸用の重甲羅海兵千匹ばかりが手足を自らの甲羅の引っ込めて待機している。
ザギモ・ザロ提督は要請した本国からの増援の少なさに落胆していた。

「本国からの増援の艦はもう少し欲しかったな。」
「これでも全艦隊の半数以上を投入しているのです。
これ以上は無理でしょう。」

艦長の言うことは最もだが今回の襲撃が上手くいけば地球系国家に乾坤一擲の打撃を与えられる。
本国からは中型の海亀が12匹が到着している。
それぞれ重甲羅海兵400匹が乗っている。

「三千ばかりの重甲羅海兵には自力で泳いで上陸してもらうことになるな。」

海底に待機している三部隊は慎重に百済市まで、海底を這って進軍していた。
彼等には苦労を掛けるのが忍びがたかった。
艦長が百済港にまで偵察に出ていた兵から報告を受けていた。

「斥候が白地に赤い丸が描かれた旗がひるがえった大型艦が寄港したのを確認しました。」
「いよいよだな。
全軍に通達せよ、明日の太陽が落ちる頃に強襲上陸を開始する。」

水中にいる限りは人間種に海の民を見付ける術はない。
この作戦は完璧なはずだった。


百済市

早朝、朝食を終えた一行は会議所となるエレンハフト城に車に乗って集まり始めた。
港は貴重な水産資源を採取する為に漁船が港から出港していく。
食料の確保は至上の命題であり、港の近海の各所に魚群探知機を仕込んだブイが仕込まれている。

「反応が大きいな。
凄い魚の群れが来てるぞ。」
「今日は大漁だな。
港の漁船をありったけだせ!!」
それは重甲羅海兵による先遣隊であったが魚群探知機では大型魚類の群れにしか見えてなかった。


海中では1隻の潜水艦が控えていた。
孫元一級潜水艦『鄭地』。
高麗王朝末期の武将鄭地に由来する。
高麗本国からサミット警備に派遣されていたこの艦は開催日までは外洋で待機していた。
日付が変わってから沖合いまで移動したところで、アガフィア海亀甲艦隊の動向を察知したのだ。
ブイから発信される魚群探知機からのデータやアクティブソナーの反応から正確な位置を割り出している。
だがこの時点では敵は軍事勢力ではなく、巨大モンスターの群れの襲来としか考えられていない。
『鄭地』は艦隊の後方から魚雷の射程距離内に捉えていた。

「隅田川の事件の二の舞はごめんだからな。
ここで仕留める!!
百済の司令部と後方の『みちしお』にも通信を送れ、平文で構わん。」

どうせ傍受できる相手などいないと転移後は雑になった部分である。
海中のモンスター退治も何度か経験した任務だ。
艦長の決断のもとに副長が指示を出していく。

「魚雷管注水、前扉開きました、用意よし。」
「・・・、発射開始!!」
「一番魚雷発射!!
続いて20秒後に四番発射!」


百済沖
孫元一級潜水艦『鄭地』から発射されたK731 533mm長魚雷「白鮫」二発が速度35kn(時速63q)の速度で、アガフィア海亀甲艦隊の最後尾の中型海亀に向かっていく。
「目標12に一発命中、二発目を目標11回避!!」
「魚雷を自爆させろ。」

直撃は無理でも生物なら爆発による衝撃波でダメージを与えられるはずだ。
だがソナー員の報告に艦内に衝撃が走る。

「目標12・・・健在、回頭しつつ・・・こちらに多数の物体を放ってきました!!」
「馬鹿な・・・、3番、5番連続発射!!
投射物体の先端で自爆させろ!!」

TNT爆薬370sの威力を目標12こと、『紅の夕月』号は魚雷の直撃を受けたわけではない。
甲羅に無数に張り付いた重甲羅海兵隊の亀人達の甲羅に直撃したのだ。
それでも爆圧は『紅の夕月』を無傷にさせない。
爆発で甲羅の一部が割れて流血している。
亀の甲羅は皮膚の一部であり、手足や首や尻尾など、甲羅の外に現れている柔らかい部分の皮膚とつながっている。
甲羅に直結した内蔵に衝撃を受けて激痛の中を我慢して回頭したのだ。
生き残った重甲羅海兵隊の兵士達が『紅の夕月』から飛び出して『鄭地』に接近戦を挑んでいく。
だが魚雷の自爆で重甲羅海兵隊の兵士達が蹴散らされていった。
だか『紅の夕月』が『鄭地』まで一キロを切る距離までに近づいている。
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0096†Mango Mangüé(ガラプー KK85-/v34)
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2018/06/16(土) 16:23:44.790048ID:Oak6wUVIK
「下げ潜舵、速度、ダウントリム一杯!!
進度2−8―0へ。」

間一髪飛び掛かる『紅の夕月』の真下に潜り込み回避した。

「回避に成功、後部から雷跡音6・・・『みちしお』のです。
目標12に当たります・・・」

『みちしお』の89式魚雷が6本が群がる重甲羅海兵を爆発するまでもなく推進力のみで蹴散らし、『紅の夕月』号に一発が命中して爆発する。
残りの五本はアガフィア海亀甲艦隊に襲い掛かり炸裂する。
甲羅で覆われてない部分に命中した『紅の夕月』号は頭部と右前足を吹き飛ばされて海底に着底して絶命した。


おやしお型潜水艦『みちしお』
「目標12の沈黙を確認。
目標7から11に魚雷着弾・・・、健在!!
被弾した目標が多数の物体を放出しながら」
反転してこちらに向かってきます。」

『みちしお』をはじめとする自衛隊の艦船もモンスターと戦うことが任務に加わってしまった。
その為に各艦に超音波魚群探知機が搭載されることになってしまった。
これまでのソナーでも同じことは出来るのだが、人間サイズの生き物が海底を無呼吸で潜水艦を襲ってくることは想定されてなかったからだ。
新規開発するより民間の魚群探知機を搭載する方が手っ取り早かったのだ。
これでは旧韓国海軍を笑えない。
だが今はそれが役にたっているのだから皮肉なものである。
そして、戦況はまだ好転していない。

「数が多い、不味いな。」

最低でも二発はぶちこまないと倒せない大型生物。
数百単位で群れをなして襲ってくる人サイズの生物。
艦長の佐々木弘毅二等海佐は魚雷の残数14本を確認して眉をひそめる。
『鄭地』も残りが12本のはずだ。
敵はまるで軍隊のような隊列を敷いて、こちらに向かってきてくれいるので対処しやすい。
しかし、バラバラにこられたら対処は不可能だった。
だが大型の生物のうち被弾してない個体はこちらを無視して陸地に向かっている。

「地上に連絡しろ。
敵がそっちに向かったと。」

通信傍受による危険性は皆無だから問題は無かった。

「少しは陸の連中に獲物を残してやらないとな。
さあ、残った敵は我々で片付けるぞ。」



百済市
エレンハフト城
各都市の首脳が招かれたエレンハフト城には舞踏会にも使える広間が存在する。
その広間に絨毯が敷かれ、テーブルにクロスが掛けられて会談が始まっていた。

「では、正式にガンダーラの建設を承認します。」

議長である白泰英百済市市長の宣言のもと会場にいる来賓が拍手で迎え、中央の壇上に暫定ガンダーラ代表プチャランカ氏の挨拶が行われている。
ガンダーラの主軸となるネパール人は約五万六千人を数える。
その数は日本政府の予想を越えて単独で都市を任せられるほどである。
2010年に起きたネパールによる国王暗殺事件ならびにマオイストとの内戦の結果、日本国内では急速にネパール人人口が増大していた結果だった。
だが地球では内陸国であったネパール人達は独自の軍事力や船舶を持っていなかった。
地上部隊に関しては若者達を鍛え直してグルカ・ライフル大隊を創設した。
少数だが日本にもグルカ旅団やPMCで活躍したネパール料理料理人達がいたのが幸いした。
だが船舶に関してはどうにもならない。
船員の経験者もほとんどいなかった。
そこで彼等が目をつけたのは同じ仏教系であるミャンマー、ブータン、インドである。
インド人二万四千人、ミャンマー人一万三千人、ブータン人が百名程度。
彼等の配偶者となった日本人を加えれば人口は九万五千人の人口となる。
インド、ミャンマー人のもつ船舶も魅力である。

「上手く話がまとまって何よりですな。」
「そうですな、アイルランドの連中もブリタニカに合流を表明してくれたのは助かりました。」

白市長に声を掛けられて秋月総督も頷く。
秋月総督はマイクを受け取りプチャランカ氏に質問する。

「現在、大陸各地ではモンスターによるスタンピードが懸念されています。
日本を初めとして各都市ではモンスターの駆除が行われていますが、ガンダーラ建設予定地での進行状況をお聞きしたい。」

プチャランカ氏は水を一口飲んで発言する。

「現在増強したグルカ・ライフル2個大隊を用いてガンダーラの地の掃討作戦を実施しております。
蜂人の集落を一つ、オークの集落を三つ駆除しました。
ジャングルや山岳での戦いなら我々に負けはありません。」

ライフルとグルカナイフで多大な成果をあげている彼等に列席者は賛辞を惜しまない。

「掃討作戦は貴都市の安全に繋がります。
我々も可能な範囲で協力は惜しまないつもりです。」

プチャランカ氏と秋月総督の握手に会場が拍手に包まれる。
ここまでは台本通りである。
プチャランカ氏とスタッフには専用の席が与えられる。
これでG10はG11となる。
ここからは各都市の問題が提示されて協力できる範囲を調整に入る。
調整の内容は前日までに決まっている。
日本からはスタンピード問題。
新香港からは不足するエネルギー問題が提示された。
これは昨夜のヒルダに言われるまでもなく林主席としても認識はしていたのだ。


ヒルダは知らないことだが、新香港は東シナ海に海底油田や天然ガス田を八ヶ所ばかり保有している。
新香港は供給する側なのだ。
確かに新香港のエネルギー需要に足りていないのは事実だが、日本に供給する分を減らせばいいだけの話である。
新香港にも足りてない事実が存在した方が日本に高値で売り安いのだ。
つまりヒルダの提案は迷惑でしかなかった。
おそらく北サハリンのヴェルフネウディンスク市長も話を持ち掛けられても同様な反応だろう。

「我が新香港としては新都市建設にあたり、必要となるエネルギーの増産の安定化に努めていきたいと思います。」

ヴェルフネウディンスク市の問題は単純だ。
東部、西部、南部と違って列車の途中駅がまったく無いのだ。
東部東端の新京から中央の王都ソフィアまで7つの駅がある。
王都から西部西端の新香港まで同じくらいの距離だがこちらは建設中のエジンバラ駅が存在する。
その東西線の距離は約四千キロに及ぶ。
南北線も似たような距離だ。
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0097†Mango Mangüé(ガラプー KK85-/v34)
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2018/06/16(土) 16:27:51.566586ID:rp6XSFqVK
王都ソフィアから南部南端の終着駅百済の間にはアンフォニーとケンタウルス自治伯領最大の町ウォルロックの2つ駅が存在する。
百済−新香港間にも線路が敷かれる計画で現在も敷設工事中である。
海岸沿いにルソン、サイゴン、スコータイ、アルベルト、ドン・ペドロ、ブリタニカの都市が100キロごとに存在してすで鉄道の運行が始まっている。
ここにガンダーラが加わることになる。
ところがソフィアーヴェルフネウディンスク間の約二千キロの間に途中駅が存在しない。
この問題がヴェルフネウディンスクの悩みの種であった。
ヴェルフネウディンスク市長の問題提起の最中に白泰英百済市市長のもとに国防警備隊の幹部が耳打ちしに来た。

「沖合いでモンスターの大群が発見されました。
百済市に向かっているとの交戦中の潜水艦からの報告です。」
「そうかわかった。
早く始末してくれたまえ、サミットに泥を塗りたくない。」

白市長はあまり事態を深刻に捉えていない。
それは伝えに来た幹部も同様の態度だったから深刻さが伝わらなかったせいでもある。
だが会場を見渡すと秋月総督のもとに高橋陸将が耳打ちしていて、総督は困った顔を見せている。
日本側も事態を察したと国防警備隊幹部は捉えていた。
国防警備隊幹部は会場を離れると携帯電話で警備隊司令部に命令を伝える。

「『大祚栄』、『太平洋10号』を出港させろ。
敵を港湾に近づけるな。」



百済港
護衛艦『くらま』
港の桟橋を離れて、李舜臣級駆逐艦『大祚栄』、太平洋型警備救難艦『太平洋10号』が出港していく。
『太平洋10号』は大韓民国慶尚南道群山市の海洋警察暑所属の艦であった。
だがパトロール中に転移に巻き込まれ百済の国防警備隊に組み込まれた。
『大祚栄』は転移の年には日本への寄港や近海での活動が多く、転移に巻き込まれた艦である。
百済警備の一翼を担う2隻が一度に出港すれば、同じ港にいる他国、他都市の艦の耳目を集めてしまう。
『くらま』艦長佐野光一郎二等海佐もブリッジから双眼鏡で出港する2隻を眺めて舌打ちをする。

「事前通達は無しか。
我々は『もちしお』からの連絡を受けているからいいが他艦の連中は困惑しているだろうな。」

『くらま』は『もちしお』から連絡を受けて、半舷上陸させていた乗員を呼び戻している。
さらに搭載している3機のうち1機のSH-60K哨戒ヘリコプターを飛ばして湾内の警戒にあたらせている。
もう1機はいざというときに総督達をエレンハフト城から退避させる為に待機させてある。
日本と高麗の不穏な動きを察知して、各艦から問い合わせが相次いる。
「今、忙しい!!
百済の警備隊本部に聞け!!」

そう言いつつも事態の異常さをまとめた書類を他艦に渡す為に伝令を直接走らせて向かわせていた。
百済港内でこのような警戒態勢にあたるのも問題になるかもしれない。
だが百済市の対応の甘さの巻き添えになる気は毛頭無かった。


百済沖海中
アガフィア海亀甲艦隊
旗艦『瞬間の欠片』号
艦隊を指揮するザギモ・ザロ提督のもとに各艦からの伝令がひっきりなしに泳いでくる。


UA:N05C
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[3]
06/17 23:11
「くそ、計算違いもいいところだ。
完全なる奇襲の筈が先制攻撃まで受けてしまったぞ。
まさかこちらが海中で攻撃を受けるとわな。
戦況はどうなっている。」

参謀が卓上の地図の駒を杖で指して説明を始める。

「『紅の夕月』撃沈。
他5匹が負傷しつつ、敵の海中艦を迎え討っております。
まもなく泳いで敵都市に向かっていた先鋒の重甲羅海兵の千匹隊が3隊が沿岸部に到達する頃です。」

だがそこに新たな伝令が飛び込んでくる。

「大変です!!
沿岸部の海域に大量の罠が仕掛けてあります!!
重甲羅海兵が次々とその罠に・・・」

提督はその伝令の言葉に戦慄を覚えていた。

「まさか我々の行動が敵に漏れていたのか・・・
そんなはずは・・・」

無数の亀人海兵達が網に包まれ、自らの固い甲羅をぶつけあってもがいていた。
手足や頭を甲羅に引っ込めるのが遅かった者達は仲間の甲羅にその露出した体を砕かれて悲鳴をあげている。
強固な甲羅同士がぶつかり、互いに破損したり衝撃で絶命する者もいる。
彼等を虐殺に及んだ罠は、海底に杭で固定された袋状又は垣根状の複数の魚網、定置網の仕業だった。
この海域には大小様々な定置網が設置されていて、魚群探知機で獲物の大群がやってきたことを悟った漁師達により巻き上げ作業が始まっている。
巻き上げられる魚網にその体躯を捉えられた重甲羅海兵達は次々と犠牲となっていた。

百済沖
おやしお型潜水艦『もちしお』
アガフィア海亀甲艦隊と2隻の潜水艦の戦いは続いていた。
「目標11に魚雷着弾!!
目標11圧壊しています。」
「目標11上部から離脱する物体群に4番魚雷自爆。
放出された物体が散り散りになっています。」

残りの魚雷は12本。
こちらに向かってくるのは大型生物は4匹。
大型生物と小集団を仕留めるのに必要なのは最低でも8本。
艦長の佐々木二佐はまだ自艦と敵との距離があるので余裕があった。
第一斉射が89式魚雷の有効射程距離限界ギリギリの27海里/50キロメートルから攻撃だったこともある。
だが友軍の潜水艦『鄭地』はだいぶ距離を詰められている。
何より敵小集団のものと思われる何かが外側から『鄭地』を叩いている音もソナーが捉えている。
何で叩いてるかわからないが、潜水艦に孔を穿つほどではない。

「『鄭地』からスクリュー音が減少。
『鄭地』がマスカーを起動させた模様です。」

マスカーと呼ばれる気泡発生装置により、艦周辺の水中に気泡を作られていく。
本来は音源となるスクリューを主とする音を水中で伝わりにくくする装置だ。
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0098†Mango Mangüé(ガラプー KK6d-/v34)
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2018/06/17(日) 04:01:31.564017ID:/akEGpUCK
また、艦体との海水と船体の摩擦抵抗の軽減にも使われる。
『鄭地』の艦体表面に取りついていた重甲羅海兵達が気泡に押し流されていく。
或いは摩擦が軽減して滑って『鄭地』から放り出されていく。
そのまま『鄭地』から四本の魚雷発射された。
目標9、10に魚雷が命中し、自爆した魚雷が小集団を粉砕されていく。

「残り2匹。
仕留めたのが3匹ずつなら互いの沽券も傷つけまい。
よし舵そのまま、機関逆進!
ピンガーを打て!」

戦闘中に政治まで考慮しないといけないのは佐々木二佐に取っても煩わしかった。
『もちしお』と『鄭地』は互いの獲物を追跡する。



百済沿岸
定置網が重甲羅海兵達に犠牲を強いている頃、その定置網を水揚げをしようとしていた各漁船に無線で状況が漁師達に伝わっていた。

「なんだ魚じゃないのか・・・」

魚群探知機には大量に獲物の影が映っていただけに漁師達の落胆は激しかった。

「迂闊に引き揚げると危ないってか?」
「でも亀のモンスターなんだろ?
肉は食えるし、甲羅は漢方や鼈甲になるから損はあるまい。」
「じゃあ、もう少しひっぱり回して弱らせとくか。
それと・・・、武器を出しとくか。」

国防警備隊も漁師達も亀人が獣人の一種である認識も無いし、敵が軍隊であるとも考えていない。
単なる昨今問題視されていたモンスターのスタンピードの類いだと思われている。
漁師達は普段から用意してあるモンスターを相手にする為のダイナマイトや猟銃、銛を手に持ち始めて、海面に姿を見せた重甲羅海兵達を仕留めていく。
重甲羅海兵達は固い甲羅を持っているが、海遊する為には四本の脚や頭部や尻尾を甲羅から出さないといけない。
露出した部位が攻撃を受けて負傷した者や死亡した者が続出した。
さすがに全ての重甲羅海兵が定置網に捕らわれていたわけではない。
二千匹ほどの重甲羅海兵達が、定置網を避けて海面まで浮上して突破したからだ。
定置網や漁船の包囲を抜けて胸を撫でおろしていた。
だがそんな彼等の前に高麗国国防警備隊の李舜臣級駆逐艦『大祚栄』、太平洋型警備救難艦『太平洋10号』が姿を現した。


「攻撃を開始せよ。
一匹たりとも逃がすな。」

『大祚栄』艦長の命令のもと、『大祚栄』のMk-45 127mm砲が発砲する。
ゴールキーパー 30mmCIWSも海上を舐めるように掃射を開始する。
Mk 32 3連装短魚雷発射管から6発の魚雷が発射され重甲羅海兵の密集した海域で自爆して肉片や甲羅が爆風に巻き上げられて空を飛ぶ。
『太平洋10号』もそれらを突破してきた重甲羅海兵達に40mm連装機銃、シーバルカン 20mm機銃、ブローニングM2重機関銃を撃ち込んでいく。
加えて2隻から発進したスーパーリンクス 300が2機とKa-32ヘリコプターがドアガンを用いて海面の掃射に参加する。
水柱がところ構わず数十、数百本と立ち上がる。
だがその海面の地獄を掻い潜り、アガフィア海亀甲艦隊が海中を通過していく。
海面が激しく叩かれて、爆発で海上、海中が乱れているので、上手くすり抜けられると思われた。
しかし、『大祚栄』のソナーや魚群探知機は逃がさない。
『大祚栄』のMk 41VLSが開き、対潜ミサイル紅鮫が次々と発射された。
対潜ミサイル紅鮫は上空で落下傘を開いて減速、着水した。
着水時に落下傘を切り離し、スクリューが稼動する。
その後は魚雷としてアガフィア海亀甲艦隊を追跡する。
複数の魚雷をぶつける必要がある情報が伝わっていなかったのか6本だけである。
目標を感知した誘導魚雷がアガフィア海亀甲艦隊に次々と命中するが、海中での爆発を受けながらも撃沈、或いは離脱した中型海亀はいない。
アガフィア海亀甲艦隊は遂に百済港のある湾岸に到達に成功した。


エレンハフト城
エレンハフト城の大広間ではサミットが続いていた。
現在はルソン代表ニーナ・タカヤマ市長が問題を提示していた。
ニーナ・タカヤマ市長は日本ではグラビアモデルをしていた経歴を持つ。
ルソンは23万人の在日フィリピン人やその日本人の伴侶を主な住民としている。
これらに加えて転移当時来日していたフィリピン人も共に市民生活を送っている。
問題は男女比が25対75な点である。

「圧倒的に女性が多くて労働力が足りません。
現在は協定に従って大陸民を地域から追放していますが、都市では大陸人の移民を望む声も一定数あり、当局は対応に苦慮しています。
当然のことながら軍警察の男性隊員による実働部隊が30名と少なく、治安の悪化と大陸民の都市部郊外での居住区の成立を防げていません。」

このままではスタンピード防止の為の駆除作業も遅々として進まず被害を受ける可能性が大であった。
産業も特に育っていない。
膨大な女性の大半は水商売や性風俗の経験者ばかりだ。
しかも転移から十年も立つと高齢化により需要も右肩下がりだ。
領域内に炭鉱もあるのだが開発を行うことも出来ていない。
ルソンからの希望は各都市からの資本の投入と多国籍軍の派遣であった。
サミット参加国はこれを了承するとともに地球系人類との積極的婚活を支援する声明が出された。
ルソンに割り当てられた時間が終わり会議は休憩の時間となった。
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0099†Mango Mangüé(ガラプー KK6d-/v34)
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2018/06/17(日) 04:07:32.844313ID:xnAAHSiOK
書類をまとめている秋月総督や秋山補佐官のもとに高橋陸将が『くらま』や『もちしお』から送られた戦況が書かれた報告書を差し出してくる。
ただモンスターの種類まではまだ調査中となっていた。

「海洋モンスターのスタンピードですか。
まあ、順調なようですね。
何か懸念になる点でも?」
「『鄭地』ですが魚雷の使いすぎです。
高麗に魚雷の生産能力は無いはずです。
一応、忠告をしといた方がいいと思いますが・・・」

高麗国は軍艦から潜水艦といった艦艇の建造能力を保有している。だが他の兵器の製造能力は限定されていた。
それでも本国の3島には結構なサンプルが残っていたので再現と量産を目標としていた。
最も資源の確保自体が停滞しているので日本からの輸入頼りになっているのが現状だ。

「高麗国って何を生産してるんですか?」

高橋陸将は少し考えこんで答える。

「近年は『大祚栄』と『太平洋10号』の主砲や機関砲の弾薬に集中してましたからね。
あとはK1A1 5.56mmアサルトカービン、ブローニングM2重機関銃とその弾薬。
野外炊事車、浄水セット・・・
ああ、最近はK131多用途車の再現に成功して、次はK311小型トラックだとか言ってましたね。」

比較的常識の範囲で意外であった。
ミサイルや魚雷の生産にはいまだに携わることが出来ていない。
つまり現在の在庫が全てなのであった。

「出し惜しみされてここまで、モンスターの侵入を許されても迷惑ですな。
事が終わるまで黙っていたまえ。
それと秋山君。
本国に高麗が長魚雷の輸入を打診してくるかもしれないから対応を考慮してくれるよう連絡しといてくれ。」

話し合っているうちに休憩時間は終わり、サイゴンの代表が壇上に立つがバルコニーや窓の側にいた人間達が騒ぎ始めた。
高橋陸将がバルコニーから外の光景を見渡すと、エレンハフト城から見渡せる百済の港湾に数隻の船のような物体が港に向かっていた。
高橋陸将はその物体を見て舌打ちする。

「亀甲船?
なるほど我々に対するイヤミか。」

エレンハフト城から距離はあるのだがその大きさから形は辛うじて見てとれる。
高橋陸将は大広間にいる白泰英百済市長を睨み付けた。
それは城内の日本人達に伝染していった。
険悪な雰囲気に新香港の林主席もやり過ぎだと肩を竦めていたが、謂われの無い視線の集中に白市長は身震いしていた。

「誰だあんなもの用意してた奴は!!」

自分を市長の座から引き摺り降ろそうとする反動主義者によるセレモニーと疑って掛かっていた。
百済市にいる市民は日本に観光や仕事で来ていた人間ばかりで比較的反日傾向は薄い。
だが高麗本国の人間には警戒が必要だった。
現に港で反日デモを行っていたのは本国に籍を置く市民団体が中心になっている。
再び警備隊の幹部を呼び出して命令する。

「さっさと警備隊を港に派遣して連中を排除しろ!!
このままではサミットが台無しだ。」



アガフィア海亀甲艦隊
旗艦『瞬間の欠片』号
『瞬間の欠片』号は海底を這って進んでいた。
おかげで地球系海軍にはまだ見付かっていない。
その内部で艦隊を指揮するザギモ・ザロ提督は、損害の大きさに頭を抱えていた。
百済の港にようやく中型海亀を侵入させたが、魚雷による負傷で浮上させざるを得なかった。
だが港に侵入したにも関わらず、何故か攻撃は受けていない。
港には数隻の軍船の姿が確認されているが、まるで動きを見せていなかった。

「重甲羅海兵の生き残りはどれくらいか?」

ザギモ・ザロ提督は味方の状況を整理していた参謀に問い質す。

「先鋒隊の一部が交戦中なので、詳細は不明ですが。
湾内には千と百ばかり。
そして、本船の三百は無傷です。」

作戦開始時には一万を数えた軍団が1400しか残っていない。

「撤退を命じるべきなんだろうな本当は・・・」
「ですが退路はすでにありません。」

本当は軍隊と認識されていないので、湾外に逃げ出した重甲羅海兵達は追撃を受けておらず退路はガバガバである。
ただ潜水艦による後背からの奇襲。
巧妙な網を使って待ち構えていた罠。
迎撃に出てきた軍船による激しい攻撃。

「やはり我々の作戦は漏洩していたのだろうな。」
「残念であります。
ここまで周到に待ち構えていた敵です。
我々を生かして帰す気はないでしょう。」
「だが敵の王達が参集しているというのは本当のようだ。
せめて、一太刀浴びせてくれよう。」

ザギモ・ザロ提督は右前足を静かに振って、全軍に前進を命じた。



百済港
デモ隊と亀甲船の排除を命じられた国防警備隊の隊員達はパトカーやバスを改造して造った輸送車で百済港に到着していた。
責任者の一人である隊長柳基宗大尉が、岸壁に陣取るデモ隊の一人に声を掛ける。

「おい亀甲船を早く撤去しろ。
あちこちに迷惑が掛かってるんだよ。」
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0100†Mango Mangüé(ガラプー KK6d-/v34)
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2018/06/17(日) 04:17:58.400552ID:28YSlsJ6K
声を掛けられたデモ隊の若者は困った顔で、柳大尉に海上を見るよう指を指した。
岸壁には数隻の手漕ぎボートをもとに造られたみすぼらしい亀甲船が浮かんでいた。
大きさは二メートルほど。
城から見えるサイズではない。
柳大尉はそのデザインに些か失望を覚えた。
次に若者が港湾の奥を指差す。
そこには城から見えた巨大な亀甲船が浮かんでいた。
舳先には亀甲船の特徴の竜頭もついている。

「竜頭にしては丸いか?」

だが勇壮な姿は子供の頃に妄想した『ボクの考えた最強亀甲船』そのものだった。

「そうだよ、亀甲船はああじゃないと。」
「あれ、俺らが用意したのじゃないです。」
「えっ?」

若者の言葉に驚いていると、亀甲船の舳先の竜頭がこちらを向いていて目が合ってしまった。

「敵襲!!」

叫びと同時に海中から無数の岩球とハンマーが飛んできて警備隊とデモ隊に降り注いだ


百済港
無数の岩球やハンマーが、港に陣取っていたデモ隊や取り締まりに来た国防警備隊の隊員達に別け隔てることなく降り注ぐ。
岩球は縄で括られて、ハンマー投げと同じように重甲羅海兵がその身を回転させて遠心力で飛ばされてくる。
近くにいたデモ隊の若者が押し潰されて絶命する。
その様子を見ていた柳基宗大尉は上陸してきた重甲羅海兵の振るうハンマーを地面を転がりながら攻撃を避けていた。

「くそ、調子に乗るな!!」

ホルスターから引き抜いたK5 9mm拳銃の銃弾を重甲羅海兵に叩き込む。
K5 9mm拳銃はコルト社のガバメントの後継として開発された韓国国産の自動拳銃だ。
装弾数は12発と予備が一発。
その一匹に三発の銃弾を叩き込んだ。
とても痛そうにもがいてひっくり返っている。
多少は甲羅にヒビが入っているが死んでいないようだ。
どうも起き上がれないようなので戦闘不能と判断してよいようだった。
だが続々と重甲羅海兵が上陸してくる。

「隊長!!」

隊員達がK1A1 5.56mmアサルトカービンやK7サブマシンガンで反撃を開始する。
K131多用途車の銃座からはK6 12.7mm重機関銃の発砲も始まり、上陸しようとする重甲羅海兵達は血祭りにあげられていく。
柳大尉は逃げ遅れたデモ隊の若者達を庇いつつ味方の援護を受けながらパトカーまで退避する。
そのまま小銃を受け取り、パトカーのドアを盾に発砲しながら部隊をさらに後退させて距離を取らせる。
近距離からの遭遇戦になった為にいらぬ犠牲者を出した。
今も前に出ていた隊員の頭部が投擲されたハンマーで弾き飛ばされている。
パトカーも岩球にフロントガラスを粉砕されて車内に入り込まれて動かせなくなった。
敵の投擲武器の到達距離を脱するのに指示をだした。
銃火器による射程距離はこちらが上なのだ。
徐々に味方の一方的な攻勢になっていく。
だが重甲羅海兵達も負傷や戦死する前に前後の足や頭を引っ込めて仲間同士で積み上がっていく。

「防壁?」

重厚な甲羅と内部の肉体が防壁となって銃弾を防ぎ始める。
甲羅の傾斜も多少の避弾経始の効果があるようだ。
防壁の向こうから岩球やハンマーが飛んできてパトカーの屋根が押し潰される。
さらに海上にいた中型海亀が多少は戸惑った顔をしながら、前足のヒレで港に停泊していた亀甲船を弾き飛ばしてパトカーを盾に陣取っていた警備隊員達にぶつけてきた。
他の中型海亀もヒレで海水を掻き上げて警備隊員達に浴びせてくる。
海水の重さで流される者や制服が海水に濡れて動きが鈍る者が続出した。

「後退だ、後退しろ!!」

港の戦いは国防警備隊が不利なまま警備隊の増援や上陸してくる重甲羅海兵の逐次投入で戦場は広がっていく。


エレンハフト城
港湾の戦闘による銃声はエレンハフト城まで聞こえてきている。
高橋陸将はバルコニーから日本の総督府一行が陣取る座席に戻って来る。

「突破されるかもしれません。
『くらま』に援護させるべきかもしれません。
城からの脱出も考えましたがここは城塞ですからもう少し様子をみた方がいいかもしれません。」

秋月総督は渋い顔をする。
ここは高麗国の領域だ。
相手国からの要請無しに軍事行動は慎むべきである。
『みちしお』の戦闘に関しては海中でのことで表沙汰になることは本来なかった。
大陸における領海に関する取り決めが曖昧なままだったこともある。

「『くらま』は戦闘の用意は出来てますね?
敵が防衛線を突破するか、『くらま』に攻撃を仕掛けるまでは待機を命じます。
今はG11が一丸となって困難に立ち向かうというポーズを大陸側に見せる必要もあります。」

今はサイゴンの市長ロイ・スアン・ソンが演説している。
元々は在日ベトナム大使館の公邸料理人だった男で転移当時の混乱する職員達をまとめ上げる指導力を発揮した。
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0101†Mango Mangüé(ガラプー KK6d-/v34)
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2018/06/17(日) 04:21:52.462955ID:wQEb2vTlK
在日・訪日ベトナム人達の指導的立場となり、大陸に建設されたサイゴンの市長に選出された経緯のある人物だ。
サイゴン市の人口は約16万人。
出稼ぎ労働者と高等留学生が多数を占めている為に工場の誘致が積極的に行われている。
金、銀、鉛、亜鉛の鉱山も開発が進んでおり独立都市の中では新香港に次ぐ安定性を保っている。
特に問題となる点もないので国際貢献を高らかに謳い、大陸での影響力の拡大を狙っている。
だが市民の避難を促すサイレンの音まで聞こえてくると、出席者達の視線がロイ市長に突き刺さってくる。
たまたま壇上に上がっていた為に各都市の代表達はロイ市長に最初の一言を言わせるよう視線で圧力を掛けてきているのだ。
咳払いをして気を取り直したロイ市長は白市長に声をかける。

「白市長、そろそろタイムミリットです。
百済市に存在するサミット諸国の戦力をモンスター討伐に活用する許可をお願いしたい。」
「しかし、我が都市の主権が・・・」

林市長はいまだに躊躇している。

「ですが先程サミット諸国は多国籍軍を動員してモンスターのスタンピード事案に対処する協定にサインをしたばかりです。
些か準備不足で唐突な出撃となりますが、あくまで協定の範囲内。
ご許可頂けますな?」

まだ躊躇う顔をしていた白市長だが、観念した顔になり静かに語りだした。

「わかりました。
スタンピード化したモンスター討伐の為に、百済市は多国籍軍の出動を要請します・・・」
「承知した。」

そう答えた秋月総督は立ち上がり、高橋陸将に頷く。
高橋陸将が退出して、日本代表団の控え室に向かう。

「まあ、しょうがありませんな。」

新香港の林主席も隣に座っていた常峰輝武警少将に指示を出す。

他の都市の代表達も各々の武官と話し合いを始めたり、合図だけ送って武官を退出させたりしている。
エレンハフト城の城壁には最小限の護衛を残して武官達が銃を構えて陣取っていく。
すでに国防警備隊の防衛線を突破してきた少数の重甲羅海兵達に発砲している。
すでに戦闘は市街戦にまで発展しているようだ。
その音を聞きながら溜め息を吐く男がいた。

「なあデウラー団長。
我らも兵士を差し向けた方がよいのではないか?」

大陸に名目上君臨する唯一国王の冠を戴く男はこの会議中終始空気扱いであった。
先の皇帝である兄を裏切った男に貴族達からの支持も薄い。

「むしろ陛下。
この場であの地球人どもを討ち取るというのは如何でしょう。
今なら容易く我らだけでできます。」

禿頭の近衛騎士団団長デウラーは剣の柄に手を掛ける。
エレンハフト城には30騎の近衛騎士が国王に付き従っているだけだが、城外には200名の騎士団と3000の兵士が待機しているのだ。

「まだその時ではない。
今は控えよ。」
「はっ・・・」

静観を命じられてデウラー団長は内心胸を撫で下ろしていた。
確かに今はまだその時ではなかった。
今は・・・


百済港
港での戦いは続いていた。
柳大尉は部下達を率いて倉庫街の路地にバリケードをひいて防衛戦を続けている。
市民にも幾ばかりか犠牲者が出ているようだ。
戦闘自体は別段に苦境に陥っているわけではない。
単に味方が分断され、弾薬も残り少なく、市民が殺されてるだけだ。

「くそ、最悪だな。」

事態をいくらポジティブに考えてみてもネガティブに陥っていく。
中型海亀も掻き上げていた海水の範囲から国防警備隊の姿が消えると上陸を始めようとしていた。



海上自衛隊
護衛艦『くらま』

「現時点を持って、サミット派遣艦隊はモンスター討伐の任にあたる。」

進水から48年もたつ老朽艦である『くらま』だが、度重なる近代化改修や艦齢延長工事の結果、いまだに現役として動くことが出来る。

「CICに伝達。
主砲搭照準に固定。」

それを証明するように73式54口径5インチ単装速射砲2門が目標に設定した中型海亀に照準を合わせている。
あいにく対艦ミサイルは再生産の難しさから使用には多重の規制が掛けられている。
主砲と魚雷で仕留めるしかない。

「CIC了解。
諸元入力、照準を固定、完全自動追尾!」
「CIC了解。
諸元入力、照準を固定、完全自動追尾!」
「『常州』、『スチュアート』から砲撃準備完了の連絡が来ました。」
「『ヴァリヤーグ』、『サヒャディ』、準備完了!!」
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0102†Mango Mangüé(ガラプー KK6d-/v34)
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2018/06/17(日) 04:24:45.692958ID:DGDIyHghK
港の桟橋に停泊していた5隻の艦の主砲が各々の目標を捉える。
最も老朽艦である『くらま』が艦隊の指揮を執ることを艦長の佐野二佐は皮肉と思いつつ号令を発する。

「各艦、砲撃を開始せよ・・撃ちー方始めー!!」

五隻の軍艦による発砲はそれぞれ目標とした中型海亀に命中する。
だが硬い甲羅に覆われた中型海亀はダメージを受けつつも一発や2発の砲弾では仕留めきれない。
だが五発、7発と命中するととともに中型海亀達は絶叫をあげつつ傷つき、倒されていく。
各艦は桟橋から離れて湾から移動しつつ砲撃を続ける。

「ソナーに感。
でかい、今までで一番デカイのが浮上して来ます。」
「まだいたのか!!
アスロック1番、2番発射!!」

74式アスロック8連装発射機から短魚雷が2発発射されて海中の大型目標に命中させるが浮上は止まらない。

「増速、この場から離れろ!!」
港ではマニラとサイゴンの巡視船が陸地に沿って航行をしていた。
彼等には日本からいわみ型巡視船が供与されている。
サイゴンの巡視船『CSB−8007』、ルソンの巡視船『コロン』の2隻が30mm単装機銃を港にいる重甲羅海兵に向けて発砲する。
港から岩球やハンマーが飛んで来るが、両船はものともせずに投擲場所に向けて発砲して粉砕する。
総崩れになった重甲羅海兵達を柳大尉達が掃討していく。

艦隊から発艦したSH-60K3機、Z-9C対潜ヘリコプター1機、SH-2 哨戒ヘリコプタースーパーシースプライト1機、Ka-27(カモフ27)が1機、HAL ドゥルーブ2機が空中からドアガンや機関砲で重甲羅海兵の掃討戦に参加していく。
陸上の戦いは終息しつつあった。
海上の中型海亀『根深き樹』がもう一匹が残っている。
他の中型海亀が盾になる形で砲撃の死角となっていたからだ。
撃沈された中型海亀の乗員や重甲羅海兵の生き残りを救助しつつ海上に現れた『瞬間の欠片』号に全てを任せて海中に潜行して港湾から脱出をはかる。
艦隊やヘリコプター部隊は『根深き樹』を相手にする余裕はなかった。
だが砲撃音が聞こえている。
柳大尉が奪還した岸壁からみた光景に絶句する。
それは海上を二足歩行する超巨大大亀『瞬間の欠片』号だった。

艦隊は攻撃を続けているが、尋常にない硬さに思うように効果をあげていない。

「か、怪獣?」

その光景はエレンハフト城からも見ることが出来た。
このままでは艦隊や地上の部隊、百済市に致命的な損害が出てしまう。
秋月総督はバルコニーでその光景を見ていた。

「『くらま』には無理か?」
「申し訳ありません。
我々では手詰まりです。」

『くらま』には対艦ミサイルは装備されていない。

「ならば出来る艦にやって頂きましょう。」

北サハリン海軍所属のミサイル巡洋艦『ヴァリヤーグ』に対艦ミサイルに対する規制が解除の命令が下された。
艦長のキリール・イグナチェフ大佐は命令を受諾すると部下達にも指示を下す。
『ヴァリヤーグ』をはじめとする各艦が『瞬間の欠片』号から距離を取ると号令を発する。

「撃て!!」

『ヴァリヤーグ』が搭載するP−1000がSSM連装発射筒から発射された艦対艦ミサイル、バルカンが短距離から加速して『瞬間の欠片』号に命中する。
近距離の為にマッハ2,5にまでは到達しなかったが『瞬間の欠片』号の背中の甲羅を貫き内部から爆発するのは一瞬の出来事のように思えた。
『ヴァリヤーグ』に命令が下されたのは対艦ミサイルの生産が可能だという現実的な話だった。
イグナチェフ大佐は双眼鏡で『瞬間の欠片』号が倒れ伏し、巨大な水柱が上がるのを見て感慨深げに呟いた。

「まあ、所詮は生物だな、一撃で死にやがった。」


エレンハフト城では列席者達から歓声が上がっていた。
白市長は椅子に体を預けて安堵の表情を見せている。
秋月総督は秋山補佐官から小声で呟かれる。

「今回の襲撃者達はモンスターではありません。
亀の獣人です。
捕縛した亀人からの証言によるとこれは軍事行動です。」
「また、レムリア連合皇国絡みですか?」
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0103†Mango Mangüé(ガラプー KK6d-/v34)
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2018/06/17(日) 04:27:04.095614ID:2air8Bw/K
「確証はまだありませんが時期に判明するでしょう。
近海で静観していた北サハリンの潜水艦が撤退中の巨大海亀を追跡中です。」

今まででほとんど情報を得ることが出来なかった海棲亜人の根拠地の存在が確認出来るかもしれない。
だが続く情報が朗報に冷水を浴びせてきた。
白市長が慌てて秋月の元に駆け込んでくる。

「そ、総督閣下・・・、高麗本国で『珍島犬1』が発令されました。
本国が直接攻撃を受けたのです。
日本政府に援軍の要請をお願いしたい!!」

百済市内の戦いもいまだに続いていたが、サミットはようやく初日を終わろうとしていた。
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0105†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 12:48:22.749216ID:R9ySUlZEK
高麗国巨済島
首都巨済市
国防警備隊本部
事の起こりは漁師達が海上に城が建っているとの通報から始まっている。
そして、高速で移動しているという。
城が海上でである。
警備隊はこの通報を悪戯或いは、誤報として処理した。
最初の襲撃は新巨済大橋跡で行われた。
新巨済大橋は転移前は巨済市と統営市を結ぶ、国道14号線の橋である。
転移と同時に橋の真ん中が分断されて消滅し、走行中の車両や徒歩の人間が海に落ちて大惨事を招いていた。
その後は新巨済大橋は閉鎖されて、その橋脚の付近は釣り人の釣り場となっている。
そんな釣り人が目撃したのは巨大な建築物が海上を移動しているところだった。
巨大な岩山をくり貫いて作られたような城のような建築物が3つばかり建っている。
それが崩壊した橋の先端部で、野次馬や釣り客の目の前でさらなる異様な動きを見せる。

「飛んだ?」

海中から島のような陸地ごと建築物が飛び上がった。
そのまま新巨済大橋の上に着地し、滑りながら欄干を破壊しつつ陸地を目指して移動している。
さすがに釣り人達はその物体を一目見て正体を看破した。
下から見上げたら一目瞭然だった。

「エイ?」
「馬鹿言え、200メートルはあるぞ!?」
「早く逃げろ、橋が!!」

幅も100メートルはあった。
その背中には岩場がそのまま付着して島のようになっている。
当然、そんな重量物に新巨済大橋が耐えられる筈もなく、崩壊した大橋の破片が逃げ惑う釣り人や野次馬達を押し潰していく。
巨大なエイは新巨済大橋の道路から続く、島内の国道14号線の最初の交差点まで車両や家屋を凪ぎ払いながら滑り込んで停止した。
すぐに国防警備隊のパトカーが、巨大なエイこと『荒波を丸く納めて日々豊漁』号の周辺を固めるように展開する。
だが『荒波を丸く納めて日々豊漁』号の背中の城塞の門が開いた。
そこには数千の武装した戦士達が整列している。
城塞の搭の物見台から船長イケバセ・グレが号令を掛ける。

「蹂躙せよ!!」

城門から数千の戦士が人口21万人を誇る巨済島への進軍を開始する。
10本の脚の内の獲物を瞬時に捕える時に使う特に長い2本の「触腕」は腕に進化し、二本の脚はそのまま大地に立てる足となっている。
触手には吸盤が多数付いており、吸盤の内部には角質で出来た歯が付いている。
外套膜と呼ばれる内臓を覆う体壁は胴体となっている。
それがシュヴァルノヴナ海を領海とする種族の正体であるイカの獣人だ。
それは皮肉にもサミットの会場たる百済市が襲われたのとほぼ同時刻だった。
巨済島には国防警備隊が約二千名ほど配備されていたが、このうち600名ほどがサミット警備の為に留守にしている。
首都の海を守る李舜臣級駆逐艦『大祚栄』や孫元一級潜水艦『鄭地』がサミット警備の為に出払っていたのも大きい。
首都襲撃という惨事の為に、首都防衛に携わる第一連隊に召集が掛けられた。
完全装備で出動するまでの間は所轄の警備隊隊員が拳銃と警棒で防戦に努めていた。
だが軟体の体は多少の打撃やパトカーによる轢き逃げ攻撃の効果を弱めていた。
さらに貝殻による両手盾で銃弾をしのぎ、触手に持たせた三本の銛で一人ずつ仕留めていく。
また、近距離の警備隊員には粘着力のある墨を吐いて浴びせて、動きを封じて仕留めていく。
複数ある触手で締め上げられたり投げ飛ばされている者もいる。
だがさすがに第一連隊の半数ほどで編成された先発隊が到着し、小銃や機関銃で応戦を始めると劣勢を押し返し始める。
それでもイカの兵士達の数が多く膠着状態となっていった。
浜辺からは更に千匹ほどのイカ人達が上陸してくるが、状況は動かない。

「ここは持ち堪えられそうだな。」

連隊長の伊太鉉大佐は一息つく。
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0106†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 12:51:44.658000ID:8r0J4A2bK
敵の数は味方の5倍以上だが、完全に抑え込んでいる。
心配の種は弾薬の残弾だ。
生産が思うようにいかない弾薬の為に連射や無駄打ちは厳に戒めている。

「巨済大橋跡近辺に敵勢力が上陸、数は約千!!」

巨済大橋は転移前は朝鮮半島南部の固城半島との間に結ばれていた橋だ。
ここもやはり転移時に崩壊して惨事の舞台となっている。
問題は100万トン・ドックをもつ玉浦造船工業団地が長承浦邑に存在し、人口が集中している地域である点だ。
国防警備隊本部もこの地区にある。
そこに附属する駐屯地には、まだ召集中で出動出来ていない中隊が残っていたはずなので対応を任せれば問題はない
本部の要員も残っている。
その上、民間の武装警備員が200名ほどが玉浦造船所に配備されているので、そちらに動員を要請すればいい。

「玉浦造船所、外島にも敵が上陸、各々約千の敵を確認!!」

外島は巨済島の東海岸の沖に浮かぶ島で、同観光植物園は日本でも人気を泊した韓流ドラマのの最終回の撮影地として有名である。
こちらにはろくな戦力は配備されていない。
島が個人所有なので致しかなかった。
玉浦造船所は地球でも世界最大と言われた造船所だ。
現在では資源不足で、大半のドックが休止状態だがここが破壊される事態は避けねばならない。

「海洋警察署の署員を玉浦造船所の防衛にまわせ。
それと第5中隊は市民の避難と大統領官邸の警備に専念していろ。」

大統領官邸は巨済島の最北端にある島津義弘が築城したと言われる永登浦城跡とその麓にある永邑城跡を利用して建築されている。
要害と言ってよく官邸警備隊も配備されている。
多少の兵力では落とせないし、山頂のヘリポートから脱出は可能だ。
残った戦力である第六中隊は各所に補給を運ぶ為に動員されている。
これで手駒は尽きた。

「日本に増援を要請しろ。」

巨済は高麗国の首都。
決して落とされてはならなかった。



『荒波を丸く納めて日々豊漁』号の物見台から、イケバセ・グレ船長は巨済島に攻めこんだ自軍の指揮を執っていた。

「すでに島内に投入した兵は六千になる。
日本の援軍を阻止する為に海中に潜ませているのが三千ほど。
もう1隊は何をしている?」

予定通りに上陸していない部隊があり、イケバセ・グレ船長は首を傾げていた。

「海中に仕掛けられていた網に引っ掛かり、身動きが取れなくなった者が多数出たと伝令が届いています。」

船長イケバセ・グレは頭痛する思いだった。
彼はイカが漁師達の獲物であることを知っているので、魚網の存在は承知している。
だが千匹ものイカ人の行く手を阻む魚網の規模については理解が追い付かなかった。

「もう一押しなのだがな・・・
見ろあの造船所を!!
艦隊でも造れそうな規模のものがこんな離島にある。
おそらくはここは日本の戦略上の要所に違いない。
不釣り合いな規模の守備隊もいるしな。」

イケバセ・グレの確信の込めた言葉に部下達も頷いている。

「他の島に侵攻した部隊に伝令を出せ。
余力の戦力があればこの島に集結させよとな。」


南海市
南海市は転移後に市に昇格した高麗国の自治体である。
人口は約四万人。
主に南海と昌善という二つの島から成り立つ。
鳥島、虎島、櫓島など有人島が3つ、無人島が65ほど存在する。
守備隊は2個中隊ほどの戦力を有していたが、現在は住民とともに山岳部に敗走したか、市街地で自警団とともに抵抗を続けている。
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0107†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 12:56:43.885612ID:gzKzOMgjK
旧南海警察署の庁舎を利用した守備隊本部はすでに焼け落ちている。
数ある島に隊員を分散させて勤務にあたらせていたのも敗因なのだが、これは仕方がない。


『みんなが願う安全漁業』号船長ウコビズ・ゲロは、西北部の蟾津江の河口に形成された巨大砂洲に巨大なエイと背中に乗せた城を上陸させて指揮に当たっていた。

「他の有人島は全て制圧した。
住民は予定通りに一ヶ所に集めておけ。
抵抗すれば殺しても構わない。
さあ、残るはこの島だけだ。」

イカ人達の侵攻は順調だったが、それだけに内陸部に攻めこんだ同族が体が乾いて動けなくなっている事態に困惑している。
年配のイカ人なら経験で知っているのだが、若手の兵士達は加減が判らずに被害が続出したのだ。
やはり海棲亜人に地上戦は向いていないと思い知らされる。
だが兵力の差で戦局は覆らない。

「船長、敵艦です!!
また、来ました!!」

島を周回している高麗国の仁川級フリゲート『大邱』である。
転移前に巨済島の玉浦造船所で起工していた艦だ。
翌年の6月に進水する予定だったが、転移の影響で就役が十年遅れた艦だ。
就役して半年ほどだが、Mk 45 5インチ砲でイカ人の軍勢を見つけては砲撃し、民間人を救出しては確保した漁船で脱出させている。
イカ人達は今のところ対抗する術を持たない。
数十匹のイカ人が乗り込もうと突撃していくが、あまりの早さに追い付けていない。
『大邱』の正面に陣取り、迎え討った部隊はあっさりと正面から蹴散らされた。
地上にいたイカ人達は、『大邱』が接近する度に建物に身を隠してやり過ごしている。
しかし、『みんなが願う安全漁業』号だけは回避するわけにもいかないので、砲撃に堪え忍んでいた。

「砲弾がいつまでも続くわけがない。
まあ、この島も明日には墜ちるだろう。
ゆるりと殲滅してやろう。」

今も『大邱』の周囲の海中を千匹ものイカ人が追跡したり、定置網に引っ掛かっているのだ。
封鎖は完璧のはずだった。


珍島
珍島市
珍島市の人口は約3万5千人。
本島の他に有人島45、無人島185の計230の島々で構成されている。
転移に伴い珍島郡から珍島市に昇格した。
この島々でもやはりイカ人の襲撃を受けていた。
例によって定置網と付属の島々の制圧。
日本からの援軍を断つ為の部隊を省いて、五千の大群が本島に迫っていた。
だが珍島の守備隊は事前に巨済や南海が襲撃された連絡を受けていた。
その為、海上を疾走する城が目撃されたと同時に上陸予想地点に全戦力を集結させ、住民には避難命令を出していた。
珍島東南部の回洞里と沖の茅島との間で、大潮の日に海割れの現象が起きて砂州が現れる場所が存在する。
『シュヴァルノヴナの海の幸がてんこ盛り』号は、そのまだ砂州が現れていない浅瀬に乗り上げて、上陸の準備を始める。
だがパトロール任務中で、珍島近海を航行中だった警備救難艦『太平洋9号』が駆けつけて、座礁するギリギリまで接近する。
『太平洋9号』から発艦したKa-32ヘリコプターがイカ人の兵達が集結する場所を確認する。
その指示のもとに『シュヴァルノヴナの海の幸がてんこ盛り』号の背中に鎮座する城の城壁に、『太平洋9号』の40mm連装機銃とシーバルカン 20mm機銃から放たれた弾丸が炸裂する。
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0108†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 13:00:58.887253ID:P56COM3SK
機銃弾の前には岩石で出来た城壁はたちまち穴だらけになり、集結していたイカ人達の兵達は薙ぎ倒されていく。

「せ、船長!?」

部下達の悲鳴を聞いたエサブゼ・ゴワ船長は直ちに号令を下す。

「門を開いて、島に攻め込め!!
このままでは狙い撃ちにされるぞ。
海中にいる部隊にも上陸とあの船を直接狙う命令を出せ!!」

開門された門からイカ人の軍勢が島に雪崩れ込もうとしたが、陸地には国防警備隊守備隊1個中隊が総出で車両を盾に陣取っている。

「撃て!!
ここから一歩も通すな!!」

本部要員や自警団も攻撃に加わり、イカ人の軍勢の死体が積み重なっていく。
だが海中から上陸してきた軍勢が防衛ラインの各所に突入してきて突き崩されていく。

「海岸の敵に直接攻撃を仕掛ける。」

『太平洋9号』機銃の銃口が海岸に向けられるが、触手の吸盤を利用して、イカ人達が船体の壁をよじ登ってくるのが確認された。
『シュヴァルノヴナの海の幸がてんこ盛り』号を直接攻撃する為に低速で航行していたのが裏目に出たのだ。
乗員達は船縁に出て、艦内に備え付けられた小銃や拳銃でイカ人達を仕留めていく。
ある乗員は斧を振り回して触手を切り落とすという奮闘までしてみせた。
しかし、機銃の銃弾も底を尽き、『太平洋9号』も沖まで後退する。
守備隊も海岸線を放棄して後退を余儀無くされた。
一方でイカ人達も多大な出血を強いられて、この日の戦闘を終えることになる。


大陸南部
百済市
エレンハフト城
高麗本国の騒ぎをよそにサミット二日目は当然のように実施されていた。
議長である白市長の顔色はよくない。
ほとんど不眠不休で、本国情勢や百済市から出来る対策の検討、苦情の処理に携わっていたからだ。
大陸南部である百済市から高麗本国までは、船舶ではどうしても十日は掛かる。
ましてや昨日の亀人との戦闘による死傷者や捕虜の管理等に人員が割かれて、援軍の為の隊員を確保出来ていない。
亀人達とも言葉が通じないので、管理が苦労している。
会場も些か生臭い臭いが漂っていて、顔をしかめている出席者もいる。
警護の者達や係りの者達が消臭剤を振り撒いている中、サミット二日目が始まる。

「よって、唯一の策は日本本国からの援軍ということになります。」

秋月総督は高橋陸将と小声で相談しながら答える。

「我が国本国でも現在は海岸線に自衛隊、警察、海上保安庁の各部隊を警戒配備中でありますが、援軍の為の戦力を抽出中であります。
本国からの回答をもう少しお待ちください。」

日本本国では海沿いの各都道府県に各普通科連隊や各方面隊所属の即応連隊が動員されている。

「現在陸上自衛隊は三個旅団を派兵しており、隊員に余裕がありません。」

編成途上の部隊は幾つかあるが、戦地への派遣など論外のレベルだ。
部隊を運ぶ艦艇の問題もある。
日本本国には現在、護衛艦隊の艦艇の半数が存在しない。
残っている艦も各護衛隊から最低1隻はドック入りしている。
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0109†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 13:05:18.853098ID:qYswb86nK
編成途上の部隊は幾つかあるが、戦地への派遣など論外のレベルだ。
部隊を運ぶ艦艇の問題もある。
日本本国には現在、護衛艦隊の艦艇の半数が存在しない。
残っている艦も各護衛隊から最低1隻はドック入りしている。
そして、稼働可能な艦艇も沿岸の警備に手一杯な状況だ。

「ただし、航空自衛隊による航空支援は直ちに実施されます。
現在、築城基地の航空隊が出撃した頃です。」

日本も転移以来日本人口が600万人減少し、215万人が大陸に移民している。
国内の対応と大陸への航路の確保が最優先であれば、現時点での支援はこれが限界のはずだった。


対馬海峡
対馬の南上空をF−2戦闘機6機が飛行していた。
福岡県築城基地から出撃した第6飛行隊に所属する機体で、それぞれMk.82通常爆弾を12基搭載している。
これほどの規模で出撃したのはいつ以来だったか、編隊長の河井健次郎3等空佐は思いに耽る。
転移前には盛んだった近隣諸国へのスクランブルも、転移後は皆無となった。
貴重な航空燃料の節約の為に哨戒活動も最低限となっている。
今の航空自衛隊は間違いなく往時の練度を維持できていない。
今回の任務は貴重な実戦を経験できる機会と言えた。
間もなく高麗国領空に到達すると二機編隊ずつに別れる。
巨斉島、南海島、珍島を襲撃した敵の巨大生物にMk.82通常爆弾をお見舞いしてやるのが任務だ。

「L(リマ)ポイント通過、戦闘空域、全機スプレッド(散開)!」

高麗国の領空に入ればどの島も数分で到着する。

『ツー』
『スリー』
『フォア』
『ブラボー、ワン』
『ブラボー、ツー』

編隊を組む五機の部下から応答があり、ツーマンセルで目標とする島に向けて散開する。
対空攻撃の心配はないので、巡航高度から高度を下げて超低空飛行に切り換える。
目標の位置については、高麗国の国防警備隊から逐一報告が届いている。


珍島上空
「対地攻撃用意・・・目標まで20、17、8、1、投下!!」

珍島に陣取る『シュヴァルノヴナの海の幸がてんこ盛り』号に、ブラボーツーから投下された12発のMk.82通常爆弾が降り注ぎ、大爆発を起こす。
Mk.82通常爆弾は一発あたりの爆発の効果範囲が300メートルに及ぶ。
硬い岩盤に覆われた『シュヴァルノヴナの海の幸がてんこ盛り』号であるが、爆撃を受けて岩盤ごと背中が大きく抉られる。
岩盤で造られた城も城壁も跡形もなく吹き飛んでいた。
『シュヴァルノヴナの海の幸がてんこ盛り』号の城内や周辺に展開していたイカ人達もたちまちスルメや焼きイカになっていく。
エサブゼ・ゴワ船長もすでに焦げすぎた焼きイカとなっていた。
だがこの攻撃は思わぬ副産物を産み出していた。
『シュヴァルノヴナの海の幸がてんこ盛り』号の体内にはその巨体に相応しく、大量のアンモニアが溜め込まれていた。
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2018/06/17(日) 13:09:29.606524ID:Y43aPDB7K
気化したアンモニアが青い炎をあちこちで巻き起こしている。
そのまま消し炭になってくれれば問題はないのだが、引火したアンモニアから発生したアンモニアガスが現場に混乱を招いていた。
大量のアンモニアは或いは地球にいたエイよりもその身に多く溜め込んでいたのかもしれない。

「状況、ガス!!
後退・・・いや、避難しろ!!
マスクを早く装着しろ!!」

有害な一酸化窒素ガスが発生していて、交戦していた国防警備隊が後退している。
すでに隊員の中には目、喉、鼻が刺激されて、痛みを訴えている者もいる。
倒れた隊員はまだ無事な隊員やガスマスクを装着した隊員が引き摺って後退していく。
このまま留まれば呼吸の痙攣を引き起こし、呼吸麻痺で死に至るだろう。
ガスの種類は独特の臭いから直ぐに判明した。
アンモニアガスは水溶性が高いので、出動した消防車による放水が行われた。
海上からも警備救難艦『太平洋9号』からも、毎時1,200t放水可能な放水銃塔2基から放水が行われている。
生き残ったイカ人達は人間よりは抵抗力はあるらしい。
それでも一旦は海に飛び込むか、自らの墨を互いに掛け合って、アンモニアガスを洗い流して対処している。
F−2戦闘機のブラボーワンは、地上の国防警備隊からの要請のもと、残ったイカ人達の陣地を空爆していく。
主力を失った珍島のイカ人達は、六割近くの死傷者を出して各所に立て籠った。
国防警備隊の珍島守備隊はいまだに数の上では劣勢であり、これを狩り出す戦力に不足していた。
アンモニアガスの危険性は、各島の国防警備隊や第6飛行隊各機に伝えられていった。


南海島
アンモニアガスの危険性は、第6飛行隊のF−2戦闘機2機にも伝えられたが時既に遅く、Mk.82通常爆弾が投下された後だった。
その為に蟾津江の河口の巨大砂洲に陣取っていた『みんなが願う安全漁業』号は、よい標的としと船長ウコビズ・ゲロごと、Mk.82通常爆弾による爆撃により粉砕されていた。
だがすでに国防警備隊の守備隊は敗走しており、町の大半はイカ人達の手に落ちている。
アンモニアガスも蟾津江の水が大半を吸収してくれていた。
だが多くのイカ人が街中に潜んでおり、多数の住民や捕虜となった国防警備隊員が拘束されていた。
市街地を空爆するわけにもいかず、F−2戦闘機は幾つかの陣地を空爆するだけで帰投を余儀なくされていた。
島を周回しながら戦闘を続けていた仁川級フリゲート『大邱』も弾薬が不足し始めていて、島を脱出した船団の護衛に徹している。
なお、南海島と周辺の島々には三千のイカ人の軍勢が立て籠っていた。
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2018/06/17(日) 13:13:02.513639ID:hRB85tMXK
巨斉島
すでに市街地近郊に上陸していた『荒波を丸く納めて日々豊漁』号に空自のF−2戦闘機は空爆を封じられていた。
新巨斉大橋の破片も背中に取り込み、防御力を増している。
アンモニアガスの影響もすでに伝わっていてどうにもならない。
河井二佐は目標の変更或いは強行を司令部に打診している。
だが珍島や南海島と違い人口が十倍以上のこの島でアンモニアガスを発生すれば被害の規模は比較にならない。
イカ人の軍勢は市街地に入り込み、国防警備隊の守備隊と市街戦に突入している。
新巨済大橋、巨済大橋、国防警備隊本部、玉浦造船所、外島、海洋警察署でも交戦が行われている。

「随分、入り込まれたな。
F−2には外島への空爆を要請しろ。
あそこなら被害は少ない。」

第一連隊隊長の連隊長の伊太鉉大佐の臨時司令部にも何度もイカ人達が侵入して交戦している。
大統領官邸でも散発的に戦闘が行われていた。
要所のほとんどはいまだに抵抗を続けている。
大統領から施設への被害を最低限に納めるよう指示が出てなければ空爆で形勢が決まっていたところだ。
決め手に欠けるのはイカ人達も同様だった。
イケバセ・グレ船長は上陸して、本陣を占拠したビルに構えている。
ビルの窓から上空を飛ぶF−2を睨みつける。

「隣接する島にいた部隊が、あの飛行機械の攻撃を受けて八割に至る損害とのことです。」

さきほど大きな爆発音が聞こえたので、確認に行かせていた部下が答えてくれる。

「あれは厄介だな。
だが積極的には仕掛けて来ないようだ。
今のうちにこの島の制圧を急ぐぞ。」

海路の封鎖に使っていた三千の兵のうち、千を島に上陸させて攻撃に加えている。
兵の損害も甚大だが、制圧は時間の問題と思えた。
他の島を攻めた同胞も上手く攻略出来ていることを海と生命の神に祈っていた。
巨斉島とその近辺には尚も七千にも及ぶイカ人の軍勢が残っていた。


百済市
エレンハフト城
サミット二日目は、高麗国支援の後はドン・ペドロ市長カルロス・リマが演説している。
日本で自動車会社に勤務していたビジネスマンで、転移後は地球系所都市に電力を供給するドン・ペドロ発電所の誘致と建設に尽力した。
ドン・ペドロ市は在日ブラジル人と来日の旅行者。
ブラジルの配偶者となった日本人を含む20万の人口を誇る都市である。
在日ブラジル人は日本で製造業に携わっていた者が多くい。
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0112†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 13:18:58.974017ID:Dq+DPVY8K
豊富な電力を生かして中小の工場が多数建設され、地球系都市に機械部品を供給する拠点となっている。
徴兵で兵役経験者も多く、約600名の軍警察が治安を守っている。
反面、船舶の保有は少ない。
ようやく日本に巡視船の発注の契約を結んだのが、今回のサミットの成果である。
また、在日ポルトガル人を含むポルトガル人約千名を受け入れることを表明した。
次にアルベルト市長、エリック・サイトウが壇上に上がる。
在日ペルー人を集めて建設されまアルベルト市だが、その人種構成は大半が日系人の子孫という特徴がある。
これはドン・ペドロ市民にもみられる傾向だが、アルベルト市民ににおける割合は高い。
やはりドン・ペドロ同様、製造業に携わっていた人間が多いが電力的に恵まれた環境ではない。
幸い、農業経験者も多いことからなんとか食い繋いでいるのが現状だ。

「産業の誘致と治安部隊の強化に対するご支援を各諸都市のお歴々にはお願いしたい。」

徴兵制だったブラジルと違い、志願制のペルー出身者には軍役に就いたことがある者は少ない。
その為に治安部隊の編成に苦労していた。
スコータイの代表には犯罪と技術流出をどうにかしろとの批判が殺到した。
事前に会議の内容は打ち合わせ済みだったはずだが、昨日からの騒動で些か混乱して暴走しているようだった。
秋月総督達も完全に話を聞いていない。
高麗本国の戦況についての報告を秋山補佐官から聞いていた。
ようやく海上自衛隊の準備も整ったようだ。

「佐世保から護衛艦『あまぎり』が珍島に向かいます。
呉からは護衛艦『しまかぜ』、輸送艦『くにさき』が特別警備隊二百名を乗せて関門海峡を通過しました。
第3ミサイル艇隊が対馬で合流して巨斉島に向かいます。」


UA:N05C
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[3]
08/13 02:03
「随分、少ないな。
我が国の余剰戦力はそれしか残っていないのか・・・」
「舞鶴や横須賀の艦隊はどうせ間に合いません。
警備の範囲も広いですならね。
編成中の第51普通科連隊を出すわけにもいきません。
彼等はここに派遣される貴重な戦力です。
あんなところで消耗消耗されても困ります。
それに転移前の政治情勢における凝りが、両国に残っていて大規模戦力の派遣が憚れた事情があります。
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0113†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 13:23:57.379076ID:jULqqYQfK
今の与党の長老方には転移前の韓国に対する不信感が残っていますからね。」

長老方だけではなく、転移前にネットなどに慣れ親しんだ若い世代にも不信感が漂っているのを秋山補佐官を見て悟らざるを得なかった。
派遣された自衛官達はプロフェッショナルだと信じているが、隊員達にも同様の心情を持つ者が多数いるだろうことが、秋月に不安を感じさせた。
そこに高橋陸将が控え室から戻ってくる。

「総督、まもなくヴェルフネウディンスク市長から正式に発表があると思いますが、緊急事態です。
北サハリンに巨大な生物と獣人の軍勢が侵攻しました。
現在、北サハリン軍と交戦状態に入っています。」

その後、公式に発表された北サハリンへの侵攻を聞かされた各都市の代表達は各々の言語で同じ言葉を呟いていた。

「またかよ・・・」



対馬海峡
輸送艦『くにさき』
対馬海峡を通過する『くにさき』には海上自衛隊特別警備隊二百名が乗艦していた。
護衛艦『しまかぜ』とともに対馬海峡まで航行してきた。
現在は第3ミサイル艇隊とも合流して珍島に向かっている。
海上自衛隊特別警備隊は転移後ろに大幅な増強を受けていた。
それは転移前に予定されていた水陸機動団の創設が、転移後の混乱で中止になってしまったからだ。
宙に浮いてしまった装備一式が特別警備隊に引き渡されていった。
即ち水陸両用車AAVP7A1 RAM/RS(人員輸送車型)である。
性能確認や運用検証等を行うための参考品として調達された四両とAAVC7A1 RAM/RS(指揮車型)の1両が『くにさき』に積載されている。
おおすみ型輸送艦は、水陸両用戦機能を強化すべく大規模な改修が行われている。
対馬から巨斉島までは60キロしかない。

「総員、乗車!!」

隊長の長沼一佐の号令のもと、特別警備隊の隊員達がAAVP7A1 RAM/RS(人員輸送車型)やAAVC7A1 RAM/RS(指揮車型)に乗り込んでいく。
全通飛行甲板では3機のSH-60Kがローターを回している。
こちらにも特別警備隊員達が乗り込んでいく。

「立入検査隊や基地警備隊の為の訓練部隊と揶揄してきた連中を見返す機会だ。」
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0114†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 13:59:04.161720ID:gpCoJ8XxK
特別警備隊は使いどころの難しい部隊と思われていた。
特別警備隊の主任務は脅威度の高い船舶・艦艇の武装解除および無力化である。
だが海上自衛隊は立入検査隊を重武装化させ、乗員分の拳銃分も艦艇に載せている。
海上保安庁も似たようなものだし、民間船まで武装警備員を乗せたり、自主的な武装をしている。
ほとんど任務らしい任務などは回ってこない。
立入検査隊や基地警備隊の訓練部隊として扱われ、優秀な隊員は引き抜かれていく。
隊員個人のレベルは転移前より下がっているかもしれない。
帝国との戦争でも大陸の沿岸部のホルスト伯爵領の攻略に投入されたくらいだ。
この作戦は部隊の有用性を証明するいい機会だった。


北サハリン
ポビギ村近郊
かつてネヴェリスコイ海峡と呼ばれる海峡があった。
ユーラシア大陸と樺太の間にあり、間宮海峡とアムール潟を結ぶ海峡のことである。
海峡の幅はもっとも狭いところで7.3 kmほどだったが、ユーラシア大陸が消えた今となっては大した意味はない。
今は水平線が見えるくらいの大洋がその姿を見せている。
その海岸に北方のフセヴォロドヴナ海から派遣された『革命の音階』号と船長ザボム・エグが率いる一万の軍勢が上陸した。
途中、何度も北サハリンの哨戒の為と思われる艦船を潜り抜けた結果、上陸出来たのがこの場所だった。
『革命の音階』号が巨大な三頭大蛇である。
口内に多数の海蛇の獣人兵士を乗せている。
海蛇の民には『革命の音階』号の消化液も問題はない。
さすがに一万もの兵士が乗るわけもなく、ほとんどが自力で泳いで海岸に上陸を果たしている。
さすがに船長のザボム・エグは真ん中の大蛇の口内から上陸する。

「何も無いねぇ・・・」

道路らしき舗装された道はあるのだが、集落一つ見当たらない。
小屋らしき者が散見されるが、人の姿一つ見受けられない。
これでは略奪どころでは無い。
聞く限りの日本の都市とは大違いでガッカリしている。
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0115†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 14:03:06.823993ID:YGPvD26aK
「日本は日本でもとんだ辺境に上陸してしまったようだね。」

見渡す限り山脈が連なり見通しは悪い。
フセヴォロドヴナ海を領海とするザボム・エグ船長の種族は海蛇から進化した種族だ。
その姿は四肢を得たことにより、リザードマンに近い。
尾は縦に平べったくなっており、泳ぐのに適している。
主な武器は槍と鞭だが、毒を含んだ自らの体液を塗って使用している。

「姐御、もう少し行ったら村があるみたいですが・・・」
「そこまで行ってみるか、全軍に前進を伝えな!!」

本能的に『革命の音階』号が危険を察知したのか上空を見上げていた。
さて『革命の音階』号の能力であるが、それを披露する暇もなく対地ミサイルの爆発に曝されてその身を焼失させる。
Su-25SMが飛来し、10基のハードポイントからKh-25空対地ミサイルが一斉に発射されたのだ。
2機目のSu-25SMが軍団の真ん中にKh-25空対地ミサイルを発射して爆発させる。
Su-25SMは、北サハリン空軍の第1親衛航空連隊に所属する18機の戦闘・攻撃機のうちの二機だ。
最初の爆撃から難を逃れたザボム・エグは、煙に視界を奪われつつも状況の把握に努める。
咄嗟に周囲の部下達が盾になってくれなければ危なかったかもしれない。

「どれくらいやられた!!」
「三千はやられやした・・・」
「また来やした!!」

身軽となったSu-25SMの2機が、各々の方向から飛来してGSh-30-2 30mm連装機関砲を発砲して海蛇の軍勢を掃射する。
大部分の者はすばやく物陰や海に逃れるが、相当数の死傷者を出しているのが見てとれる。

「あ、姉御、海からも!!」

複数の艦艇が海上に現れる。
旧ロシア海軍、現サハリン海軍所属の第11水域警備艦大隊だ。
間宮海峡防衛を主任務にしていた艦隊で、艦隊ごと転移に巻き込まていた。
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0116†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 14:09:59.051126ID:WKtjLW/DK
グリシャ型コルベット、『ウスチ・イリムスク』、『メーティエリィ』、『コリェエツ』の3隻によるAK-725 57mm連装砲による艦砲射撃が地上に対して行われる。
さらに海中に逃れた敵に対して、RBU-6000 対潜ロケット砲が発射される。

「えぇい、ここは地獄かい?」

爆風に煽られながらザボム・エグは生き残りを集める。
これだけの攻撃に関わらず、いまだに三千の兵士が戦闘可能だった。
だがその兵士達も数匹単位で薙ぎ倒されていく。
装甲車両を前面に立てた北サハリン陸軍第3自動車化狙撃大隊だ。
3方向から自動車化狙撃中隊が接近して射撃を開始したのだ。
さらに後方の迫撃砲中隊や歩兵戦闘車BMP-3や装甲兵員輸送車BTR-60の攻撃も加わる。
海蛇の兵士達は死兵と化し、人間では考えられない速度で突撃を敢行するが、距離の壁は無情にも彼等を射ち抜いていく。

「弾薬の補充を要請せんとな。」
北サハリン軍の大隊指揮官アンドレーエフ少佐は消耗される弾薬の数に眉をひそめる。
弾薬や武器の部品は日本に生産させて購入している。
転移の影響で営業停止に追い込まれていた中小の工場に取っては渡りに船の話だった。
代金はサハリン2により開発した油田や天然ガスだ。
日本政府は渋い顔を見せたが、生産して組み立てた兵器や弾薬を自衛隊に提供すると提案して黙らせた。

「射撃を控えさせますか?」

大隊付き参謀のヴィクトル中尉が聞いてくる。

「バカを言え。
我々は高麗の連中ほど甘くは無いことを敵並びに同盟国に知らしめねばならん。
だからわざと上陸させてやったんだ。」
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0117†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 14:13:14.522572ID:IGDGu9S+K
『革命の音階』号の動きは高麗国襲撃の時点で、警戒の為に発進した海上自衛隊のP−3C対潜哨戒機により捕捉されていた。
途中から引き継いだ北サハリンの対潜哨戒機イリューシン Il-38より指示を受けた第11水域警備艦大隊が、わざと姿を見せたり接近を装うことで誘導していたのだ。
すでに海軍、空軍による攻撃は停止している。
敵の数が減ったことと、粘った敵がこちらの前衛に到達しそうだったからだ。
到達出来たのは数十匹程度だ。

「降伏を勧告しますか?」
「言葉通じるのか?」
「いえ、無理ですがあの爬虫類見た目がセクシーじゃないですか?」

確かに海草で造ったようなハイレグ水着のような衣装の一匹に注目する。
確かにセクシーな気もする。
おそらくは連中の頭目だろう。
だが爬虫類だ。

「ヤンキーの映画に出てきそうだが好みじゃないな。
捕虜は必要ない。」

会話の間にも海蛇の兵士達の数が減っていく。
ザボム・エグは最後の一匹になるまで残った。
銃弾が幾つも肉体を穿つが、その鞭を奮う。
鞭はBMP-3の砲塔に巻き付くと、ザボム・エグの体がそのまま跳んだ。
蛇のようにBMP-3の車体を這いずりまわり前衛を突破する。
同士討ちを恐れて北サハリン兵達は撃つことが出来ない。
そのまま攻撃の間に仮設された野戦司令部のテントに突っ込んでくる。
惜しむらくはテントの中は無人だったことだ。
大隊司令部の要員は全員外で双眼鏡を抱えて戦闘を観ていたからだ。
全員が野戦服を着ていた為に、ザボム・エグには誰が大将が誰だかわからなかったのだ。
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0118†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 14:16:12.364331ID:J3xCksTVK
テントの布を体を巻き付けながらロシア人の将兵に蜂の巣にされて息絶えた。


南樺太
日本国国境保安隊西柵丹保安署
北緯50度線、あくまで転移前の戦前に測量されたこのラインが現在の日本と北サハリンの国境である。
転移後に日本に南樺太が返還されて、陸上自衛隊第二師団が駐留することになった。
しかし、国境に関しては北サハリンとの摩擦を避ける必要があった。
国土交通省の内部部局として新設された国境保安局の部隊が国境保安隊である。
平時は制服を着て、拳銃、警棒、という軽武装でパトロールをしながら畑を耕しつつ日々の任務をこなしている。
だが日本の各治安機関に沿岸警備命令が発令されたこの時は、出動服に臑当・篭手・防護ベスト、防護面付特殊警備用ヘルメットを纏っている。
いわゆる機動隊隊員と同様の装備である。
ただし、警戒にあたっている隊員は全員が豊和M1500をその手に持っている。
全員が緊張した顔で、北サハリン領内の方を警戒している。
財務省の税関職員や法務省の入国管理局の管理官も任務の性質上、この保安署に詰めている。
国境の向こう側ではやはり北サハリンの国境警備隊員が姿を見せている。
毎日のように顔を会わせているので、国境を挟んで酒を酌み交わす仲の隊員もいる。
その内の一人の国境警備隊員が保安隊員達の前に笑顔で語りかけて来る。

「終わったぞ!!
ポギビの戦いは我が軍の勝利だ!!」
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0119†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 14:26:16.268328ID:c3XEQiExK
保安署隊員達と国境警備隊隊員達が歓声をあげている。

「やれやれ隊員達は無邪気だな。
まあ、ようやく一連の襲撃に対する朗報だから仕方も無いが・・・」

署長兼隊長の松尾が呆れた顔で署内から眺めている。
戦いはものの一時間で終わったと聞いている。
自衛隊から派遣された観戦武官からの連絡だ。
今回の戦いは、北サハリン軍がその気になれば国境保安隊など一溜まりもないだろうことを再認識させられるものだった。
国境を預かる者としての不安が松尾を苛む。
自衛隊の第二師団が到着するまでの警戒の強化と退き際の見極めを関係各所と検討する必要が感じられた。
国境を挟んで互いに隊員達が喜びあっている。
だがロシア人達の中には南樺太や千島列島を日本に返還したことを面白く思っていない一派がいることは理解している。
いずれ決着を付ける時が来るのかもしれない。
或いは平和的な解決の道が切り開かれるのを祈るばかりだった。


百済市
エレンハフト城
北サハリンへの襲撃と撃退が報告されたのは僅か30分の出来事だった。
先程まで騒然としていた会場は沈黙を保ちつつ、各都市の代表はヴェルフネウディンスク市市長ユーリー・チカチーロに祝辞を述べている。
暗に『我々は高麗とは違う』と言われているようで、白市長は益々顔を蒼くしている。
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0120†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 14:29:24.543591ID:xyvpATlXK
「この勝利宣言と合わせまして、在日ベラルーシの住民500名を我が同胞として受け入れることを宣言します。」

もと転移前のサハリン州には六千名のベラルーシ人が居住していたことから問題はなかった。

「加えて、今回の損害の補填の為に、我々もアンフォニー男爵領の炭鉱開発事業に参入させて頂く。
先程、アンフォニー代官のミツオ・サイトウと正式に契約を取り交わした。」

これは新京総督秋月と新香港主席の林が驚愕の顔を見せてくる。
北サハリンは彼等の街の利権に食い込んで来たからだ。
いつの間にか、ユーリー市長の背後でどや顔の代官の斎藤と、困惑した顔のアンフォニー男爵代行のヒルダが立っていた。
ヒルダが困惑しているのは、この計画は40分前に結ばれたばかりだからだ。
この世界の住民で、最も利権を手にする筈の彼女が一番恐縮しているのは印象的であった。
だが報告に戻ってきた高橋陸将の言葉に皆が我に帰る。

「護衛艦『あまぎり』が珍島に到着しました。
反抗の支援作戦を開始します。
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0121†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 14:32:12.940696ID:aqPJmle5K
高麗国
珍島沖
護衛艦『あまぎり』
珍島で猛威を奮ったイカ人の軍勢は、航空自衛隊第6飛行隊の爆撃により、母船と指揮官を含む大半の兵士を失っていた。
だが島の各所では、いまだに国防警備隊の守備隊と交戦を続けていた。
主力が一度は壊滅状態に陥ったことから、日本からの援軍を断つべく海中に配されていたイカ人五千の兵のうち二千が島の各所から上陸を開始して猛威を奮っていた。
『あまぎり』の周辺では乗員達が89式小銃で、散発的に現れるイカ人の兵士を掃射している。
大規模集団には62口径76mm単装速射砲やMk15 MOD2 高性能20mm機関砲 2基が海上に向けて、発砲が続けられている。
74式アスロック8連装発射機や68式3連装短魚雷発射管も時折攻撃に加わっている。
その間にも『あまぎり』の飛行甲板では現在、警備救難艦『太平洋9号』に所属していたKa-32海上輸送ヘリに搭載されたK6重機関銃用の弾薬を補給していた。
さすがに航行中では、『太平洋9号』に補給を行うわけにはいかないが、ヘリコプターならなんとかなる。
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0122†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 14:35:24.071853ID:A/9YwcaIK
同時に『あまぎり』に搭載されたSH-60J哨戒ヘリコプターの2機は、先行して珍島に到着して戦闘に参加していた。
1機が国防警備隊が籠城する島の南に築かれた南桃(ナムド)石城の上空を通過する。
アンモニアガスの発生により、前線を放棄した国防警備隊の守備隊は、二つの防御陣地に向けて別れた。
そのうちの1隊は遅滞戦術を展開しながら、島の国道18号線を南下し、南桃石城に到着して陣を構えた。
国防警備隊2個小隊と自警団が立て籠る南桃石城に、千を越えるイカ人の兵士達が攻め寄せていた。
南桃石城には、周囲610m、高さ5.1mの丸い城壁と東、西、南門がそのまま残っている。
現在の石城内は国防警備隊の駐屯地となっている。
高麗王朝の時代、裴仲孫将軍に率いられた三別抄軍は、ここを根拠地として壮烈な対モンゴル抗争繰り広げていた。
転移前には、南桃石城観光化事業が推進されていて、周囲の城壁は復元されている。
復元のやりすぎで、石組みは立派であり、城内にあった役所の建物も復元された。
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0123†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 14:39:37.888003ID:NkZNXyT0K
史実を誇張した復元は批判も多いのだが、今回はそれが功を奏していた。
近隣住民を避難させ、イカ人の軍勢から籠城するのに最適な環境となっていたのだ。
だが敵の数は圧倒的であり、国防警備隊や自警団の死傷者が続出し、陥落は時間の問題といえた。
そこに、『あまぎり』から発艦したSH-60J哨戒ヘリコプターが到着した。

「城外の敵を排除しろ。」

機長の命令のもと、キャビンドアが開かれ、隊員の一人が74式機関銃をドアガンとして、空中から掃射を開始した。
空からの攻撃に忽ち数十のイカ人が死傷する。
堪り兼ねたイカ人達は攻め寄せていた城壁から離れて近隣の建物や森林などに身を隠す。
攻撃の効果を確認したSH-60Jは、国防警備隊員の誘導のもと城内に着陸した。
SH-60Jに積載された弾薬が、国防警備隊員達に補給物資として引き渡されていく。

「今度は感謝くらいしてくれよ。」

転移前の南スーダンの件を思い出して機長は苦笑していた。
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0124†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 14:42:25.998255ID:UbEXw/UIK
ヘリに同乗していた『あまぎり』の立入検査隊の五名が城壁から89式小銃で、再び攻め寄せるイカ人の軍勢を射ち倒していく。
補給を済ませた警備隊員も加わっていく。
補給の弾丸を引き渡したSH-60Jは再び飛び立ち、空から敵を弾丸で凪ぎ払いに向かった。
珍島北東部の戦いも同様に推移していた。
こちらには龍蔵山の尾根伝いに城壁を巡らした龍蔵山城がある。
やはり1270年、裴仲孫将軍が率いる三別抄軍が、それまでの山城を改築し、対蒙抗争の根拠地とした城だ。
鎌倉幕府にに国書を送り、自分たちが唯一の正統な高麗政府であることを表明したのがこの城である。
龍蔵城の跡は史跡第126号に指定され、ほぼ復元されている。
周辺に420mに達する土城が築かれている。
ここに避難した近隣住民による自警団と国防警備隊三個小隊が籠城し、二千を越えるイカ人の軍勢と交戦していた。
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0125†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 14:45:07.680329ID:gRjvexc+K
だが強固な土城と遠距離攻撃、夏の最中で動きが鈍る上に山に登らされたイカ人達は面白い様に倒されていく。
それでも物量の壁は残酷だ。
弾丸の残量はみるみる減少していく。
イカ人達の投げ槍による死傷者が増えていく。

「いよいよ覚悟する時か・・・白兵戦用意!!」

散兵していた隊員達や自警団団員達が、スコップやナイフ、投げ込まれた槍を手に取り集まり出す。
イカ人の軍勢があと20メートルにまで接近したときに、『あまぎり』のSH-60J哨戒ヘリコプターが飛来した。
キャビンドアを開き、ドアガンがイカ人達を掃射しながら着陸する。

「ほら、5.56mmをたっぷり持ってきたから集まれ!!」

海自隊員の声に我に帰ったK2アサルトライフル、K3機関銃を持った隊員達がSH-60Jの周囲に集まってくる。
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0126†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 14:47:41.430266ID:fKFw6QytK
キャビンドアから、『あまぎり』の立入検査隊隊員達が降り立って時間を稼ぐべく射撃を開始する。
弾薬を補充した隊員は、予備のマガジンに弾を詰めるのも惜しんで、前線に戻っていく。
国防警備隊員の一人が『あまぎり』の立入検査隊隊員に声を掛けてくる。

「助かったが、このままではまた追い詰められるだけだぞ!!」
「問題ない。
もうすぐ来るぞ!!」

爆音を響かせて現れたのは航空自衛隊第六飛行隊のF−2戦闘機だ。
築城基地から空爆を終えたあと、燃料と弾丸を補充して、第二次支援爆撃の為に舞い戻ってきたのだ。

『ブラボー1、投下!!』
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0127†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 14:49:29.219711ID:X0M+pqw1K
Mk.82通常爆弾12発がイカ人の軍勢に降り注ぎ、焔の壁が天高く舞い上がる。
同時刻、南桃石城付近でもF−2戦闘機が到着する。

『ブラボー2、投下!!』

爆発による焔は確実にイカ人の軍勢を炙り倒していった。
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0128†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 14:50:53.151343ID:JfKgOxaXK
百済市
エレンハフト城
珍島の作戦が上手くいったとの報告に、会場は拍手に包まれていた。
珍島ではこれ以後は掃討作戦に切り換えるらしいが、大勢は決していた。
新香港の林主席とヴェルフネウディンスク市チカチーロ市長のアンフォニーを巡る舌戦に会場が緊迫していた中で、関係者もこの空気を吹き飛ばす朗報に胸を撫で下ろしていた。
話を中断させられた林主席は、話を続けようとしたが、百済市長の白に遮られる。
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0129†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 14:52:10.101693ID:PnKU6OXdK
「皆様、ありがとうございます。
ようやく珍島の平和を取り戻せました。
残るは南海島と首都巨済島の二つ。
引き続きの御協力をお願いいたします。
さて、我々も北サハリンの仲介の元、アンフォニーの開発に一口乗らせてもらうことにしました。」

林主席の開いた口が塞がっていない。
秋月総督も眉を潜めている。
林主席はさらに抗議を口にしようとしたが、ブリタニカの代表のダリウス・ウィルソン市長の会見が進行されて口を紡ぐしかなかった。
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0130†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 14:54:45.103322ID:1SRJ/5TsK
なにより本物の子爵位を持つ英国貴族であり、王国貴族からの信任も篤い。
ブリタニカ市民は転移前は教育関係者や金融関係者だった者が多い。
転移後のこの世界では財産を失ったり、アドバンテージだった知識が無用の長物になったりと辛酸を舐めていた。
それでも白人系の容姿と一部の貴族位を持つ英国系住民が、王国貴族の相談役や地球系各都市と王国貴族の商談の仲介役として、多大な財産を築き始めていた。
平民の集まりである他の諸都市とは信頼度が違うのである。
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0131†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 14:57:15.624566ID:/uzkGxX6K
なにより王国貴族を集めて、船舶に対する被害を受けたときにその損害を補償する代わりに、前受け金(保険料)を貰える』という契約を結ぶ、シンジケートの役割も担うようになった。
つまり異世界にロイズ保険の制度を持ち込んだのだ。
半分くらいの王国貴族は、一方的に儲かることを夢見ている。
地球系各都市の海事機関が海賊やモンスターを討伐して、被害が転移前に比べて格段に減っているのも効いている。
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0132†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 14:59:22.852059ID:yELPLT0xK
だがそれだけでは足りない。

「我々としても木造船舶に対する安全強化の為に、王国船舶に対しての技術提供を提案したいと思います。
これは人道的処置としても必要なことだと考えています。」

これは予定外の不意討ちだった。
本来のブリタニカの声明とは違うものだ。
このままではサミット終了後の共同声明にも支障が出る。
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0133†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 15:01:00.377578ID:NWxNhNMxK
事態を憂慮したのはヒルダも同様だ。

「斉藤、やりすぎよ。
このままでは日本を意固地にさせかねないわ。」

技術規制派の最右翼である日本がこの事態を面白く思っている筈が無い。
だが指摘された斉藤は心外そうに答える。

「ブリタニカにはまだ接触してません。
あれは彼等の独断です。」
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0134†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 15:02:18.260729ID:stHm1KMsK
なんだかんだと日本が強権を奮えば、全てはひっくり返るのだ。
ここで刺激を煽るのは得策ではなかった。
こちらに便乗してくるのは構わないが、巻き添えで技術緩和の機会を棒にふるのは御免だった。
さすがに秋月総督が一言言ってやろうと立ち上がる。

「総督!!」
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0135†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 15:03:36.092860ID:pptQewQtK
だが秋山補佐官に止められる。
秋月総督が振り返ると、秋山補佐官も後ろを振り返っている。
そこには高橋陸将が慌てた様子で駆けつけていた。

「『くらま』から連絡が・・・百済沖に!!」
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0136†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 15:05:11.501945ID:cnEy+5mWK
白市長の周囲でも国防警備隊の幹部が何かを報告して慌ただしくなっている。
北サハリンやブリタニカも何かを掴んだようだ。
新香港の林主席のまわりでも常峰輝武警少将が耳打ちしている。
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0137†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 15:07:30.680695ID:8wX9ymgNK
秋月総督は椅子に座り直して、秋山補佐官や高橋陸将に呟く。

「さすがに今回の事態には動きましたか。
だが、ここに来るなら事前に連絡が欲しかったですな。」
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0138†Mango Mangüé(ガラプー KKf9-/v34)
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2018/06/17(日) 15:09:43.107624ID:BiaqyNTiK
地球人達の慌てぶりに列席していたヒルダや国王にデウラー近衛騎士団団長も驚いている。
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